研究課題/領域番号 |
23K20837
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補助金の研究課題番号 |
21H01063 (2021-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2021-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分14020:核融合学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
檜木 達也 京都大学, 工学研究科, 教授 (60372596)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,160千円 (直接経費: 13,200千円、間接経費: 3,960千円)
2025年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2024年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2023年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2022年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2021年度: 4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
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キーワード | タングステン / 炭化珪素繊維 / 織布 / 複合材料 / ダイバータ / 炭化珪素 / 熱伝導 |
研究開始時の研究の概要 |
タングステン(W)材料は核融合炉におけるダイバータ等への適用で期待されているが、中性子照射環境下や1000℃程度の再結晶温度以上では靱性は低下してしまう。本研究では、Wに対して炭化珪素繊維やW繊維での強化という、セラミックス複合材料の破壊力学を取り入れた全く新しい手法により、中性子照射環境下、また再結晶温度を超えるような温度域においても優れた破壊靭性を目指すとともに、熱伝導の高いW繊維をSiC繊維と織り込むことにより高い除熱性を得られる革新的な材料の開発を目指す。
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研究実績の概要 |
タングステン(W)材料は核融合炉におけるダイバータ等への適用で期待されているが、中性子照射環境下における脆化が懸念される。Wの融点は高いものの、1000℃程度の再結晶温度以上では靱性は低下してしまう。本研究では、Wに対して炭化珪素(SiC)繊維やW繊維での強化という、セラミックス複合材料の破壊力学を取り入れた全く新しい手法により、中性子照射環境下、また再結晶温度を超えるような温度域においても優れた破壊靭性と除熱性を得られる材料の開発を目指す。 SiC繊維のみでWを強化する場合、繊維束層における伝熱性が懸念される。本研究では、繊維束層での伝熱性確保のために、SiC繊維とW繊維の織布で強化する材料の開発を目指している。本年度は22年度に引き続き、21年度に作製に成功したSiC繊維とW繊維の織物を用いて、Wを母材とする複合材料の開発と評価を行った。SiC繊維は優れた耐熱性と耐中性子照射特性を持つ高結晶性繊維であるNGS社製のHi-Nicalon type-Sを用いた。W繊維は日本タングステン株式会社製のものを用いた。複合材料の作製には、SiC繊維とW繊維の綾織の織物を用いた。 引張試験において延性破壊挙動を示した。作製温度がWの再結晶温度を超えているため、繊維強化による擬延性挙動と考えられる。熱伝導に関しては、SiC繊維のみで強化したW母材の材料に比べ特に高温領域において高い値を示し、W繊維を織り込んだ効果が確認された。 SiC繊維とWとの反応を抑制する界面相において、22年度までにEr2O3が反応抑制には有効であることが確認でき、本年度はEr2O3のSiC-W繊維強化W複合材料への適用を試みた。板材と同様にスラリーをディッピングする方法では、10um径のSiC繊維に十分に被覆できないことが明らかになり、新たな被覆方法の開発が必要であることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
SiC繊維とW繊維の織物を用いて、Wを母材とする複合材料の開発を行った。SiC繊維は直径10um程の繊維が500本束になっているものを用いた。W繊維は直径100umのものを用いた。織布は織機で作製し、経糸をSiC繊維、緯糸をW繊維として、織組織は4/4(経糸と緯糸を4本ずつ浮かせる)綾織を採用した。織物は0°/90°方向に交互に母材原料を挟んで積層し、1700℃、20MPaでホットプレスにより焼結を行った。母材として80um厚のW箔とW粉末を用いた。 作製した試料は引張試験片に加工し、室温での強度評価を行った。母材で用いた同じ種類のWに1700℃の焼鈍を行い、室温で引張試験を行うと脆性破壊挙動を示すが、本研究で作製した材料は延性挙動を示した。破面観察から顕著な繊維の引き抜けなどは確認されなかったが、複雑な破面を示し、繊維強化による擬延性破壊挙動が生じたことが確認された。熱伝導度評価に6mm径のディスク試料を作製し1000℃までの評価を行った。SiC繊維のみで強化したW母材の材料に比べ、低温領域では有意な差が見られなかったが、400℃以上で、特に高温領域において高い値を示し、W繊維を織り込んだ効果が確認された。繊維の強化方向と垂直方向では300℃以上で温度の増加と共に熱伝導率の増加傾向が見られ、強化繊維と平行方向においては、600℃以上で熱伝導率の増加傾向が見られた。 SiC繊維とWとの反応を抑制する界面相において、Er2O3のSiC-W繊維強化W複合材料への適用を試みた。板材に対しては、Er2O3スラリーのディッピングを重ねることにより、界面相の形成に成功したが、10um径のSiC繊維束に対しては、十分に被覆が形成できず、作製した複合材料においては、SiC繊維とWの間に比較的厚い反応層が形成された。SiC繊維に適用可能な新たない被覆方法の開発が必要であることが示唆された。
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今後の研究の推進方策 |
22年度までにSiC繊維とW繊維の製織技術を確立した。23年度においてはこれらを用いてWをマトリックスとした複合材料の基本的な作製技術が得られた。24年度以降において、温度、圧力、原料、SiC繊維とタングステン繊維の繊維体積率などの最適条件の検討を進めるが、特に高温環境を考慮して、強度や熱特性に対する最適化を進める。 SiC繊維は結晶性の高いHi-Nicalon type-SまたはTyranno SAを用いる。作製した材料の評価方法としては、微細組織、強度、熱伝導評価を行う。1000℃を超える高温環境の影響に関しても評価を行う。複合材料としての詳細な破壊挙動を理解するために引張試験を行う。作製した試料はおおよその空孔率や空孔の分布などはデジタルマイクロスコープや走査形電子顕微鏡により評価を行い、更に詳細な微細組織、特にSiC繊維とW母材の界面、繊維束内と繊維束間の微細組織の違い等について、走査形電子顕微鏡、透過形電子顕微鏡やエネルギー分散型 X 線分光装置等で観察、分析を行い、作製条件、繊維と母材の界面を中心とした破壊挙動と微細組織との関係を明らかにする。 SiC繊維とWとの反応を抑制する界面相を実際の複合材料に適用するために、界面形成方法の検討を行う。作製した複合材料の界面相の微細組織評価、作製した複合材料の強度特性評価から、複合材料へ適用可能な界面相形成プロセスの確立を目指す。 耐中性子照射特性の検証を行うために、本研究で開発を行っているSiC及びWハイブリッド繊維強化複合材料と同様な条件で作製し、米国のHFIR炉において中性子照射を行ったSiCとWの接合材の評価を行う。SiC繊維強化W複合材料に関して日米科学技術協力核融合分野のFRONTIER計画において、新たに中性子照射試験を行いSiCとWの界面における微細組織変化や強度の変化に関して照射効果を確認する。
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