研究課題/領域番号 |
23K21099
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補助金の研究課題番号 |
21H01885 (2021-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2021-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分32010:基礎物理化学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
寺嶋 正秀 京都大学, 理学研究科, 教授 (00188674)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,290千円 (直接経費: 13,300千円、間接経費: 3,990千円)
2024年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2023年度: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2022年度: 5,200千円 (直接経費: 4,000千円、間接経費: 1,200千円)
2021年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
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キーワード | タンパク質 / 反応 / 時間分解 / 顕微鏡 / 液滴 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、過渡回折格子法という、エネルギーや熱力学量や拡散過程を時間分解で観測できる手法の空間分解能と感度を向上させることを目的とする。ヘテロダイン検出法を用いることで、数マイクロメートル程度の空間分解とマイクロ秒程度の時間分解能を併せ持つ検出システムを作る。これを用いて、近年注目されている微小液滴内での拡散運動やタンパク質構造変化を時間分解で観測できるように改造し、バルク中のそれらとどのように異なるかを明らかにする。
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研究実績の概要 |
本年は、微小領域の分子運動や熱力学量計測を可能にするTG測定システムの改良を引き続き試みた。これまでのシステムでは、まだ感度と空間分解能が不足していたため、新しい対物レンズや非球面レンズを使ったシステムに改造した。また、感度を向上させるため、光学マスクを用いて2本に分割した励起パルスと、位相整合させたプローブ光を凹面鏡で集光し、ヘテロダイン検出を行った。これらの方法で、数10マイクロメートルの分解能が得られていることを確認し、両方の感度やセッティングのしやすさなどを比較した。その結果、ホモダイン検出の方が簡便でよい結果が得られることが分かった。また、このシステムを用いて制限空間効果を観測するため、微小なセルをナノ技術を用いて作成した。このサンプルセルを用いるには、通常の顕微鏡のようにサンプルを水平におく配置が望ましいため、立体型の顕微鏡システムを構築し始めた。 さらに、ヘリオロドプシンと呼ばれている新規に見つかったロドプシンファミリーのタンパク質構造変化を過渡回折格子法で研究し、他の手法では見られない構造変化を明らかにした。また、ATPを加水分解して生体で重要な信号伝達物質であるサイクリックAMP合成を行う触媒機能を持ったOaPACの反応解析を行った。その結果、円二色性分光法でも小角X線散乱法でも見られない構造変化を拡散係数変化として検出することに成功し、その時間分解測定から反応スキームを明らかにすることに成功した。さらに、この反応には2光子が必要であることも構造変化とcAMP合成速度の光強度依存性から見出して、OaPACは光強度センサーとしても働いていることを示した。AMPは生体内で重要な働きをすることから、これらの知見は、光遺伝学ツールとしても重要になるであろう。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新しい対物レンズや非球面レンズを使ったシステムに改造して、マイクロメートル領域での熱グレーティング信号やタンパク質反応で起こる拡散係数変化を時間分解で検出できた。また、通常の顕微鏡のようにサンプルを水平におく配置が色々な測定には望ましいため、立体型の顕微鏡システムを構築し始めた。マイクロストップドフローシステムを作成し、過渡回折格子法と組み合わせることで溶液交換によって誘起される変化を時間分解で追跡できるようにできたほか、マイクロメートルサイズのセルを作成して制限空間効果を観測するための準備が整った。 また、光誘起で液液相分離を起こすTePixDを発見し、いくつかの変異体を作成することでその原因を追及した。一方で、ATP特異的に液液相分離を起こすタンパク質も発見し、その特性を調べつつある。 こうした測定のためには、タグと呼ばれる精製用に必要な残基をN末やC末につけたタンパク質を使って研究されることがほとんどであったが、SyPixDという青色光センサータンパク質のこうしたタグの構造的安定性への影響を調べ、タグが存在することで多量体構造が容易に変化することを見出した。これは今後の測定する反応系の選択や準備の時に重要となる発見である。
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今後の研究の推進方策 |
液液相分離を起こす原因を探るため、液液相分離を起こすことを新規に発見したTePixDやOaPACなどのタンパク質の反応スキームを時間分解過渡回折格子法で調べ、どのような分子間相互作用が重要かなどを明らかにする。また、微小空間における反応特性を明らかにするために、マイクロセルを用いて制限空間内での反応がバルク中の反応とどのように異なるかを調べる。比較測定対象として、バルク中における光センサータンパク質反応機構の解明も引き続いて行う。例えば、我々が開発してきたeBLUFという光センサータンパク質を用いる。このタンパク質の光誘起の選択的ダイマー化反応を詳細に調べ、光遺伝学などへの応用も検討する。
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