研究課題/領域番号 |
23K20872
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補助金の研究課題番号 |
21H01142 (2021-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2021-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分17010:宇宙惑星科学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
飯野 孝浩 東京大学, 情報基盤センター, 特任准教授 (40750493)
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研究分担者 |
谷口 琴美 国立天文台, 科学研究部, 特任助教 (40865549)
佐川 英夫 京都産業大学, 理学部, 教授 (40526034)
山田 崇貴 国立研究開発法人情報通信研究機構, テラヘルツ研究センター, 研究員 (00852261)
塚越 崇 足利大学, 工学部, 准教授 (20533566)
野澤 悟徳 名古屋大学, 宇宙地球環境研究所, 准教授 (60212130)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
16,900千円 (直接経費: 13,000千円、間接経費: 3,900千円)
2025年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2024年度: 4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2023年度: 4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2021年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 電波天文学 / 大気化学 / 星間化学 / リモートセンシング / 惑星大気化学 / 惑星大気物理 / テラヘルツ / 輻射輸送 / ビッグデータ / 大気物理学 / 輻射輸送計算 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では,地上最大のテラヘルツ電波干渉計である「アルマ」を用い,特に海王星・タイタンを対象とした大気リモートセンシングを行うことで,その大気環境の解明を目指す.本研究の特色として,惑星大気の観測研究をコアとして,その周辺領域の研究者によるチームを構成,学際的な取り組みを展開していることが挙げられる.また,アルマの公開データから構築した大規模データベースを用い,チャレンジングなテーマ設定に基づく研究を推進する.本研究を通じ,星間化学とも連携した惑星大気化学の観測研究の領域を立ち上げ,太陽系電波天文学分野として確立することが最大の目的である.
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研究実績の概要 |
本研究では,地上最大のテラヘルツ電波干渉計である「アルマ」を用い,特に海王星・タイタンを対象とした大気リモートセンシングを行うことで,その大気環境の解明を目指している. 本研究の特色として,惑星大気の観測研究をコアとして,その周辺領域(原始惑星系円盤観測,星間化学,地球大気物理,輻射輸送計算)の研究者によるチームを構成,学際的な取り組みを展開していることが挙げられる.初年度は,チーム内での連携により,複数の研究グループを形成し,今後の取組の基盤となる成果が創出された. 初年度の主たる成果として,アルマを用いたタイタン大気中のシアノアセチレン(HC3N)分子中の3種の13C同位体の存在量比の世界初の導出(査読付き雑誌論文として掲載)をあげることができる.星間空間において,同分子の3つの炭素原子のうち,その両端にある1ないし2の原子に13Cが濃集することが知られている.本研究では,タイタン大気中においては星間空間ほどの濃集が見られないことを示し,星間化学との気相化学過程の比較を行った.また,タイタン大気における微量分子の3次元分布の自動導出をオープンソースソフトウェアのみで行うソフトウェアの開発・検証を行い,結果を査読付きプロシーディングスとして発表した.また,海王星大気物理についての学会発表及び論文投稿,火星大気のアルマ実データを用いた輻射輸送コードの開発・検証と学会発表にも取り組んだ.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の特色である学際的な研究者による研究グループ構成を活かし,複数の研究プロジェクトの立ち上げと,論文発表・投稿,学会発表,予備解析といった成果をあげるに至っている. 星間化学・惑星大気化学連携として,タイタン大気におけるシアノアセチレン分子中の3種の炭素同位体の存在量比の導出に成功している. 地球大気物理・惑星大気物理連携の成果として,海王星成層圏ダイナミクスの直接導出に成功している.本成果は査読付き雑誌論文として投稿済であり,また学会発表済である. 科学研究の基盤となる輻射輸送計算コードの開発・検証として,探査機による地球・衛星大気のテラヘルツ分光コードを用いたアルマの実データでの検証に取り組んでいる.本成果は学会発表済であり,さらに構築済のアルマビッグデータをフルに活用した大気化学・物理研究へと発展予定である. 以上を踏まえ,初年度は各チームの構成・立ち上げと,成果の創出に成功したと自己評価しており,(2)と区分した.
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今後の研究の推進方策 |
初年度に構成したチームをベースとして,別の科研費プロジェクトとも連携しながら,さらなる成果創出につなげていく. 大気化学・星間化学連携として,アルマのビッグデータを用いた微量分子の時間発展の観測的研究に取り組んでいく.特に,同データの高い時間分解能を活かした,高エネルギー粒子の流入等に起因する突発的な大気組成変動に関する研究が重要である.必要なデータセットと解析コードは準備されている状況にある. 地球大気物理・惑星大気物理連携として,海王星ダイナミクスの直接観測論文の改訂を進め,出版を目指す.特に改訂の中で新たな解析にも取り組んでおり,各種学会での発表により,本分野の周知につとめる. 輻射輸送計算コードの開発・検証として,データセットを広く火星の一酸化炭素同位体等に広げ,光学的厚みの異なる複数輝線の同時解析による高精度な大気環境の導出に挑戦する.
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