研究課題/領域番号 |
23K21028
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補助金の研究課題番号 |
21H01595 (2021-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2021-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分25030:防災工学関連
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研究機関 | 国士舘大学 |
研究代表者 |
橋本 隆雄 国士舘大学, 理工学部, 特別任用教授 (40628814)
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研究分担者 |
酒井 久和 法政大学, デザイン工学部, 教授 (00360371)
池本 敏和 金沢大学, 地球社会基盤学系, 講師 (60311677)
若井 明彦 群馬大学, 大学院理工学府, 教授 (90292622)
宮島 昌克 金沢大学, 地球社会基盤学系, 教授 (70143881)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,160千円 (直接経費: 13,200千円、間接経費: 3,960千円)
2024年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
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キーワード | 石垣 / 診断システム / 非破壊検査 / モニタリング / 組積造 / 熊本城 / 示力線 / FEM解析 |
研究開始時の研究の概要 |
熊本城郭石垣は2016年熊本地震により、丸亀城石垣は2018年西日本豪雨や台風の影響で大崩壊した。しかし、現在の石垣維持管理は、文化財的価値から崩壊後に原型復旧するため「石垣カルテ」の作成だけで、その危険度評価に基づいた対策はほぼ未着手の状態である。本研究は損壊を予防するために3D技術を用いるオリジナリティのある研究で,修復プロジェクトの研究成果を踏まえ新たなシステムを構築する。本研究の成果は、限られた財源の中で効率的な維持管理及び観光客の安全性を確保するために耐震・耐豪雨の診断システムを提案し、全国の老朽化した石垣の補強対策や安全対策の普及のための指針として社会に貢献することができる。
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研究実績の概要 |
研究対象は、過去に地震被害があり3Dレーザー測量がある小峰城、松江城、松山城の3名城とした。城壁石垣は異なる場所で被害を受けており,限られたボーリングデータから石垣の基礎や背面の地層構成は把握できている状態ではなかった.そこで,ボーリングデータ(N値)の他に、地質縦断図、表面波探査、弾性波探査等から地球統計学の手法であるクリギング法により、地層ごとの3次元空間地盤モデルを作成した。 このモデルからできるだけたくさんの崩壊・変状・無被害箇所を選定し、対象とする石垣を含めた断面を切り出し,基盤面からの2次元断面図を作成した。本研究の数値解析で、局所的な崩壊挙動そのものの現象を表現することではなく,将来的に設計に用いる震度法などに用いることを目的としているため,地盤全体の挙動や応答が把握できる連続体解析のFEMを用い,石垣位置でFEMから得られる応答加速度・速度に着目し,被害との関係性を分析した. 本研究では,その解析結果を用いて各地震及び被災履歴による石垣被害要因分析を行った.各地震の被害要因分析は,石垣の各断面について石垣前面の高さと上部勾配及び石垣背面の高さと背後勾配,動的FEM解析による加速度と速度を比較対象とした.石垣の各断面の分析は,橋本の研究により全石垣タイプ,石塁タイプ,半石塁タイプの通常型と突出型,非石塁タイプの通常型と盛土型について行った.被災履歴の被害要因分析は、最大勾配・高さ・天端速度と被災履歴との関係について行った。 熊本城石垣の耐震診断では、橋本らが開発した従来の示力線法と異なり1段ごとに積み勾配が異なる積み石に作用する土圧を試行くさび法により算定し,石垣の築石に加わる土圧と石垣の自重による合力の軌跡が下の築石に作用する累積示力線法が用いられている。ただし、他の城壁では石垣形状や地盤が異なるため、累積示力線法による限界水平震度の適用性についての検証を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
研究対象である小峰城、松江城、松山城の3名城について、ボーリングデータ(N値)の他に、地質縦断図、表面波探査、弾性波探査等から地球統計学の手法であるクリギング法により、地層ごとの3次元空間地盤モデルを作成した。 このモデルから崩壊・変状・無被害箇所を選定し、対象とする小峰城23断面、松江城25断面、松山城26断面を切り出し,基盤面からの2次元断面図を作成した。動的FEM解析は、小峰城が2011年東日本大震災、松江城が2000年鳥取地震、松山城が2001年芸予地震による入力地震波を基盤から入力して行った。 各城壁石垣の被害要因分析した結果、以下のようなことが明らかとなった。(a)石垣構造の被害要因としては,石塁,半石塁の突出型,非石塁の盛土型の崩壊が多い.(b)全石垣の被害要因としては,石垣高さよりも上部勾配と天端速度の影響を受けている.(c)半石塁の被害要因としては,突出型の構造石垣高さよりも背後勾配と天端速度の影響を受けている. 城壁石垣の被災履歴と被害要因分析した結果、以下のようなことが明らかとなった。(a)過去に1回でも被災した石垣は孕みや崩壊が発生しやすく,2回以上被災した石垣は崩壊しやすい.(b)石垣構造の被害要因としては,石塁,半石塁,非石塁の順で被災履歴が多い.
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今後の研究の推進方策 |
2022年度は、これまで石垣の3Dレーザー調査や地盤調査を数多く行っている小峰城・松江城・松山城の石垣を調査対象と選定して、石垣・地盤の3次元空間の推定・石垣模型の振動台実験・解析を行った。しかし、全国を対象とした石垣危険度診断システムの構築をするためには、検証データ数が不足している。 そこで、本年度の研究対象は、さらに過去に地震被害があり3Dレーザー測量がある金沢城、松本城の2名城とする。ボーリングデータ(N値)の他に、地質縦断図、表面波探査、弾性波探査等から地球統計学の手法であるクリギング法により、地層ごとの3次元空間地盤モデルを作成する。このモデルからできるだけたくさんの崩壊・変状・無被害箇所を選定し、対象とする石垣を含めた断面を切り出し,基盤面からの2次元断面図を作成する。本研究の数値解析で、局所的な崩壊挙動そのものの現象を表現することではなく,将来的に設計に用いる震度法などに用いることを目的としているため,地盤全体の挙動や応答が把握できる連続体解析のFEMを用い,石垣位置でFEMから得られる応答加速度・速度に着目し,被害との関係性を分析する. 本研究では,その解析結果を用いて各地震及び被災履歴による石垣被害要因分析を行う。また、城壁では石垣形状や地盤が異なるため、累積示力線法による限界水平震度の適用性についての検証を行う.さらに、全国に伝わるたくさんの石垣形状の秘伝書について、力学的根拠に照らし合わせるために、築石の大きさを幅1.0mと2.0m、高さ15mの形状の石垣を想定して累積示力線を用いて、その耐震性を検証する。最終的には、これまでの熊本城も含めた6つの城壁での検証を踏まえて、全国で適用できる簡便な計算手法を用いた石垣危険度診断システムの構築を行う。
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