研究課題/領域番号 |
23K21012
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補助金の研究課題番号 |
21H01561 (2021-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2021-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分25010:社会システム工学関連
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
倉橋 節也 筑波大学, ビジネスサイエンス系, 客員教授 (40431663)
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研究分担者 |
小野 功 東京工業大学, 情報理工学院, 教授 (00304551)
寺野 隆雄 千葉商科大学, 基盤教育機構, 教授 (20227523)
津田 和彦 筑波大学, ビジネスサイエンス系, 教授 (50302378)
吉田 健一 筑波大学, ビジネスサイエンス系, 教授 (40344858)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,160千円 (直接経費: 13,200千円、間接経費: 3,960千円)
2025年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2024年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2023年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2022年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2021年度: 4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
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キーワード | 社会モデル / シミュレーション / スマートシティ / エージェントモデル / マクロ経済分析モデル / 新型コロナ感染症 / データ同化 |
研究開始時の研究の概要 |
感染症や都市動態など、人と人との関係を含む社会現象を解明するとき、相互作用を伴い動的に時間発展する複数の現象を扱う社会モデルを構築することは、常に困難なテーマである。多層社会の新型コロナ感染症モデルをベースに、階層性を持つ異種社会データと個体ベースモデルを融合させ、社会データ同化手法の高速化モデルを研究開発する。そして、地域コミュニティ再生および健康で包摂的な都市政策立案、未知の感染症予防への適用を通して、社会リスクに強い持続可能なスマートシティ実現のための基盤技術構築を目標とする。
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研究実績の概要 |
本年度は、社会におけるショックが引き起こす影響のうち、経済面での影響の伝播に焦点を当て、エージェントベースモデル(Agent-based model: ABM)を活用したアプローチを基盤としたマクロ経済分析モデルを構築した。エージェントベースモデルの特徴を分析し、エージェントが行動を通して相互作用することによって生じる創発的現象を分析することで、単純な行動ルールのボトムアップによって生じる、マクロなシステムの複雑な振舞いを解明すること行った。モデルは、企業、銀行、家計、政府、中央銀行の5種類のエージェントで構成され、5種類の取引市場が存在する。そして、企業が属する産業の多様性と産業間のやり取りが十分に確保され、同一産業に属する企業同士の相互作用も含めて企業間の取引関係がモデル化されている。ABMを構築した後の運用上で課題となるモデルパラメータ設定について、実数値遺伝的アルゴリズムを用いた新たな変数選択手法を提案し、遺伝子の分散を活用したI値の提案と、解探索の進捗率という考え方を導入したパラメータ選択手法の提案を行い、その有効性を示した。 また、社会的協調がどのようなメカニズムで、そしてどのような構造の中で発生するかについては、ゲーム理論、社会学、社会心理学、生物学等の分野で問題とされてきたが、エージェントの行動分析として、社会的に問題とされている制度の本質として協調を分析することも行った。予定されていないにも関わらず、繰り返し協調状態が発生することは、災害発生時の避難行動や地域医療サービスの適正化などの社会システムの設計において重要となる。制度が予定していないネガティブな協調行動を防止する手段として、個人の大胆さを減らすことが必要となることを示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
経済ショックを対象に分析フレームワークの改善に資するための各種の検討を行い、開発したマクロ経済エージェントベースモデルが、企業間の相互作用を精緻化し、従来のモデルに比べて実態をより反映した形になっていることを示すことができた。また、実数値遺伝的アルゴリズムの遺伝子分布からパラメータ間の相対的な重要性を推計する手法の提案と、マクロ経済ABM内のパラメータに対するオンライン推定の新たな手法を提案し、その有効性を明らかにした。これらによって、当初予定していた、社会データ同化手法の基本的なフレームワークが完成に大きく近づいた。
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今後の研究の推進方策 |
学校内児童の行動履歴を社会ネットワークモデルとして構築し、接触感染の媒介物となるアイテムのリスク推定を行う。また、オフィス内の対面コミュニケーションを推定するモデルを構築する。これらから、合成人口データによる世帯構成、医療レセプトデータ、地域医療を支えるク リニックでの患者特性をなどの異種データと、感染予防策、保健医療政策、社会経済政策などの社会モデルを結合する。構築したモデルに、実数値進化計算最適化法を結合させ、従来手法との比較実験を実施する。
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