研究課題/領域番号 |
23K20934
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補助金の研究課題番号 |
21H01331 (2021-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2021-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分21020:通信工学関連
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
前田 譲治 東京理科大学, 創域理工学部電気電子情報工学科, 教授 (10256670)
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研究分担者 |
高野 勝美 山形大学, 大学院理工学研究科, 教授 (60302303)
Kariyawasam Amila 九州大学, システム情報科学研究院, 助教 (90801192)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,290千円 (直接経費: 13,300千円、間接経費: 3,990千円)
2024年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2023年度: 5,200千円 (直接経費: 4,000千円、間接経費: 1,200千円)
2022年度: 4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2021年度: 4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
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キーワード | 光ファイバ / 無線システム / マイクロ波 / 波長多重 / 空間多重 / 光ファイバ無線 / 光単側波帯信号 / 光空間多重 / MIMO |
研究開始時の研究の概要 |
5G/6G 無線ネットワークでは、多入力多出力伝送実現のために基地局に多数のアンテナが配置され、それぞれに高度な制御が要求されている。本研究では、基地局で使用する多数のアンテナをアナログ光ファイバ無線によるリモートアンテナによって構成し、極めて簡素な基地局を実現することを目的として、波長・空間の多重化方式を併用して高次の多重化を行う方式を検討する。光単側波帯変調による波長帯域の高効率利用とモード多重により、1 本のファイバで 1 つの基地局分のリモートアンテナを収容することを目指す。
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研究実績の概要 |
高密度波長多重およびファイバのモード多重を併用したアナログ光ファイバ無線 (A-RoF) システムの原理確認を試みる。モードの異なるチャネルに多入力多出力 (MIMO) 伝送による同一の無線送受信グループを割り当て、無線受信機の MIMO 処理でモード間クロストークを等化する。またファイバの波長分散によるフェージングを回避するため、搬送波付き光単側波帯 (OSSB+C) 信号を生成して伝送に用いる。 2022年度は、任意波形発生器 (AWG) と高速サンプラを用いたオフラインマイクロ波送受信システムの信号品質の改善を行った。また複数の手法によるOSSB+C信号の生成を検討した。また少数モードファイバのモード多重・分離装置を購入し、直結時のモード分離性能を確認した。 ・AWGと高速サンプラによるオフライン送受信システムの改善:2021年度に構築したオフライン送受信システムでは、電気直交変調器の非線形性のために高次の直交位相変調信号の伝送が困難であった。このため、デバイスの非線形性を電気的に予等化する機能を実装し、マイクロ波 64QAM 信号の伝送を可能にした。その派生技術として、光直交変調器の非線形性も含めて予等化する技術も開発し、原理確認を行った。 ・マイクロ波伝送を目的としたOSSB+C 信号の生成:2022年度から、光直交変調器を用いたOSSB+C信号の生成に取り組んでいる。単一偏波の光直交変調器を位相差駆動する手法のほか、二重偏波光直交変調器を用いて一方の偏波成分をベースバンド変調、もう一方の偏波成分を周波数シフトに用いる手法を提案し、原理確認を行った。 ・少数モードファイバのクロストーク特性の確認:1550nm帯で4つのLPモードを有する少数モードファイバのモード多重・分離装置を購入し、各モード間で20dB以上の分離特性が得られていることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の最終目標である、A-RoFの波長・モード分割多重によるマイクロ波帯MIMOチャネルの収容システムの構築とその伝送特性の評価に必要な準備は以下の通りである。1. マイクロ波帯2x2MIMO送受信システムの構築、2. 他チャネルを模擬するオフライン送受信システム、3. OSSB+C信号の安定した生成、4. 波長多重合分波器の導入と特性評価、5. 少数モードファイバとモード合分波器の導入と特性評価。 2022年度は、2021年度に原型が完成した2, 3 の性能向上行った。2021年度の進捗のおかげで、全体の計画から見た伝送システム関係の進捗はおおむね順調といえるが、2x2MIMO送受信装置をマイクロ波帯に対応させたシステムの開発途中で、アップコンバート・ダウンコンバートに伴う波形歪の問題が顕在化し、その対策に追われることとなった。 5. のモード多重・分離器は購入することができたが、使用している4LP少数モードファイバが製造中止になり装置間の延長が困難になるなど、物品調達に係るトラブルが発生した。このため予定していた基本性能の評価は、年度内に着手することが不可能であった。 以上より、機材や実験環境への対応のために一部遅滞が生じているものの、本研究はおおむね順調に進行していると評価できる。
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今後の研究の推進方策 |
現時点で残されている準備は、a. 2x2 MIMO 送受信装置のマイクロ波帯への対応、b. 少数モードファイバとモード合分波器の特性評価、の2点である。 そこでまず、懸案となっている2x2 MIMO送受信装置のマイクロ波への対応を行い、OSSB+C 信号によるマイクロ波信号のMIMO A-RoF 伝送実験を開始する。これと並行して、モード多重に関する基礎的検討を開始する。 位相シフト法を用いた OSSB+C 信号の生成では、光直交変調器のバイアスの安定化が不可欠である。そこで、バイアス周りの徹底した見直しを行い、安定した OSSB+C 信号を2チャネル生成することを目指す。 モード多重に関しては、まずモード間クロストークの評価を行う。モード結合・分離器を対向使用した際には比較的大きい分離性能が得られていること、本提案のユースケースとして比較的短尺の区間が想定されることから、FMF接続部におけるクロストークの影響が懸念される。そこで、短尺の4LP少数モードファイバを購入して接続箇所の増加によるクロストークの変化を測定するとともに、数値シミュレーションとの比較による実験結果の評価を行う。 以上から得られた知見をもとに、2つの空間モードを使った MIMO A-RoF 伝送実験を試みる。無線送受信器には構築予定のマイクロ波 MIMO 送受信器を用い、2 系統の OSSB+C 信号による光区間をモード多重したシステムの伝送特性を調べる。
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