研究課題/領域番号 |
23K21044
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補助金の研究課題番号 |
21H01647 (2021-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2021-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分26040:構造材料および機能材料関連
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
金 へよん 筑波大学, 数理物質系, 教授 (20333841)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,550千円 (直接経費: 13,500千円、間接経費: 4,050千円)
2024年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2023年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2022年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2021年度: 9,490千円 (直接経費: 7,300千円、間接経費: 2,190千円)
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キーワード | マルテンサイト変態 / 形状記憶合金 / 超弾性 / Zr合金 / 生体材料 |
研究開始時の研究の概要 |
生体・医療分野において、MRIアーチファクトを低減する新たな超弾性合金が望ましい。生体適合性に優れ磁化率が小さいZrに着目し、準安定Zr基合金のマルテンサイト変態について界面構造、格子不変変形、内部欠陥など材料学的特徴を明らかにし、超弾性機構を解明する。低磁化率、生体適合性、高強度、高耐久性を併せ持つ新たなZr基生体・医療用超弾性合金の合金設計指針・組織制御指針を確立する。
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研究実績の概要 |
本年度は、超弾性特性および力学特性の向上を試み、Zr-Mo-Sn、Zr-Ta-Sn、Zr-Fe-Sn、Zr-Nb-Al、Zr-Ti-Nb-Sn、Zr-Ti-Hf-Nb-Sn系合金の組成最適化および組織制御を行った。各合金をアルゴンアーク溶解法で作製し加工熱処理を施した後、微細組織、結晶構造、変態温度、形状記憶特性、超弾性特性を調べた。 Zr-(2~4)Mo-(3~5)Sn合金を用いて、形状記憶・超弾性特性の組成依存性を調査した。3Sn合金の場合は、いずれのMo濃度でも明確な形状記憶・超弾性特性は発現しなかった。Sn濃度を増加させることで形状記憶・超弾性特性が向上し、5Sn 材(Zr-3Mo-5Sn合金)で最も良好な形状記憶・超弾性特性を示した。Sn量の増加に伴い、マルテンサイト変態を阻害する非熱的ω相および体心正方晶のβ'相が抑制され、応力ヒステリシスが減少した。また、Sn量の増加は、変態ひずみが大きな<110>集合組織の形成にも有効であることが分かった。β'相の内部応力による影響を調査した結果、β'相は引張の内部応力が大きい環境で形成されやすいことが示唆された。 Zr-Ta-3Sn合金では、Zr-(9~11)Ta-3Sn合金において、良好な形状記憶効果が確認できたが、超弾性は発現しなかった。Ta添加量の増加に伴い、β'相およびβ-Taが形成され、β相単相の組成を得ることができなかった。Zr-(4~6)Fe-3Sn合金では、形状記憶効果も超弾性も発現しなかった。溶体化処理後の冷却時に共析反応によりα相と金属間化合物Zr3Feが形成したためである。 Zrの同族元素であるTiとHfの影響について調査した。Hfの添加は、磁化率を減少させるため、MRI適合性の改善には有効であるが、超弾性特性は劣化した。その一方Tiは超弾性特性の改善に有効であることが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画通り、準安定Zr基合金の相構成、微細組織、マルテンサイト変態挙動、力学特性に及ぼす主要な添加元素の影響について系統的に調査し、超弾性特性に及ぼす添加元素の影響を明らかにしている。種々の合金系において、優れた超弾性を示す組成範囲を明らかにした。Zr基合金の超弾性特性を劣化させる結晶構造因子および組織因子について新たな知見が得られ、超弾性特性改善のための方針が明らかになった。
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今後の研究の推進方策 |
これまで調査した種々のZr基合金(Zr-Nb-Sn、Zr-Nb-Al、 Zr-Mo-Sn、Zr-Ta-Sn、Zr-Fe-Sn、 Zr-Ti-Nb-Sn、Zr-Ti-Hf-Nb-Sn)を対象に、相構成、微細組織、力学特性を調査し、超弾性特性を支配する因子を明らかにする。圧延率、焼鈍温度などの加工熱処理条件を変化させ、組織制御を行う。また、優れた超弾性を示す組成を対象に準安定Ti合金の強化に有効性が確認できた酸素、窒素の侵入型元素添加による強化を試みる。これまでの研究結果を基にZr基超弾性合金の合金設計指針と組織制御指針を確立する。
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