研究課題/領域番号 |
23K20897
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補助金の研究課題番号 |
21H01192 (2021-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2021-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分17040:固体地球科学関連
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
川添 貴章 広島大学, 先進理工系科学研究科(理), 准教授 (40527610)
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研究分担者 |
井上 徹 広島大学, 先進理工系科学研究科(理), 教授 (00291500)
肥後 祐司 公益財団法人高輝度光科学研究センター, 回折・散乱推進室, 主幹研究員 (10423435)
大内 智博 愛媛大学, 地球深部ダイナミクス研究センター, 准教授 (60570504)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,420千円 (直接経費: 13,400千円、間接経費: 4,020千円)
2024年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2023年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2022年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 6,110千円 (直接経費: 4,700千円、間接経費: 1,410千円)
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キーワード | マントル遷移層 / 滞留スラブ / 粘性率 / 水 / 超高圧高温変形実験 / ウォズリアイト / リングウッダイト / 応力 / 歪 / 放射光 |
研究開始時の研究の概要 |
マントル遷移層の粘性率とその水の影響は、地球内部の熱的・化学的進化を理解する上で非常に重要である。しかし、この物性は不明である。本研究の目的は、遷移層の粘性率を主要構成鉱物(圧力)・温度・歪速度・含水量の関数として決定することである。そのために遷移層の主要構成鉱物について超高圧変形装置と放射光を用いて粘性率測定実験を行う。遷移層の粘性率とその水の影響は、実験データをマントル対流の時間・空間スケールへ外挿して決定する。
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研究実績の概要 |
当該年度は、大型放射光施設SPring-8において行った超高圧高温変形実験により取得したマントル遷移層鉱物(ウォズリアイト、リングウッダイト)の粘性率測定データの解析に取り組んだ。さらに広島大学大学院先進理工系科学研究科に導入したマルチアンビル型高温高圧発生装置の立ち上げを行った。また、超高圧高温変形実験用の精密加工環境をアップグレードした。 超高圧高温変形実験による粘性率測定では、二次元X線回折パターンとX線透過像から試料の応力と歪を算出する。粘性率の算出には試料の変形にともなう応力と歪の時間変化を測定する必要があるため、十数分毎に時分割測定を行う。この時分割測定では、測定データが多量になる。また、粘性率の主要構成鉱物(圧力)・温度・歪速度・含水量依存性を明らかにするためには、実験条件が異なる多数の実験の測定データを解析する必要がある。これらの測定データ解析は膨大になるため、測定データ解析の自動化に取り組んだ。具体的には、データ解析アプリケーションにはこれまで使用してきたものを継続して採用し、Pythonを用いてそれらのデータ解析アプリケーションを自動的に動作するようにプログラムを組んだ。この結果、二次元X線回折パターンとX線透過像から試料の応力と歪を自動的に算出できるようになった。 2020年3月に広島大学大学院先進理工系科学研究科へマルチアンビル型高温高圧発生装置を移設した。当該年度は、二段目アンビルの加圧面の一辺長が8mmである比較的大きなセルアセンブリーの発生圧力とプレス荷重の較正に取り組んだ。今後、圧力較正したセルアセンブリーを用いることにより、高温高圧下において現状より大きなマントル遷移層鉱物の多結晶体を合成し、超高圧高温変形実験の出発試料として用いる予定である。また、高酸素分圧下においてマントル遷移層鉱物の熔融実験も行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該年度の目標は、(1)超高圧高温変形実験により取得したマントル遷移層鉱物の粘性率測定データの解析を自動化することと、(2)広島大学大学院先進理工系科学研究科に導入したマルチアンビル型高温高圧発生装置を立ち上げることであった。 このため、超高圧高温変形実験により取得したマントル遷移層鉱物の粘性率測定データ解析の自動化に取り組んだ。データ解析アプリケーションにはこれまで使用してきたものを継続して採用し、Pythonを用いてそれらのデータ解析アプリケーションを自動的に動作するようにプログラムを組んだ。これは、当初の計画通りである。 2020年3月には広島大学大学院先進理工系科学研究科へマルチアンビル型高温高圧発生装置を移設した。当該年度には、二段目アンビルの加圧面の一辺長が8mmである比較的大きなセルアセンブリーの発生圧力とプレス荷重の較正に取り組んだ。これは、当初の計画通りである。 当該年度に当初予期していなかった深刻な問題は起きていない。 以上のことより、本研究課題は当初の計画通り「おおむね順調に進展している」と評価できる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、(1)超高圧高温変形実験の応力・歪データの解析、(2)実験回収試料の分析、(3)マントル遷移層鉱物の流動則の解析を進め、(4)得られた研究成果を学会・国際学術雑誌で発表する。 実験回収試料の分析では、走査型電子顕微鏡を用いて回収試料の粒径・粒界形状を測定・観察し、透過型電子顕微鏡を用いて転位組織を観察し、顕微赤外分光法により含水量を定量する。これらによりマントル遷移層の粘性率の主要構成鉱物(圧力)・温度・歪速度・含水量依存性を明らかにする。 得られた研究成果を学会で発表するとともに、論文原稿を執筆し、国際学術雑誌へ投稿する。
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