研究課題/領域番号 |
23K21056
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補助金の研究課題番号 |
21H01693 (2021-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2021-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分27010:移動現象および単位操作関連
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
小野 努 岡山大学, 環境生命自然科学学域, 教授 (30304752)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,290千円 (直接経費: 13,300千円、間接経費: 3,990千円)
2024年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2023年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
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キーワード | マイクロ流体 / 湿式紡糸 / 相転移誘起 / 分子配向性 / マイクロ流路 / せん断力 / CFD / 流動 / 相転移 / せん断場 / 剪断場 / 配向性 |
研究開始時の研究の概要 |
マイクロ流路内の制御された流体挙動は,均一溶液からの界面形成反応を即座に誘起でき,溶媒拡散によってミリ秒スケールで,ナノ粒子,マイクロ粒子,カプセル,エマルション,ナノ繊維などの精密なコロイド材料へと成形加工できる。マイクロ空間内におけるこの迅速な固体析出挙動が得られた材料の構造形成と力学物性に影響することが見いだされ,剪断場での材料への物性向上や機能付与が期待される。本研究では,高剪断場における相転移誘起によって分子配向性および力学特性等を向上させる手法について,化学工学的なアプローチによってマイクロ空間特有の操作条件と機能向上の関係性を明らかにし,異方性材料の創出プロセスの構築を目指す。
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研究実績の概要 |
本研究を強く推進するために,「マイクロ流路」,「流動・異相界面制御」,「物質移動・溶液物性解析」,「圧力損失計算・流量計測」などの要素技術について検討と実証を重ねてきた。継続的に直接観察が困難なマイクロ流路内の流動挙動予測としてCFDシミュレーションを活用し,実際のマイクロ流路内の異相界面の様子を視覚化して操作条件を検討できるようになってきた。また,マイクロ流路内で二流体が縮流することでせん断力が高まると思われていた紡糸過程においても,化学工学的計算やCFDシミュレーションの結果から,分子の配向性に影響の強い位置や条件などを見出すことができ,湿式紡糸メカニズムの解明に大きく前進した。紡糸時の内相の流動状態をより制御することによって,繊維長を制御した短繊維の調製が可能なことも見出すことができた。 それ以外にも界面から誘起される相分離挙動の挙動やそれに伴い異型化のメカニズムを無次元数などを用いて検証し,明らかにしてきた。現在のところ,数百マイクロスケールでの液滴からの微粒子・カプセル調製で結果が得られている一方で,ナノスケールの分散滴からのナノ微粒子化においても同様の挙動が適応できるかは興味深いところであり,引き続き実験的検証とCFDなどの理論的検証を並行して進めていく必要がある。いずれの研究成果も,マイクロ流路内における固体析出過程を制御することで,生成物の構造や機能に影響を与えうることが分かり,本事業の成果として大変興味深い知見を得ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
マイクロ流路内のせん断力の分布などをCFDシミュレーションや実験結果から推測することができ,湿式紡糸における配向性を向上させた相転移を目指すうえで重要な知見を得ることができた。また,液滴内での相分離誘起による構造形成において,マイクロ流路内部の流動挙動が重要であることも見出された。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの挙動はある高分子を原料としたときの解析結果であり,今後は他の高分子を原料としたときにも溶液物性をパラメーターとしてシミュレーションや実験条件で構造予測できるかなどは検討したい。また,繊維に関しては配向性を向上させることで力学的強度や導電性などの機能との相関を明らかにしていく。
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