研究課題/領域番号 |
23K21116
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補助金の研究課題番号 |
21H01939 (2021-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2021-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分33020:有機合成化学関連
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
西形 孝司 山口大学, 大学院創成科学研究科, 教授 (90584227)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,290千円 (直接経費: 13,300千円、間接経費: 3,990千円)
2024年度: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2022年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
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キーワード | 立体特異的反応化学 / 緊密ラジカルペア / カップリング / アルキル化反応 / ラジカル反応 / 立体特異的反応 / キラル第三級炭素 |
研究開始時の研究の概要 |
キラル第三級アルキルハロゲン化物である、αーハロカルボニル化合物を用いて、触媒存在下、各種求核剤との立体特異的反応開発を行う。第三級炭素上で進行する立体特異的反応例は極めて少なく、またその合成化学的利用価値も未知である。本研究ではこれらの現象に緊密ラジカルペアが関与していると仮説を立て、その立証に努める。
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研究実績の概要 |
緊密ラジカルペアを経由すると期待される反応の開発が本研究の目的である。本年は、光学活性アルキルハロゲン化物のキラリティーを維持しながら行える立体特異的反応の探索を行った。その結果、これまでに次に示す2つの反応の確認ができた。1)立体特異的ヒドロキシル化反応、2)立体特異的シアノ化反応 1)キラルαブロモまたはクロロアミドと水を、銀触媒存在下反応を行うと、原料のキラリティーを維持した生成物が得られた。原料と生成物のX線結晶構造解析の結果、本反応は立体保持で進行していることが分かった。本反応で用いた銀塩はルイス酸として働いていることがわかっており、触媒が無いと反応効率が低下する。一方で、フリーラジカルが生じているかどうか検討した。その結果、tempoやBHTのようなラジカル補足剤が存在しても反応が停止しなかったことから、本反応は一般的なラジカル機構ではない。2)キラルαブロモアミドとシアノヒドリンを銅触媒、およびアンモニウム塩存在下反応を行うと、原料のキラリティーを維持した生成物が得られた。アンモニウム塩が重要な役割を果たしており、これがないと反応が進行しない。原料、および生成物のX線結晶構造解析による絶対配置の決定、および機構解析は現在実施中である。本反応で得られたシアノ化体を還元すると非天然型βアミノ酸に誘導することができる。これを利用したペプチド合成も現在実施中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
立体特異的ヒドロキシル化反応反応を仕上げ、論文投稿することができた。 そのほか、緊密ラジカルペアを経由しているであろう反応系を、予想以上に発見することができた。
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今後の研究の推進方策 |
【計画1:原料の調達】 反応の立体化学検証には、光学活性なαブロモカルボニルが必要である。予備的検討ではダイセル製キラル分取カラムを用いることで、基質を手軽に分離できることが分かっており、引き続き来年度もキラル分取による方法で原料調達を行う。しかしながら、これまでの検討で分離分取が困難なエナンチオマーがあるので、その場合にはジアステレオマーも検討する。カルボニルのα位およびエステルやアミド部位に光学活性部位を有する基質を検討する。 【計画2:反応検証】適用可能な反応群の開発:キラル第三級アルキルハロゲン化物(3°RX)が求核剤(Nu-H)、有機(半)金属試薬(RM)、または、炭素―炭素多重結合と反応した場合、各反応(付加脱離型、付加型、クロスカップリング、置換型反応)において第三級炭素の立体化学が維持されるかを引き続き検証する。これまでの3年間の検討では、銅触媒存在下、アミン、シアン化物イオン、水酸化物イオン、フッ化物イオン、末端アルキンとαブロモカルボニルが立体特異的にカップリングすることを見出している。これらの実験事実を基盤として適用できるクロスカップリングの範囲拡大を研究していく。また、シアノ化に成功しているため、これをもとにβアミノ酸および対応するペプチドの合成を試みる。
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