研究課題/領域番号 |
23K20943
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補助金の研究課題番号 |
21H01348 (2021-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2021-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分21040:制御およびシステム工学関連
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
三平 満司 東京工業大学, 工学院, 教授 (00196338)
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研究分担者 |
中浦 茂樹 佐世保工業高等専門学校, 機械工学科, 教授 (20323793)
伊吹 竜也 明治大学, 理工学部, 専任講師 (30725023)
舩田 陸 東京工業大学, 工学院, 助教 (50844247)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,030千円 (直接経費: 13,100千円、間接経費: 3,930千円)
2024年度: 4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2021年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
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キーワード | 制御工学 / 機械力学・制御 / ドローン / UAV |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では,複数のロータからなるマルチロータ型の無人航空機(UAV)に対して,運動性能解析に基づいた新規の構造設計および制御理論の構築を行う.マルチロータ型UAVに要求されるタスクの多様性と複雑性は増すばかりであり,それらタスクに対応できる高い運動性能が求められる.また,ロータが故障したときに墜落を防ぐといった耐故障性も重要である.一方,マルチロータ型UAVの構造には,ロータの個数や種類,その取り付け位置といった高い設計自由度がある.これらの事実を踏まえ,本研究ではUAVの運動性能を制御理論に基づいて解析し,既存構造よりも高い性能・安全性を有する構造設計及び制御指針を与えることを目標とする.
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研究実績の概要 |
本研究の目的は,複数のロータから構成されるマルチロータ型の無人航空機(UAV)に対して,運動性能解析に基づいた新規の構造設計および制御理論を構築することである.このために,(1)ドローンの運動性能評価指標の考案とその解析に基づく最適構造設計手法の提案,(2)運動性能解析に基づく可変構造ドローンの開発と構造変化過程の計画,(3)設計されたドローンの構造に対する最適制御手法の構築に取り組んだ. まず,(1)に関して,ロータ故障に対する耐故障性を有しつつ,良好な運動性能をもつヘキサロータを設計し,実験検証をした.提案したヘキサロータは,任意のロータ一つが飛行中に故障しても,ホバリング飛行を維持できる.この耐故障性を保証するために,ロータを非対称な位置に配置する必要があるため,運動特性も飛ぶ方向によって非対称な特性を有し,既存の対称的な形状をもつドローンと比べて制御が難しくなる.そこで,本研究では耐故障性を保証しつつ,できるだけ対称的な運動特性を有するドローン構造を設計した.実機検証により,耐故障性と所望の運動特性が満たされていることを確認した. つぎに,(2)に関して,昨年度までに導出していた安定飛行が可能な条件を,マルチリンク型の可変構造ドローンに対して適用した.この際,どのように各リンク角を制御すれば,安定した飛行を保てるかを考察した.特に,これまでは計算量が大きくオフラインの軌道計画しかできていなかったが,飛行不可能な形状を避ける制御入力をオンラインで計算する制御手法を提案した.提案手法の有効性はシミュレーションで検証をした. 最後に,(3)に関しては,複数ドローンでの物資運搬といったタスクを例にして,その制御手法や機体の構造を考察した.提案した構造は,重量削減のためにできるだけアクチュエータの個数を少なくしている.また,ドローン同士の衝突回避といった制御手法も提案した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
課題(1)に関しては,耐故障性をもつドローンを設計した上で,その運動特性の最適化も達成した.さらに,非対称な構造をもつ上,故障時にはロータが一つ使えないという厳しい条件下でも,安定した飛行ができることを実機にて検証出来たという点は,計画以上の進展といえる.課題(2)に関しても,昨年度の進捗を踏まえた上で,課題であった実時間での制御を予定通り達成できた.この成果は,オンラインでタスクに応じた変形制御を達成するために必要不可欠となる要素であり,大きな価値がある.課題(3)に関しては,物資運搬といったタスクに対して,複数のドローンを接続した構造を提案し,その運動特性を始めとした解析ができている.さらに,その機体間の接続方法は,アクチュエータの個数を減らすことで重量削減を意図したもので,当初計画にはなかった独創的な結果といえる.また,当初の予定にはなかったドローン同士の衝突回避則の提案もできていることから,当初の計画以上に進展していると評価する.
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は,まず「ドローンの運動性能評価指標の考案とその解析に基づく最適構造設計手法の提案」を目的として,ロータが傾いたドローンに対しても,耐故障性や運動特性の評価指標を提案する.今年度までの研究で,全てのロータが鉛直上向きのドローンに対して,これら2つの指標に基づいた設計・制御・実機実験の結果が得られた.この知見を活かして,より一般的なロータ傾斜ドローンに対しても耐故障性と運動特性を両立した機体の提案を目指す. つぎに,「運動性能解析に基づく可変構造ドローンの開発と構造変化過程の計画」を目的として,ドローンが取るべき構造をタスク実施の効率といった観点で最適化を目指す.このためには,今年度得られた実時間での形状制御手法を基盤とした上で,障害物回避や物資運搬といった具体的なタスクを考えた変形制御を考察する. 最後に,「設計されたドローンの構造に対する最適制御手法の構築」を実現するために,これまでに構築した新規な構造をもつドローンに対する制御手法を提案する.特に,ロータ故障時にどのような制御方策を取るべきか,物資運搬といった具体的なアプリケーションのもとでの制御手法の考察を進める.
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