研究課題/領域番号 |
23K20946
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補助金の研究課題番号 |
21H01351 (2021-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2021-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分21040:制御およびシステム工学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
藤本 健治 京都大学, 工学研究科, 教授 (10293903)
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研究分担者 |
丸田 一郎 京都大学, 工学研究科, 准教授 (20625511)
佐藤 訓志 大阪大学, 大学院工学研究科, 教授 (60533643)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,030千円 (直接経費: 13,100千円、間接経費: 3,930千円)
2024年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2023年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2022年度: 6,890千円 (直接経費: 5,300千円、間接経費: 1,590千円)
2021年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
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キーワード | 受動性に基づく制御 / スライディングモード制御 / 速度ポテンシャルエネルギー整形法 / 宇宙機制御 / 機械学習 / スパース最適制御 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、近年開発された速度ポテンシャル整形法と呼ばれる新しい制御手法を拡張し、宇宙機制御のためのさまざまな制御則を開発した。この方法で設計できる制御機のパラメトリゼーションを行い、その自由度を利用して、厳密なリアプノフ関数を持つロバストな制御系の設計、リアプノフ不安定なスライディングモード制御系やスライディングモードオブザーバの設計など、宇宙機制御に有用な新しい制御則を開発した。また宇宙機制御において重要な問題である軌道計画(軌道制御)問題においては、機械学習分野でよく用いられる確率勾配法を元にした、確率ニュートン法を開発し、従来よりも広範囲を探索できる軌道設計手法を開発した。
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研究実績の概要 |
本研究は、申請者らのグループで現在開発を進めている2つの制御手法である速度ポテンシャルエネルギー整形法と機械学習に基づく制御系設計法の理論的な手法の構築、およびその宇宙機制御への応用に関するものである。宇宙機の制御問題のうち重要なものに、宇宙機の位置や姿勢をフィードバック制御する「姿勢制御」問題と、宇宙機の軌道を計画する「軌道計画」問題がある。姿勢制御に関しては、近年国際共同研究として開発した速度ポテンシャルエネルギー整形法と呼ばれる機械システムの制御手法をベースにして、受動性に基づく制御手法とスライディングモード手法を融合させた設計自由度の高いロバスト制御手法の開発している。今年度は有限時間で全状態を整定させる特異スライディングモード制御技術を導入し、より高性能な設計を可能にした。軌道計画に関しては、最適化・機械学習など様々な分野のツールを導入して、より良い軌道を効率よく求める手法の開発を目指している。特に宇宙機の軌道を計画する問題は、大規模な非線形最適化問題であり、大域的最適化が難しい。この問題に対して、今年度はニュートン法と確率最適化を組み合わせ、局所的な最適値におちいりにくく、より広範囲を探索できる確率ニュートン法を開発した。 また分担研究者の研究においても、上記2問題を扱う手法の開発を進めており、確率システムに対する速度ポテンシャルエネルギー成形法の開発、およびニューラルネットワークを用いた最適軌道計画などの研究を進めた。 また今年度は、提案した制御則の性能を実証する実験機を導入した。現在は、実験検証のための実験機の改造をすすめており、実験のための下準備が整った状況である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究の目的は、速度ポテンシャルエネルギー整形法と機械学習に基づく制御系設計法の理論的な手法の構築、およびその宇宙機制御へ応用することにある。 特に宇宙機の位置や姿勢をフィードバック制御する「姿勢制御」問題と、宇宙機の軌道を計画する「軌道計画」問題の2つの問題に対して制御手法を開発してい る。今年度はこれらの2つの問題に対して、理論的なアルゴリズム開発を行い、以下に示すような成果が得られている。 宇宙機の姿勢制御問題に利用できるフィードバック制御に関する研究としては、速度ポテンシャルエネルギー整形法を電気・機械システムを扱えるように一般化し、全状態を有限時間整定させる特異スライディングモード制御を扱えるよう拡張した。これらの成果は、一連の提案手法の適用可能性を広げ、かつ性能向上に寄与する。また宇宙機の軌道計画問題に関連する研究としては、劣決定系のためのニュートン法と確率最適化を組み合わせた確率ニュートン法を開発し、大規模な非線形最適化である宇宙機の軌道設計問題に対して、従来よりも広範囲を探索できる最適化法を開発した。 一方、当初一昨年に予定していた実証実験用の実機の導入はやや遅れており、今年度ようやく実験機および付属品の納入が完了し、実験に向けた準備を進めつつある。この実験機を利用した研究については、当初予定よりやや遅れていることになるが、研究期間内には当初予定の内容を完了できると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の目的は新しい制御理論の開発とその宇宙機制御への応用であるが、次年度は最終年度にあたるため、これらの成果をまとめる方向で研究を進めたい。理論的な研究方針と しては、現在行っている宇宙機の姿勢制御および軌道計画に関する制御法をまとめ、どのような制御対象に対してどのような性能を達成しうるかを考察し、体系的な制御則としてまとめたい。応用に関する研究方針としては、今年度に導入したロボットマニピュレータの実験機の実験環境を整え、制御性能検証のための実機実験を行いたい。 理論面に関して残っている課題は、本手法の対象となるクラスの厳密な定式化である。あるクラスの電気システムがある変えることはこれまでの研究で確認できているが、これを一般化して確実に扱える対象を明確にしたい。また2次以上の高次のスライディングモード制御についても、プロトタイプとなる研究成果を得つつあり、この技術についても体系化を行いたい。軌道計画に関しては、最適化と機械学習の2つの分野からの知見を取り入れた設計手法の開発を行っている。現在進めているニューラルネットワークや確率最適化を援用した制御手法の体系化を行いたい。さらにはこれらの新しい制御手法を、今年度構築するロボットマニピュレータの実験機において検証したい。
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