研究課題/領域番号 |
23K21106
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補助金の研究課題番号 |
21H01909 (2021-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2021-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分32020:機能物性化学関連
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研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
増尾 貞弘 関西学院大学, 生命環境学部, 教授 (80379073)
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研究分担者 |
山内 光陽 京都大学, 化学研究所, 助教 (20802226)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,550千円 (直接経費: 13,500千円、間接経費: 4,050千円)
2024年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2023年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2022年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2021年度: 9,100千円 (直接経費: 7,000千円、間接経費: 2,100千円)
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キーワード | 量子ドット / ペロブスカイト / ナノ結晶 / 発光 / 単一光子 / エネルギー移動 / 単一分子検出 / ナノ材料 / マルチエキシトン |
研究開始時の研究の概要 |
発光材料や光電子デバイスの高効率化には、効率的な励起子の生成、および有効活用が必要不可欠である。しかしながら、複数の励起子(多励起子)が系中に生成すると「励起子消滅」が起こり、励起子は失活してしまう。そこで本研究では、励起子消滅が起こる前に、多励起子を取り出す方法を実現する。量子ドット表面に複数の発光性有機分子を吸着させ、量子ドットに生成した多励起子を複数の有機分子に取り出す。有機分子からの発光光子数を測定することで、取り出した「励起子の数」を評価し、複数の励起子が取り出し可能な条件を系統的に解明する。
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研究実績の概要 |
発光材料や光電子デバイスの高効率化には、効率的な励起子の生成、および有効活用が必要不可欠である。しかしながら、複数の励起子(多励起子)が生成すると「励起子消滅」が起こり、励起子は失活してしまう。本研究の目的は、「励起子消滅が起こる前に、多励起子を取り出す」ことである。量子ドット(QD)表面に複数の発光性有機分子を吸着させ、QDに生成した多励起子を、エネルギー移動により複数の有機分子に取り出す。有機分子からの発光光子数を測定することで、取り出した「励起子の数」を評価し、複数の励起子が取り出し可能な条件を系統的に解明することを狙いにしている。この多励起子取り出しを可能にするには、QD内で起こる励起子消滅速度より、有機分子へのエネルギー移動速度を速くする必要がある。励起子消滅速度は、QDのサイズ、構造により制御することができる。一方、エネルギー移動については不明な点が多いため、蛍光共鳴エネルギー移動において重要なパラメーター、「スペクトルの重なり」「量子ドット-有機分子間距離」「有機分子のモル吸光係数」の依存性を精査し、得られた結果を基にメカニズムを検討していく。 本年度は、QDとして臭化セシウム鉛ペロブスカイトナノ結晶(PNC)を用い、そのサイズと励起子消滅速度の相関を単一光子発生挙動を観測することにより評価した。ボーア直径より小さい5 nmから25 nmのPNCを合成し、サイズと単一発光挙動を測定したところ、10 nmよりサイズが大きくなるにつれ、単一光子発光の確率が低くなることを見出した。つまり、このサイズ領域において、励起子消滅過程より発光過程が優位になることを解明した。また、昨年合成したペリレンビスイミド誘導体とCdSeQDの組み合わせについてはエネルギー移動の観測に成功し、この組み合わせでは励起子消滅がエネルギー移動より速く起こることを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究計画通り、量子ドットと色素分子の「スペクトルの重なり」について、詳細な知見を得ることに成功している。 CdSe-ペリレンビスイミド誘導体連結系については、QDからペリレンビスイミド誘導体へのエネルギー移動に成功し、多励起子取り出しについて知見を得ることに成功している。 ペロブスカイトナノ結晶については、そのサイズと単一発光挙動の相関を見出すことに成功しており、今後はこのペロブスカイトナノ結晶を積極的に用いることにより、本研究の目的を達成できると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究から、CdSe QDの場合、励起子消滅速度がエネルギー移動よりも速く起こるため、多励起子を多数の有機分子に取り出すことは困難であることを明らかにした。 今後は、様々なサイズのペロブスカイトナノ結晶を積極的に用いることにより、励起子消滅速度を制御しながらエネルギー移動効率も制御することで、多励起子取り出しが可能となる条件を検討していく。有機分子としては、ペリレンビスイミド誘導体、および市販の有機色素をメインに用い遂行していく予定である。
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