研究課題/領域番号 |
23K20956
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補助金の研究課題番号 |
21H01379 (2021-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2021-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分21060:電子デバイスおよび電子機器関連
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
葛西 誠也 北海道大学, 量子集積エレクトロニクス研究センター, 教授 (30312383)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,290千円 (直接経費: 13,300千円、間接経費: 3,990千円)
2024年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2023年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2022年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2021年度: 8,190千円 (直接経費: 6,300千円、間接経費: 1,890千円)
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キーワード | 筋電義手 / 組合せ最適化 / リザバー計算 / 運動組織化 / 反射応答 |
研究開始時の研究の概要 |
手を失った人が装着する人工の手「筋電義手」は、思いどおりに操作することが非常に難しい。本研究では、あたかも自分の手のように操ることができる筋電義手の実現をめざし、申請者らが開発したアメーバ型電子最適化マシンと機械学習機能を融合した新しいシステムで人体の身体運動の重要な仕組みである「動作の組織化」と「反射」を人工的に再現し、人工感覚フィードバックと組み合わせることで身体の一部のような身体性を生み出す新しい筋電義手技術をつくりだす。
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研究実績の概要 |
1.モーター消費電力に基づく力覚センシングメカニズム:ロボットアームを動作させるサーボモーターの消費電力を同時計測できる機構を設け、負荷重量が異なるあるいは動きを変えた時に消費電力の時系列が変化し区別されることを確認した。 2.表面筋電筋電位積分機構のパラメータ最適化:身体運動制御系をリザバーとみなした独自の運動推論機構においては、双極誘導波形の線型結合では学習ができないことがわかりその原因について解析した。またこの知見に基づき、動作推論可能にする筋電波形積分機構を最適化した。 3.表面筋電センサの性能向上:配線雑音抑制により安定化を行なった。動作安定化に伴いセンサの検出利得を高めることが可能になり、前腕に取り付けた表面電極で指の動きに伴う極微弱筋電を捕捉できるようになった。 4.バウンスバック回路の再構成化:アメーバ型アナログ最適化計算システム(アナログ電子アメーバ)において最適化の制約式を実装するバウンスバック回路を再構成化するためにクロスバーを用いた構成を設計し、小規模回路を試作評価し再構成可能であることおよびこれをもちいた解探索が可能であることを実験実証した。 5.アメーバ型最適化システムを応用した自律歩行ロボットの行動発達メカニズムの改善。視覚に頼らない身体感覚で行動を評価する目的で、加速度センサによる歩行距離の推論機能の実装を行なった。推論移動距離が実測値と大きく異なっていた。加速度時系列解析より原因の理解と解決の見通しを得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
従来の力覚センサを用いず力覚情報を取得する独自の方法を見出すことや、独自の生体リザバー機構で精度良く意図動作推論が可能になるなど複数の成果を得ることができた。アメーバ型自律ロボット制御とその行動発達メカニズムを応用し筋電義手が自発的に「慣れる」機能を実装するコンセプトを見出すことができた。問題点がいくつか生じたが、いずれも原因理解と対策がなされた。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの成果として得られている要素技術を一体化した筋電義手制御システムを構築し操作性を評価する。前年度にコンセプト提案し原理的に可能であることを示したモーター消費電力に基づく力覚センシングメカニズムを実装する。ここで力覚情報は振動による人工感覚フィードバックに用いるとともに、筋電信号解析機構にもフィードバックし、義手の反射機構として自動的に動作アシストするようにする。 また、表面筋電センサの外部雑音抑制による安定化と指の動きに伴う前腕での極微弱筋電を捉える高感度化を図り、前年度で実証した運動制御系をリザバーと見立てた独自の生体リザバー計算随意運動推論と融合する。最後に以上3つの要素技術を一体化したし筋電義手制御システムを完成させロボットアーム制御を試みる。加えて、独自のアメーバ型自律歩行ロボット制御機構を応用し、筋電義手が自発的に「慣れる」機能を実装するために使用者の行動パターンや環境に合わせて自発的に応答を改善する機構を開発する。
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