研究課題/領域番号 |
23K21102
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補助金の研究課題番号 |
21H01897 (2021-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2021-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分32010:基礎物理化学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
石井 邦彦 国立研究開発法人理化学研究所, 開拓研究本部, 専任研究員 (80391853)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
16,380千円 (直接経費: 12,600千円、間接経費: 3,780千円)
2024年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2023年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2022年度: 7,930千円 (直接経費: 6,100千円、間接経費: 1,830千円)
2021年度: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
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キーワード | 蛍光相関分光 / 一分子計測 / 生体高分子 / 動的不均一性 / 階層的ダイナミクス |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、タンパク質や核酸などの生体高分子のダイナミクスに注目し、そこに潜む不均一性と階層性を実験的に解明することを目的とする。この目的のため、蛍光相関計測を基盤とする新しい一分子計測手法を開発し、広範な時間スケールにまたがるダイナミクス計測、および階層的なダイナミクスの計測を実現する。開発した手法を機能性生体高分子のダイナミクスに応用し、その不均一性と階層性を定量的に特徴づけるデータを得る。
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研究実績の概要 |
1.走査型2D-FLCSによる生体高分子の広ダイナミックレンジ計測:本研究テーマについては前年度までに、走査型2D-FLCSの開発とDNAホリデイジャンクションへの応用に関する論文発表を完了している。また関連した成果として、基板に固定したDNAホリデイジャンクションの一分子FRET信号の計測を行い、データ解析の専門家との共同研究で一分子FRET信号の新たな解析法に関する成果を論文発表している。本年度は2D-FLCSのさらなる可能性を探るため、水溶液中で自由拡散する単一分子を長時間捕捉することができるABELトラップの技術を持つ研究者と共同研究を行った。ABELトラップで捕捉した個々のヘアピンDNA分子に対してABEL-2D-FLCSを用いた解析を行い、分子毎の構造の不均一性を示唆する結果を得た。この成果を論文にまとめ、国際誌に投稿した。 2.多点相関計測によるダイナミクスの不均一性・階層性の検出:本研究テーマについては、当初の計画を若干変更して、多次元の光子相関マップを活用した広い意味での不均一性・ダイナミクスの計測手法の開発を行うこととした。前年度までに、マイクロ流路を用いたラピッドミキシング法と2D-FLCSを組み合わせる手法の開発を行った。他に、2D-FLCSの装置を用いて得られる光子データを元に3次元の光子相関マップを作成し、独立成分分析の原理を応用してモデルフリーで成分分離を行う手法を考案した。本年度は、Pythonを用いてこの手法を実装したプログラムを開発した。他に、FRET対を用いた2D-FLCS計測において常に問題となっていたアクセプター色素の褪色とチャンネル間のクロストークの問題に対処するため、アクセプター色素を直接励起する光パルスを導入したパルス交替励起2D-FLCSを開発し、論文を国際誌に投稿した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
生体高分子の広ダイナミックレンジ計測においては、前年度までに基板固定した生体高分子への2D-FLCSの適用方法を確立し、DNAホリデイジャンクションの構造異性化ダイナミクスについて興味深い結果を得るとともに、学会発表および国際学術誌での論文発表を行った。さらに共同研究も開始し、本年度は新しい共同研究の成果を論文投稿にまでこぎつけることができた。以上より、極めて順調に進捗していると言える。多点相関解析によるダイナミクスの不均一性・階層性の検出においては、当初の計画を変更したが、新しいアイディアに基づく研究が複数学会発表や論文投稿の段階まで進行しており、こちらもおおむね順調に進捗していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
生体高分子の広ダイナミックレンジ計測においては、ABEL-2D-FLCSを用いた共同研究論文の受理を目指すとともに、国内外で学会発表を行う。多点相関解析にによるダイナミクスの不均一性・階層性の検出においては、パルス交替励起2D-FLCSの論文受理を目指すとともに、独立成分分析を用いた新しい光子データの解析法の論文執筆を進め、またそれを応用した研究を展開する。
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