研究課題/領域番号 |
23K21081
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補助金の研究課題番号 |
21H01816 (2021-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2021-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分29020:薄膜および表面界面物性関連
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研究機関 | 大阪大学 (2022-2024) 分子科学研究所 (2021) |
研究代表者 |
南谷 英美 大阪大学, 産業科学研究所, 教授 (00457003)
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研究分担者 |
下出 敦夫 大阪大学, 産業科学研究所, 准教授 (20747860)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
16,120千円 (直接経費: 12,400千円、間接経費: 3,720千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 5,980千円 (直接経費: 4,600千円、間接経費: 1,380千円)
2022年度: 6,890千円 (直接経費: 5,300千円、間接経費: 1,590千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | アモルファス / トポロジカルデータ解析 / 熱物性 / 機械学習 / 熱伝導率 / 層状物質 / パーシステントホモロジー / 機械学習ポテンシャル / シミュレーション |
研究開始時の研究の概要 |
アモルファスは結晶とは異なり、わかりやすい周期性や対称性を持たず、構造と物性の関係性には多くの不明点があります。本研究ではとくに、産業応用でも重要となることが期待される2次元のアモルファスについて、その構造と物性の間にどのような関係が成り立っているかをトポロジカルデータ解析と物性シミュレーションを組み合わせて明らかにします。
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研究実績の概要 |
2次元材料においても、Siアモルファスで実証したようなパーシステントホモロジーによる物性予測が可能であるかを調べるために、本年度はシンプルな二次元アモルファス系に対して、データの集積及び解析を行った。2次元でアモルファスになりうるシンプルなモデルは、2成分のレナードジョーンズポテンシャルの系である。2成分系の場合、異種原子間の相互作用をどのように定めるかについては、何通りかの可能性がある。相互作用が最大になる半径について異種原子の場合には、同種原子の場合の平均を取るadditiveなモデルや、その対応関係をあえて崩したKob-Andersenモデルが存在する。本年度は、幾何平均・算術平均で相互作用半径を定義したモデル、80:20Kob-Andersenモデルの3通りについて、データをまとめた。 Additiveなモデルについては、半径が小さい原子の組成比を12から72%の間で変化させ、また半径比や相互作用強度比も変化させることで様々な条件で、195個の2次元アモルファスサンプルを作成した。各構造のパーシステントホモロジーを解析し、そのデータから典型的な物性値としてシア弾性率を予測することを試みた結果、幾何平均・算術平均のいずれの場合についても、高い精度を持つ予測モデルを作ることができた。 一方、Kob-Andersenモデルの場合には、冷却レートを変えていくことで、構造特徴を変調させた200個のサンプルを作成した。そして、構造特徴からシア弾性率を予測するモデルを作成したが、予測精度はあまり高くならなかった。これらの結果から、同じ2次元アモルファスであっても、パーシステントホモロジーによる構造特徴から物性値を予測できるかは、相互作用などのファクターによって異なることが判明した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
3次元バルク構造での研究が先行して進んでいるが、2次元系についても2023年度から着手することができた。ただ、2023年度での研究対象が、レナードジョーンズポテンシャルを用いた2次元アモルファスであり、具体的な物質に対するものでは無い点が課題である。この点については2024年度に改善する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度では、レナードジョーンズポテンシャルで得られた知見を、アモルファスグラフェンやアモルファスBNへと展開する。アモルファスグラフェンについては、AIREBOポテンシャルを用いることで、melt-quenchシミュレーションによってアモルファス構造が得られることが確認できている。BNについて同様の計算が可能であるかを確認する。また、冷却レートなどの計算条件を絞り込み、パーシステントホモロジーで得られる構造特徴と物性値の相関を確認する。さらに、機械学習ポテンシャルを導入することで、より実験と近い特徴を持つ構造を作ることができるかに取り組む。
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