研究課題/領域番号 |
23K20978
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補助金の研究課題番号 |
21H01466 (2021-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2021-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分22060:土木環境システム関連
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
藤岡 貴浩 長崎大学, 総合生産科学研究科(工学系), 教授 (20759691)
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研究分担者 |
安浦 雅人 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エレクトロニクス・製造領域, 主任研究員 (20760408)
新谷 卓司 長崎大学, 工学研究科, 客員研究員 (90607574)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,290千円 (直接経費: 13,300千円、間接経費: 3,990千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 5,850千円 (直接経費: 4,500千円、間接経費: 1,350千円)
2021年度: 5,460千円 (直接経費: 4,200千円、間接経費: 1,260千円)
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キーワード | 逆浸透膜 / ウイルス / 再生水 / 阻止性能 / 製膜 / 病原体 |
研究開始時の研究の概要 |
下水処理水を水道用水として循環活用する飲用再利用では、再生水摂取に伴う健康リスクを低減するため、下水中の病原性微生物を逆浸透膜等の高度水処理技術により除去している。しかし、逆浸透膜からの微生物漏れを完全に防止する技術は未だ確立されていない。そこで本研究では、逆浸透膜の繊細なポリアミド分離層の下層に孔径が正確にコントロールされた膜を組み込み、微生物漏れのない完全阻止膜を創出する。さらに、開発した逆浸透膜の実用性を実下水を用いて検証することで、「水再生用逆浸透膜」という新しい膜分離技術の確立を目指す。
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研究実績の概要 |
本研究では、無傷の逆浸透膜であっても微生物が膜透過水側に漏洩してしまう課題に対し、逆浸透膜の繊細なポリアミド分離層の支持膜に孔径が正確にコントロールされたトラックエッチド膜を組み込み、微生物漏れのない完全阻止膜を創出することを目的としている。2022年度は、逆浸透膜の支持膜に、一般的に市販の逆浸透膜で使われている限外濾過膜(不織布+ポリサルフォンの材質)の代用として、ポリカーボネート製のトラックエッチド膜を採用し、界面重合によって逆浸透膜上にスキン層を形成する製膜を行った。トラックエッチド膜の孔径としては、1マイクロメートル未満の限外ろ過膜を用いた。一般的な逆浸透膜のスキン層の製作手法および物質濃度を用いて製膜を行った結果、一般的な限外濾過膜上に製膜する場合と異なり、薬品が支持膜面上および膜の内部に残留しづらく、逆浸透膜上にスキン層が形成されづらいことが明らかになった。そこで、スキン層の材質であるm-phenylenediamine(MPD)と trimesoyl chloride(TMC)の濃度比を変更して製膜を行った結果、剥がれづらいスキン層を形成することに成功した。また、開発した逆浸透膜の塩阻止率は98%以上あり、市販の逆浸透膜と大差がないことがわかった。一方、開発した膜の純水透過性能は市販の逆浸透膜よりも低いことが分かった。今後、異なる材質の採用や改質を行うことで膜の純水透過性能の改善を行っていく必要があることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
トラックエッチド支持膜の上にポリアミド分離層を形成する新しい手法を確立することができているため。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、開発した逆浸透膜を用いて実際の下水処理水を膜処理することで、微生物の透過側への漏れの有無とその検出濃度・頻度を明らかにする計画である。
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