研究課題/領域番号 |
23K20991
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補助金の研究課題番号 |
21H01508 (2021-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2021-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分23030:建築計画および都市計画関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
前田 昌弘 京都大学, 人間・環境学研究科, 准教授 (50714391)
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研究分担者 |
木村 周平 筑波大学, 人文社会系, 准教授 (10512246)
井本 佐保里 日本女子大学, 建築デザイン学部, 准教授 (40514609)
中島 伸 東京都市大学, 都市生活学部, 准教授 (50706942)
宮本 匠 大阪大学, 大学院人間科学研究科, 准教授 (80646711)
佃 悠 東北大学, 工学研究科, 准教授 (90636002)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
8,320千円 (直接経費: 6,400千円、間接経費: 1,920千円)
2024年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2022年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2021年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | 地域コミュニティ / 協働 / アクションリサーチ / エスノグラフィ / アクターネットワーク論 / まちづくり / 下町 / 密集市街地 / スラム / 災害公営住宅 / 開かれた記述 / アクター・ネットワーク / 実質的な正しさ / コミュニティ / アクション・リサーチ / アクター・ネットワーク論 / 事例と厚い解釈 / グループ・ダイナミックス / 当事者のエンパワーメント / 重層性 / 再帰性 / 地域・都市再生 / 価値 / 社会的葛藤 |
研究開始時の研究の概要 |
近年,SDGs等にみられるように,立場の違いを超えて社会に共通の目標をつくる動きがあるが,このような潮流と既存の社会構造には依然としてギャップがあり,当事者間の対立や分断を却って顕在化させることがある。本研究では,地域のまちづくりの現場において,このような「社会的葛藤」を生み出している価値の構造を理解・記述し,その回避・解決の方途を明らかにすることを目的とする。研究者・実践者がコミュニティの複雑な関係性の中に自らを位置づけ,住民と協働するアクション・リサーチを通じて,アクター・ネットワーク論やエスノグラフィといった人文・社会科学の方法論を援用しながら,価値を「公正」に記述するための方途を探る。
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研究実績の概要 |
本年度は計5回の研究会を行った。前年度までの議論の成果を踏まえ,都市・建築計画分野の研究者(前田・中島・佃・井本)がそれぞれの実践的研究の現場において「価値の公正な記述」を実装した。実装のフィールドは,再開発に揺れる東京の下町(中島),災害に脆弱な京都の密集市街地(前田),国の法・制度の外に置かれたケニアのスラム(井本),高齢の被災者が入居した共助型災害公営住宅(佃)であり,それぞれ住民による共同的な住環境管理が行われており,そこに各研究者が住民の活動を支援するなど実践面で関わっている。それぞれのフィールドの文脈を踏まえ,「重層性」(multiplicity,同じ対象を複数の主体が異なるレベルで書く)と「再帰性」(reflectivity,書かれたものを顧みながら自己や他者に対する認識を深める)を含んだ記述を行う方法を検討し,そこに木村(文化人類学),宮本(社会心理学)が参加し,記述の方法について検証しながら進めた。また,2024年3月29日にはセミオープン形式の研究会「越境する実践知にむけてー現場の公正な記述をめぐる建築・都市,社会心理学,文化人類学の対話」を京都大学で開催し,本プロジェクトの関心の所在と問題意識の共有,記述実践の報告を行うとともに,ゲストとして招いた3名の研究者(まちづくり,都市形成史,環境社会学)からコメントをいただき,討論を行った。特に,「理念的な正しさ」と「実質的な正しさ」の齟齬を含めどのように記述するか,言葉以外(写真,絵,図面等)の記述形式やそれがアクターとなる可能性,重層性や再帰性を含んだ記述が公正さを導く可能性とそのような場を担保する必要性といった観点から議論が深まり,今後の記述実践の課題がより明確となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度はフィールドでの記述の実装に着手することができた。各フィールドでの活動の進捗や関係者との調整の状況によって記述に必要な調査(インタビュー,現場の観察等)が実施可能かどうか左右されるため,現場によって記述の足並みは必ずしも揃っていないが,本研究プロジェクトの研究期間内に一定の成果は得られる見通しである。また,年度末に開催したセミオープン形式の研究会では,今後の記述実践をさらに進めるうえで,ゲストや参加者から有意義なコメント・意見が得られた。よって研究は概ね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は本科研費プロジェクトの最終年度であり,現在行っている記述実践を完遂し,さらにこれまで行ってきた理論的・方法論的検討を含め,研究の成果を取りまとめる予定である。成果物として,報告書の作成,シンポジウムの開催,書籍の刊行等を予定している。
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