研究課題/領域番号 |
23K20924
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補助金の研究課題番号 |
21H01289 (2021-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2021-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分20020:ロボティクスおよび知能機械システム関連
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
梅舘 拓也 信州大学, 学術研究院繊維学系, 准教授 (60582541)
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研究分担者 |
岩本 憲泰 信州大学, 学術研究院繊維学系, 助教 (30778816)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,290千円 (直接経費: 13,300千円、間接経費: 3,990千円)
2024年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2023年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2022年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
2021年度: 6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
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キーワード | ソフトロボティテクス / 柔軟曲面 / デジタルファブリケーション / ソフトロボティクス / 柔軟梁 / ソフト・ロボティクス / 形態形成 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は,植物・原初的な生物・無機物の形態形成から学ぶソフト・ロボットの体系的な形状設計の構築である.本研究ではコンプライアントメカニズム,メタマテリアルの技術を前提として,ソフト・ロボットの形状設計という目的達成のため,これら技術や構造を含めた柔軟素材とセンサ・アクチュエーション要素の最適配置やインテグレーションを行うことで,所望の機能を実現する形状設計の構築を行う.
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研究実績の概要 |
本研究は,植物,原生生物,無機物(シャボン膜や結晶成長)の形成形態をお手本とし,ソフトロボットの機構設計を提案する.2年目である2022年度は,1年目で行った柔軟梁の設計の成果発表を行うとともに,柔軟梁の設計をもとにシート構造の設計を行うことで,3年目の達成目標である分岐構造を設計に発展させられるような設計基盤の確立を行った.柔軟梁状リンク構造に弾性エネルギを蓄積し,一気に開放することで移動運動を行う「Upside-down Brachiation Robot Using Elastic Energy Stored through Soft Body Deformation」を,IEEE Robotics Automation Letterで出版し,ロボット系トップカンファレンスであるIROS2022に採択され,発表した(採択率48%).また,インハンドマニピュレーションが可能な圧縮変形と曲げ変形が同時に可能なハンド「In-hand Manipulation Exploiting Bending and Compression Deformations of Caterpillar-Locomotion-Inspired Fingers」もIROS2022に採択され,発表した.この発明は,特許として出願した(小野寺智哉,梅舘拓也, "把持装置、把持機構、把持方法、およびロボット装置," 特願2022-039424).加えて,効率的な推進力が発生するように変形する柔軟脚を設計した「Conversion of Elastic Energy Stored in Legs into Propulsive Force on a Hexapod Robot」を国際学会Living Machines2022に投稿,採択され,発表した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
次年度以降に基盤となる2年目までの目標の「柔軟梁の設計」と,それらをもとにした「シート構造の設計」は,概ね順調に進展している.シート構造の設計で,今年度に主に取り組んだものは,変形させても局所座標系が直交座標系であることを保てるロボットを「Planar Conformal Deformation of Robotic S-Isothermic Surface」としてIEEE Robotics and Automation Letterで出版した.また,局面ロボットを作る際には,折り紙構造を用いて形状変形が多く提案されているが,その折り目の破損につながる応力集中を避ける折り目の設計を行った「柔軟材料の曲げ変形に対する断面形状最適化を用いた折りたたみ空気圧アクチュエータの提案」の日本ロボティクス・メカトロニクス講演会2022で発表,さらに発展させて実証実験と加えた内容を英文誌Sensor and Materialsに「Origami-based Invaginatable Soft Vacuum Actuators with Optimized Creases that Avoid Bending Stress Concentration」(Paper No.: SS-4365)として投稿した(現時点で採択済み).加えて,この折り紙構造を使い双安定構造を作成し,それらを直動バネで数珠つなぎにすることで,たった一個のモータで這行運動を生成するイモムシロボット「A Crawling Robot That Utilizes Propagation of Deformation Waves of a Bistable Lattice Actuated by a Single Motor」はIEEE RoboSoft 2023で採択され,口頭発表を行った.
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は,引き続き変形するシート構造ロボットの開発を行いつつ,シート状柔軟ロボットを基軸に,ソリッド構造や枝分かれ構造を持った柔軟ロボットの設計に発展させる.動的に動く梁にシャボン膜を張って創るシート構造において,面積最小となるシート形状を導き出し,ある形状からある 形状のシート形状に変形さるための柔軟梁の剛性分布を引き続き検討する.これにより,軽量で丈夫かつ「動く」膜構造を設計する.また,この膜構造をシミュレートし,把持や這行時に加わる外力や拘束条件を付与し,膜の設計を行うことで,極めて機能的な膜構造の設計を行う. このシートロボットの作製に併せて,我ら繊維学部の強みを活かし,さまざまな物性値や電気的特性を持つ繊維や,上記梁の設計で作製したセンサ・アクチュエータを自在に編み,織ることで,シートの作製を行う.このシート構造を用いて,面でグリッピングするソフト・ロボットハンドやぬかるみを自在に這行する移動ロボットなどを作製する.加えて,作製したシートを用いて円柱形を作り,その円柱形の分岐構造を作ることで,放散虫のように形状としては複雑だが自然界や日常生活での使用に適したより汎用的なソフト・ロボットを作製する.具体的には,全く異なるロコモーション様式を複数持つ移動ロボット(例えば,椀の屈曲でも移動運動可能で,繊毛の駆動でも動き回れるヒトデロボット)や,パッシブな大自由時系を駆使することで,狭窄空間や開放空間などの環境に応じて,駆動プログラムは同じでも全く別の振る舞いを示すロボットを作製する.また,つる植物が非常に蛇行し複雑な凹凸曲面に匠に絡みつくように,形状が複雑で壊れやすく,表面がつるつると滑るような対象物(野菜,麺類などの食品,稚魚や実験動物等)に対しても把持可能な指を複数持つロボットハンドを作製する.
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