研究課題/領域番号 |
23K21129
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補助金の研究課題番号 |
21H01977 (2021-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2021-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分34030:グリーンサステイナブルケミストリーおよび環境化学関連
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研究機関 | 大阪公立大学 (2022-2024) 大阪府立大学 (2021) |
研究代表者 |
小玉 晋太朗 大阪公立大学, 大学院工学研究科, 准教授 (30612189)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
15,470千円 (直接経費: 11,900千円、間接経費: 3,570千円)
2024年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2023年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2022年度: 7,930千円 (直接経費: 6,100千円、間接経費: 1,830千円)
2021年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
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キーワード | 光酸発生剤 / 金属錯体 / 可視光 / 錯形成 / 感光波長 / 遷移金属 / 窒素系配位子 / カテコール配位子 / 超強酸 / 配位子 / クロモフォア / ルテニウム錯体 |
研究開始時の研究の概要 |
可視光照射により酸を発生する技術の重要性が近年急速に高まっており、3Dプリンタ用樹脂、光線力学療法の薬剤、光酸触媒といった社会基盤技術に可視光対応型光酸発生剤が積極的に応用されつつある。そのため、光酸発生剤の感光波長を長波長化する研究が盛んに行われており、簡便かつ迅速な感光波長制御技術の開発が求められている。本研究では、配位子型光酸発生剤と金属との錯形成に基づく、可視光対応型光酸発生剤のオンデマンドな感光波長制御法を開発する。これを達成するために、配位子型光酸発生剤と金属との錯形成で生成する光酸発生金属錯体の構造と光吸収特性および酸発生効率との相関を解明する。
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研究実績の概要 |
本研究では、配位子型光酸発生剤と金属との錯形成により生成する光酸発生金属錯体の構造と光吸収特性および酸発生機構との相関を解明することにより、光酸発生剤の感光波長を可視領域にまで迅速かつ自在に長波長化するための新手法を実現することを目的としている。昨年度までに、4,5-ジアザフルオレン-9-オン O-(p-トルエンスルホニル)オキシム (L) とルテニウムジイミン錯体との錯形成が L の感光波長の長波長化に有効であることを明らかにしたが、本年度では、中心金属や補助配位子の異なる光酸発生金属錯体、および、新たな配位子型光酸発生剤の合成を検討した。まず、可視光を強く吸収するものが知られているジイミン-カテコール混合配位子金属錯体に着目し、配位子型光酸発生剤 L とカテコール配位子を併せ持つパラジウム錯体の合成を検討した。その結果、完全な単離には至っていないものの、目的の L-カテコール混合配位子パラジウム錯体の生成を確認するとともに、この錯体が可視光 (> 400 nm) 照射下における酸発生能を有することを確認した。なお、配位子 L そのものは可視光 (> 400 nm) を照射しても酸発生は認められないことから、本手法が L の感光波長の長波長化に有効であることが明らかとなった。さらに、L よりも強い酸を発生できる新たな配位子型光酸発生剤として、4,5-ジアザフルオレン-9-オン O-(トリフルオロメタンスルホニル)オキシム (L’) を合成することに成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度までに、4,5-ジアザフルオレン-9-オン O-(p-トルエンスルホニル)オキシム (L) とルテニウムジイミン錯体との錯形成が L の感光波長の長波長化に有効であることを明らかにしたが、本年度では、本手法に適用できる金属種の拡張を目的として、L とカテコール配位子を併せ持つ新規パラジウム錯体の合成に着手した。その結果、完全な単離には至っていないものの、目的のパラジウム錯体の生成を確認するとともに、その可視光照射下における酸発生能を明らかにすることに成功した。さらに、L が発生する p-トルエンスルホン酸よりも強い酸であるトリフルオロメタンスルホン酸を発生可能な 4,5-ジアザフルオレン-9-オン O-(トリフルオロメタンスルホニル)オキシム (L’) を新たに合成することに成功した。 以上、配位子型光酸発生剤の感光波長の長波長化に有効な金属錯体に関する知見を実験的に得るとともに、配位子型光酸発生剤の酸前駆体の種類を拡張することにも成功したことから、本年度の研究の進捗はおおむね順調であると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
令和 5 年度の研究では、中心金属や配位子の異なる種々の光酸発生金属錯体の合成を引き続き行うとともに、可視光に感光する光酸発生金属錯体を用いて、可視光照射下での酸発生の量子収率を測定する。また、理論計算による解析を行うことにより、光酸発生金属錯体の構造と光酸発生能との相関を明らかにする。さらに、本光酸発生錯体を用いた可視光照射下での酸触媒反応への応用へと展開する。
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