研究課題/領域番号 |
23K21088
|
補助金の研究課題番号 |
21H01865 (2021-2023)
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2021-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分31020:地球資源工学およびエネルギー学関連
|
研究機関 | 熊本大学 (2023-2024) 山形大学 (2021-2022) |
研究代表者 |
湯口 貴史 熊本大学, 大学院先端科学研究部(理), 教授 (00516859)
|
研究分担者 |
笹尾 英嗣 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 核燃料・バックエンド研究開発部門 東濃地科学センター, リーダー (10421687)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
|
配分額 *注記 |
18,070千円 (直接経費: 13,900千円、間接経費: 4,170千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2021年度: 13,260千円 (直接経費: 10,200千円、間接経費: 3,060千円)
|
キーワード | 地層処分 / 岩石・鉱物・鉱床学 / マトリクス拡散・吸着 / 花崗岩 / 長石 / マトリクス拡散 / 吸着 |
研究開始時の研究の概要 |
結晶質岩に対する岩体内の物質移動特性の把握は,地層処分の安全評価において重要な課題に位置付けられる。物質移動現象の1つであるマトリクス拡散に関して,岩石試料を対象とした研究は報告されているものの,岩石を構成する鉱物種ごとの知見は得られておらず,鉱物に着目した研究は,マトリクス拡散現象のさらなる解明に発展をもたらす。本研究では鉱物中の微小孔がマトリクス拡散に寄与する物質移動経路であるという作業仮説のもと,微小孔の産状,成因論と物質移動特性を解明する。本研究は記載岩石学的手法と室内実験的手法の両面から実施し,岩石学的特性と物質移動特性を結び付けたマトリクス拡散に関する物質移動モデルを構築する。
|
研究実績の概要 |
本研究は,岩石学的特性と物質移動特性を結び付けたマトリクス拡散に関する物質移動モデルの構築を実施する。STEP1-STEP3は記載岩石学的手法と室内実験的手法の両面からなり,段階的に研究を実施する。STEP4は取りまとめとして,概要調査の際に岩石調査に基づく物質移動の遅延能力の評価技術を体系化する。
2023年度は「Outlining zircon growth in a granitic pluton using 3D cathodoluminescence patterns, U-Pb age, titanium concentration, and Th/U: Implications for the magma chamber process of Okueyama granite, Kyushu, Japan」を国際誌Lithosに公表した。また,「Crystallization processes of quartz in a granitic magma: Implications for the magma chamber processes of Okueyama granite, Kyushu, Japan」を国際誌Journal of Asian Earth Sciencesに公表した。本研究では鉱物中の三次元的(空間的)な内部構造を評価するための手法を開発した。 上記公表論文によって獲得した手法により,鉱物中の微小孔の三次元的な内部構造(ネットワーク構造)の評価が可能となった。また,大きな成果として,長石の変質と微小孔,【STEP3】で得られた物質移動特性を示す試料の空隙率と実効拡散係数との関係性について革新的な知見を得た。その結果,微小孔がマトリクス拡散の物質移動経路として機能すること,また微小孔が物質移動の遅延をもたらすという知見を得た。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
2023年度において,鉱物中の三次元的な内部構造の評価手法を構築した論文2編が国際誌の掲載に至った。また,長石の変質(斜長石のアルバイト化とカリ長石のパーサイト化)と微小孔,そして【STEP3】で取得した鉱物の空隙率,および透過拡散試験による実効拡散係数との関連性の解析を進め,微小孔がマトリクス拡散の遅延現象に寄与するというデータを得た。これらの結果は日本地質学会2023年年会にて報告した。以上のことを総合的に勘案し,「当初の計画以上に進展している」と判断した。
|
今後の研究の推進方策 |
最終年度となる2024年度は,長石中の微小孔と変質のネットワーク構造を新たなパラメータとしてデータの拡充を行う。微小孔と変質データ,および空隙率や実効拡散係数からなる物質移動特性との関連性評価を進め,岩石学的データから岩体の物質移動特性を評価するための手法の体系化を進める。得られた成果は順次取りまとめ,日本鉱物学会や日本地質学会での学会発表を行い,加えて論文公表に向け準備を進める。
|