研究課題/領域番号 |
23K21151
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補助金の研究課題番号 |
21H02058 (2021-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2021-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分37010:生体関連化学
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
田村 朋則 京都大学, 工学研究科, 講師 (10746639)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,550千円 (直接経費: 13,500千円、間接経費: 4,050千円)
2024年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2023年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2022年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2021年度: 7,410千円 (直接経費: 5,700千円、間接経費: 1,710千円)
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キーワード | 脂質 / イメージング / リピドミクス / CRISPRスクリーニング / ホスファチジルコリン / O-Click FC / フローサイトメトリー / オルガネラ / メタボロミクス / 代謝物 |
研究開始時の研究の概要 |
メタボローム(代謝物総体)は表現型と直接相関する重要な生体分子群であり、生命現象の理解のためにはメタボロームの時空間的な発現プロファイル解析が不可欠である。しかし、その生化学的・分析化学的な扱いにくさから、細胞内代謝物を高い時空間分解能で調べる方法はほとんどない。このような背景から、本研究では時空間メタボロミクスを実現する新手法の開発を目指す。具体的には、細胞内の狙ったオルガネラ内に存在する代謝物を任意のタイミングで空間特異的に化学標識するための反応性分子プローブを開発し、これを用いた新規メタボロミクス法を確立する。
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研究実績の概要 |
従来型の細胞の脂質分析では、大量に集めた細胞抽出物の放射線分析や質量分析を行う方法が主流である。この方法には多大な時間と労力がかかり、多数のサンプルを解析する際のボトルネックとなっている。2万種類にもおよぶ人の遺伝子と脂質代謝の関わりを突き止めるためには、本課題の解決が重要である。本研究では、細胞オルガネラ特異的に脂質を蛍光標識する我々独自の技術を活用し、細胞内における脂質の「存在量」と「空間分布」を、単純な蛍光シグナル情報として捉えて超高速(1万細胞/1秒)に解析する技術「O-ClickFC」を開発した。本技術の活用により、人の全遺伝子の変異をもつ細胞集団から、脂質の代謝が異常な細胞を選別し、その原因遺伝子を同定することが可能となった。我々は実証実験として、人の脂質の主要成分であるホスファチジルコリンの代謝に重要な遺伝子49個を同定し、FLVCR1など多数の新規遺伝子を発見した。詳細な解析から、FLVCR1は生命維持に必須の栄養素コリンを細胞内に取り込ませる役割をもつことを見出した。さらに、遺伝性神経疾患の原因となる変異型FLVCR1はコリン取り込み活性を喪失するという病態発現メカニズムの一端を解明した。 本技術は、今後、脂質だけでなく、糖やアミノ酸などの様々な代謝物の解析に応用できいると予想され、がん・肥満・糖尿病など代謝異常が原因である生活習慣病の病態解明に貢献すると考えられる。また、病態発現と代謝異常を結びつけている遺伝的要因や、創薬標的の候補分子を網羅的に同定することで、さまざまな疾患における治療法の開発が期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の予想を大きく上回る成果として、オルガネラ選択的脂質ラベリング技術を応用してホスファチジルコリンの関連遺伝子を網羅的にスクリーニングする新手法O-Click FCの開発に成功した。
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今後の研究の推進方策 |
今後はO-Click FCの適用範囲を拡張を目指し、他の様々な脂質種や脂肪酸特異的な蛍光標識技術を開発する。また、得られた遺伝子リストの中からホスファチジルコリンとの関連性が未だ解明されていない遺伝子を複数ピックアップし、そのフォローアップ検証を実施する。
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