研究課題/領域番号 |
23K20977
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補助金の研究課題番号 |
21H01461 (2021-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2021-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分22060:土木環境システム関連
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
渡邉 智秀 群馬大学, 大学院理工学府, 教授 (60251120)
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研究分担者 |
石飛 宏和 明治大学, 理工学部, 専任准教授 (00708406)
窪田 恵一 群馬大学, 大学院理工学府, 助教 (50707510)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,290千円 (直接経費: 13,300千円、間接経費: 3,990千円)
2024年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2023年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2022年度: 4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
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キーワード | 微生物燃料電池 / 有機性廃水処理 / 酸素還元反応触媒 / エアカソード / 活性炭 / 酸素還元触媒 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、微生物燃料電池(MFC)の仕組みを応用した省/創エネルギー型有機性廃水処理技術の実現を最終目標として、活性炭を原料に高活性な酸素還元反応触媒とその性能をできるだけ引き出せる触媒層を有するエアカソードの作製条件を明らかにするとともに、MFCでの使用に伴う状態変化の調査から劣化機構も検討して、有機性廃水を処理するMFCに適した低廉で高性能なエアカソードを開発する。また、アノードと組み合わせた電極モジュールを試作して有機性廃水処理の特性を把握する。
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研究実績の概要 |
鉄(II)フタロシアニン、尿素および活性炭を原料とする系ならびにフェロシアン化物、イミダゾールおよび活性炭を原料に用いる系のそれぞれについて、配合方法および配合比を広範に変更して作製した触媒試料の回転電極法によるORR活性試験を行い、それぞれの系に対する最も高いORR活性が得られる作製条件を明らかにした。また、X線光電子分光法(XPS)による試料表面での鉄および窒素の化学結合状態とORR活性との関係に関する知見を得た。さらに、それぞれの原料系で得られた試料を触媒に用いて作製したエアカソードが、ラボスケール一槽式微生物燃料電池(SMFC)において利用可能であることならびにSMFCの出力性能と使用した触媒試料のORR活性の間に強い相関があることを明らかにした。 前年度に考案したリニアスィープボルタンメントリー(LSV)を応用する簡易試験手法を用いて得られたバインダー材の種類や添加率を変更した触媒インクと電流密度の関係に基づいて、バインダー材の種類や添加率を変更したエアカソード作製してSMFCに設置して運転し、SMFCの出力性能と簡易試験での電流密度の大小に高い相関性があることなどを明らかにして、簡易試験法でバインダー配合条件を調査することの妥当性を実証した。また、ナフィオンをバインダーとした性能に相当するバインダー材やその添加率などの配合条件を実験的に明らかにした。 前年度と同一素材であるが貫通方向の物質移動速度を最大で約2.5倍向上させた改良型一体化電極モジュールでの模擬含窒素有機性廃水による処理実験を行い、電気的出力や窒素処理性能が貫通方向の酸素透過速度に強く依存することを明らかにした。また、連続操作における流入負荷と電極モジュールの出力や処理性能の関係や性能の安定性に関する知見を実験的に得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまで扱ってきた2系列の原料構成のそれぞれにおいて高ORR活性となる配合方法と配合条件を概ね把握でき、さらにそれらがMFCのカソード触媒として機能することやこれら用いたエアカソードを設置したMFCの性能に概ね対応することが明らかになった。一方でエアカソードの最適な作製条件は、触媒層を構成するバインダー材の種類やその添加率などの知見が得られているものの、最適担持量や長期使用に伴う変化などに関する検討が残されている状況にある。 また、最終年度に実施を計画していた一体化電極モジュールの作製とその基本特性の調査を前年度から前倒しして着手し始めたことが功を奏し、一体化モジュールの高性能化に関わる因子を明らかにしてその改善を進めるまでに至っている。 以上から、得られた高活性ORR触媒を用いたエアカソードの最適な作製条件の検討の一部に当初の全体計画からの遅れがあるものの、一体化モジュールの電極構成や高性能化の検討については当初計画に比べて進んでいるため、総合的には概ね順調に進んでいると判断される。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの取り組みで得られた高いORR活性を有する試料を触媒として用いたエアカソードの最適作製条件の因子として、未検討項目となっている担持量や長期安定性に関する知見を収集するための実験に特に注力する。また、得られた知見に基づいて作製したエアカソードを用いた一体化電極モジュールでの発電と有機物・窒素処理性能の実証に加えて、高性能化のためのモジュール構成に対する検討も進める。一方、さらなる高性能ORR触媒の作製条件に関する取り組みについても、上記の研究項目の遂行に支障のない範囲で継続する予定である。
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