研究課題/領域番号 |
23K20935
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補助金の研究課題番号 |
21H01332 (2021-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2021-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分21020:通信工学関連
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
衣斐 信介 同志社大学, 理工学部, 教授 (10448087)
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研究分担者 |
高橋 拓海 大阪大学, 大学院工学研究科, 助教 (40844204)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,550千円 (直接経費: 13,500千円、間接経費: 4,050千円)
2024年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2023年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2022年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2021年度: 9,360千円 (直接経費: 7,200千円、間接経費: 2,160千円)
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キーワード | 統計信号処理 / 信念伝搬 / 深層展開 / 深層学習 / データ駆動最適化 / 信念伝搬法 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、大規模数の無線IoT端末が互いに時間・周波数を非同期状態で小容量データパケットの授受を効率的に行う「究極形」のランダムアクセス技術の確立である。一般的には、同期を確保するためプリアンブル・トレーニング信号を用いるが、小容量データパケットに比べて比較的長いオーバーヘッド信号を付与することは非効率であり、本来、非同期状態での通信が望ましい。この目的を達成するため、非同期ランダムアクセスのための信念伝搬(BP)検出器の開発を行うとともに、深層展開型BP 検出器のデータ駆動設計へ拡張し、深層学習技術を駆使してパラメータの最適化を行うことで、信号検出性能を最大限に引き出す工夫を施す。
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研究実績の概要 |
本研究課題は、時間・周波数同期誤差が誘発する干渉成分を効率的に抑圧するBP検出法の確立とその理論限界の解明を目的としている。効率的な干渉抑圧のために、非同期に起因して散乱する信号成分をかき集める構造としてOTFS (Orthogonal Time Frequency and Space) 変調の構造が有効であると判断し、OFDMの代わりにこれを利用する。 上記の目的を実現するため、2023年度は下記の2課題を実施した。 [課題2]深層展開型BP検出器のデータ駆動設計: 非直交OTFSのBP検出器に加えて通信路復号器の繰り返し構造を、深層展開により複数の線形層と活性化層から成る深層ニューラルネットワークと解釈し、深層学習技術を利用して最適化困難であったパラメータのデータ駆動型最適化を行ったBP検出器を設計した。また、自己符号化器を導入し、BP検出器の収束特性を改善する送信信号の設計も行った。 [課題3]BP 検出器の収束性解析による理論的枠組みの解明: これまでに得られた結果を繰り返し処理収束性の観点から理論解析の枠組みを整理し、提案方式の理論限界の解明を目標として検討を行った。現状の繰り返し信号検出では、対数尤度比の交換を相互情報量の交換として捉えて描写するEXITチャートを用いて繰り返し信号処理の収束性を解析することが可能であり、シャノン限界に漸近する信号検出精度を実現する。しかし、EXIT チャートは繰り返し挙動が既定の確率統計モデルに従う場合にのみ有効なチャートであり、今回のように学習可能パラメータが変更される場合にはそのままの形では利用できない。この問題を解決するため、本研究で提案する深層展開型信念伝搬法のために新たな収束解析法の構築を試みた。この課題は2024年度も継続して検討する課題のため引き続き検討を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度実施予定であった[課題2]「深層展開型BP 検出器のデータ駆動設計」と[課題3]「BP 検出器の収束性解析による理論的枠組みの解明と総合評価」に関して期待していた結果が得られ、多くの研究成果を報告した。また、2024年度に実施予定である[課題3]で必要となる基礎検討もすでに実施済みであり、2024年度も計画通りに研究を遂行できる見込みが立っている。上記を理由に、おおむね順調に進展していると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題の最終年度である2024年度には、これまでに得られたリンクレベルの研究成果を、ALOHA 等のランダムアクセスのMAC プロトコルを用いて、提案方式の有効性をユーザスループットの観点から評価し、提案方式の優位性を明らかにする。また、これまでに開発されているEXIT 解析、密度発展法、状態発展法に基づき理論的枠組みを拡張し、データ駆動の相互情報量の変化の観点から提案方式の振る舞いを明らかにする。
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