研究課題/領域番号 |
23K21150
|
補助金の研究課題番号 |
21H02054 (2021-2023)
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2021-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分36020:エネルギー関連化学
|
研究機関 | 国立研究開発法人物質・材料研究機構 |
研究代表者 |
唐 捷 国立研究開発法人物質・材料研究機構, エネルギー・環境材料研究センター, 特命研究員 (80354158)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
採択後辞退 (2024年度)
|
配分額 *注記 |
17,160千円 (直接経費: 13,200千円、間接経費: 3,960千円)
2025年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2024年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2023年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2022年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2021年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
|
キーワード | 層状シリコン負極 / チウムイオン電池 / 反応制御 / 反応機構 / リチウムイオン電池 |
研究開始時の研究の概要 |
リチウム(Li)イオン電池で、シリコン(Si)は、大きな充放電容量をもつ負極材料であり、多くの研究が行われている。しかし、充放電過程での大きな体積膨張(300-400%)の問題がある。しかし、我々が開発したSi-炭素(C)層状複合化合物電極では、このような体積膨張が著しく抑えられることが見出された。これは、従来のSiとLiとの合金化反応と異なる反応の可能性を示唆している。しかしその詳細はまだ明らかではない。本研究では、実用化を目的とした高性能な層状Si負極材を開発するとともに、充放電過程で起こりうる吸着・脱着反応、置換反応、インターカレーション反応を分離し、層状Si負極材の電極反応メカニズムを明らかにする。
|
研究実績の概要 |
本研究の目的は、層状シリコン負極の電極反応メカニズムを明らかにするとともに、高性能でかつ実用性を兼ね備えた層状シリコン負極材を開発することである。目的達成に当たっては、膜厚を制御した層状シリコン(規格化した層状シリコン)の作製が鍵となる。しかし、課題申請者らの従来の層状シリコンの作製方法では、低温(-20 °C)の塩酸水溶液中での7日以上の処理過程が必要であり、膜厚制御も容易ではなかった。 本年度、課題申請者らは、新たな層状シリコンの作製方法を開発した。本作製方法では、CO2ガスを層状原材料に導入して、インターカレーション反応及び加熱反応を利用することで、作製が10時間程度に大幅に短縮できることを見出した。さらに、本作製方法では、膜厚の制御も再現性よく制御することが可能であった。得られた層状シリコン電極の充放電容量及びサイクル特性は従来のものよりも優れた特性を示した。例えば、初期放電容量は従来の方法では800 mAh/g、本作製法では1300mAh/gであった。本年度は、新規作製方法の開発と併行して、Ramanスペクトル測定及びXPS測定によって、厚さの異なる層状シリコン電極で合金化反応(LixSiの生成)が起こっているかについて検討を行っている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究におけるシリコン負極材の電極反応メカニズム解明では、膜厚を規格化した層状シリコンを再現性よく得ることが不可欠である。本年度、課題申請者らが開発した新規作製方法では、TEM観察の結果、得られたシリコン層の厚さを数原子から数十原子層の間で制御することが可能であった。さらに、膜厚に影響を与える合成条件を見出すこともできた。本年度に得られた結果は、本研究テーマの一つであるシリコン負極材の電極解明を行う上で大きな前進である。課題申請者らは、規格化した層状シリコンを用いた負極材の電極反応の解明を行っているが、これらの結果と併せて、研究は現在、当初の計画以上に遂行していると考えられる。
|
今後の研究の推進方策 |
次年度は次のことを計画している。 1) 本年度開発した作製方法をさらに検討し、合成条件と生成物の関係をさらに詳細に明らかにしていく。ここでは、層状シリコンの膜厚に影響を及ぼす合成条件について明らかにし、膜厚が数原子から数十原子からなる層状シリコンを作製することを目指す。 2) 異なる膜厚の層状シリコンとグラフェンの積層コンポジット電極の電極特性(充放電容量とサイクル特性)を測定し、シリコンの膜厚と電極特性の関係を明らかにする。 3) 層状シリコン電極について、XRD、TEM、Ramanスペクトル測定に加え、その場AFM測定及び水晶振動子マイクロバランスシステム(QCM)を用いた分析を実施していく。 これらの項目を実施することで、層状シリコン電極の電極反応メカニズムの解明を行うとともに、従来のものよりも高い性能をもつ層状シリコン電極の開発を目指す。
|