研究課題/領域番号 |
23K21067
|
補助金の研究課題番号 |
21H01753 (2021-2023)
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2021-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分28030:ナノ材料科学関連
|
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
高野 勇太 北海道大学, 電子科学研究所, 准教授 (60580115)
|
研究分担者 |
宮武 由甲子 北海道大学, 医学研究院, 助教 (10421984)
平田 恵理 北海道大学, 歯学研究院, 助教 (10722019)
山田 勇磨 北海道大学, 薬学研究院, 教授 (60451431)
繁富 香織 北海道大学, 高等教育推進機構, 特任准教授 (90431816)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
|
配分額 *注記 |
17,550千円 (直接経費: 13,500千円、間接経費: 4,050千円)
2024年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2023年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2022年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2021年度: 9,230千円 (直接経費: 7,100千円、間接経費: 2,130千円)
|
キーワード | 三次元培養 / コアシェル型量子ドット / 電子ドナー・アクセプター分子 / 活性酸素 / 発光材料 / 量子ドット凝集体 / 光増感剤 / ミトコンドリア / インプラント周囲炎 / 量子ドット / 周囲炎 |
研究開始時の研究の概要 |
光治療向けの光機能性化合物は、患者負担の少ないがん治療などを実現できる化合物として注目を集めている。しかし従来の平面培養(2D培養)細胞を用いて開発された光機能性化合物は、ヒト生体内での動態や光応答性が不明であり、ヒト体内で十分な効果を発揮できていない。本研究では、マイクロ組織を活用した実験遂行により、ヒト体内で十分な効果を発揮する光機能性化合物開発の達成と、ヒト組織内での挙動を可視化できる光治療薬開発法の確立を行う。具体的には、従来の3D培養系に対するマイクロ組織利用の優位性を明らかにしながら、ミリ秒~数日スケ ールでの1分子レベルでの動態を明らかにし、ヒト組織に有効な化合物を完成させる。
|
研究実績の概要 |
本年度は、当初計画通り「(II):マイクロ組織内の分子動態解明を利用した高効果光がん治療薬の開発」および「(III):マイクロ組織を活用した光治療薬開発プロセスの一般化」を中心に研究遂行した。また、本研究の遂行から発明された新規ナノ粒子作成方法について「(I):3D培養系で高い浸透性・発光性・安定性をもつ機能化量子ドットの合成と培養組織内動態の解明」に関連して新規展開し、その理解の深化と基盤構築を並行して行った。 (II)に関して、各種光増感剤の改良・新規開発を行った。我々がこれまでも用いているπ拡張型ポルフィリン分子(rTPA)を利用した系の開発に成功した【成果論文2報】。ここではrTPAについて包括的な開発を行い、その液中挙動及び光励起状態での光増感剤としての性能評価をおこない、用途に応じて至適なrTPA誘導体を選択する基盤を確立した。この知見をもとに、ナノ薬剤やナノカーボンとの複合化による光治療薬向け化合物開発が加速した。 (III)に関して、歯科医療応用に向けた近赤外光治療向けの化合物開発を行った。カーボンナノホーンを担体としてrTPAと複合化することで、効果的な近赤外光増感作用を発現して殺菌効果を示す材料開発を達成した【成果論文1報】。 新規展開の(I)について、量子ドット凝集体を利用することでより長時間露光や環境変化に対しても安定に発光をつづける発光ラベルが得られることを見出した(特願2023- 79183、論文準備中)。この知見は、長時間観察が必要になることの多い3次元培養細胞系において、有用な発光ラベル調製法となりため、これを利用した薬物輸送キャリアのプロトタイプ開発も行った。これらは、3次元細胞系を基軸にした展開を行っていた本研究ゆえに実現した物質開発といえる。 以上のように、研究は申請書記載の当初計画案にそっておおむね順調に進行している。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、当初計画通り「(II):マイクロ組織内の分子動態解明を利用した高効果光がん治療薬の開発(研究2~3年目計画)」および「(III):マイクロ組織を活用した光治療薬開発プロセスの一般化(研究3~4年目計画)」を中心に研究遂行した。また、「(I):3D培養系で高い浸透性・発光性・安定性をもつ機能化量子ドットの合成と培養組織内動態の解明」に関連して、本研究の遂行から得られた新規ナノ粒子作成方法の基盤構築を並行して行った。 (II)に関して、下記2項目を進めた。(i)標的指向性分子・細胞貫通性分子を組み込んだ光殺がん化合物の合成開発と評価:前段階にて見出した3D培養細胞に効果的な標的指向性・細胞貫通性要素を、申請者が開発した光殺がん化合物と融合させた光殺がん化合物を新規合成開発。(ii)光殺がん化合物-ドラッグデリバリキャリア複合体の開発:DDSキャリアと光殺がん化合物を組み合わせた複合体を開発。 (III)についても当初計画通り、光がん治療以外の光治療分野への展開を行い、歯科インプラント治療向け化合物開発において一定の成果を得た。そしてこれらの研究遂行を通して、3次元細胞やin vitroにて動態を追跡するに適した量子ドット集合体の、ユニークで画期的な作成方法を発明した【特願2023- 79183】。 以上のように、研究は申請書記載の当初計画案にそっておおむね順調に進行している。
|
今後の研究の推進方策 |
今後は、昨年度に引き続き「II. 3D培養組織内の分子動態解明を利用した高効果光がん治療薬の開発」を行うとともに、「III.マイクロ組織を活用した光治療薬開発プロセスの一般化」を中心に進める。また、本研究の遂行から得られた新規ナノ粒子作成方法について、検討を行い理解を深め、3D培養組織での利用に適した新材料開発を進める。 具体的にII.について、本研究遂行によって見出された新手法を用いた量子ドット・薬剤化合物開発手法のさらなる深化をおこなう。これを通して前段階(I.)にて見出した3D培養細胞に効果的な標的指向性・細胞貫通性要素を、申請者が開発した光殺がん化合物と融合させた光殺がん化合物を合成開発・最適化する。これらの3D培養系における分子動態を顕微鏡観察条件を用いて検証し、3D培養系における光殺がん効果を検証し分子開発を行う。III.について、一部(インプラント周囲炎を標的とした化合物開発)は昨年度すでに論文発表を行っており、本年度は本研究の拡張を行い、当初計画記載のミトコンドリア機能関連を標的とした光治療向け化合物開発を行う。 上記研究から得られた知見をフィードバックし、「(I):3D培養系で高い浸透性・発光性・安定性をもつ機能化量子ドットの合成と培養組織内動態の解明」の再最適化を行う。また新規ナノ粒子作成方法の適応可能範囲や生体への毒性を解明し、これらを複合化して高効果光治療薬向けの化合物を作製する。
|