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植物の同化産物輸送・分配制御機構の解明 -転流における茎の機能-

研究課題

研究課題/領域番号 23K21159
補助金の研究課題番号 21H02085 (2021-2023)
研究種目

基盤研究(B)

配分区分基金 (2024)
補助金 (2021-2023)
応募区分一般
審査区分 小区分38010:植物栄養学および土壌学関連
研究機関筑波大学

研究代表者

松倉 千昭  筑波大学, 生命環境系, 教授 (60361309)

研究分担者 古川 純  筑波大学, 生命環境系, 准教授 (40451687)
尹 永根  国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 高崎量子応用研究所 量子バイオ基盤研究部, 主幹研究員 (50609708)
研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2024年度)
配分額 *注記
17,160千円 (直接経費: 13,200千円、間接経費: 3,960千円)
2024年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2023年度: 4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 4,940千円 (直接経費: 3,800千円、間接経費: 1,140千円)
2021年度: 4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
キーワード同化産物輸送 / 茎 / デンプン欠損 / PETIS / トレーサー解析 / 主茎節 / 同化産物転流 / 果柄 / トマト / トランスポーター / 薄層クロマトグラフィー / AGPase
研究開始時の研究の概要

作物にとって茎部は植物体を支える構造器官であるだけでなく、ソース(葉)とシンク
(種子、果実など)をつなぐ長距離輸送経路としての役割を持つ。同化産物輸送の効率化は作物の収量性を改良する上で重要と考えられるが、従来の研究はソース・シンクに偏重し、茎部における同化産物輸送の制御メカニズムは解明されていない。そこで、本研究課題では
1) 茎部における同化産物の貯蔵・再分配メカニズム、2) 花(果)柄を介した果実シンク能制御メカニズムの解明を通して同化産物輸送における「茎」の機能解明を行う。「茎の輸送機能強化」という新たなアプローチで収量性を向上させる技術を開発することを目指す。

研究実績の概要

作物にとって茎部は植物体を支える構造器官であるだけでなく,ソース(葉)とシンク(種子,果実など)をつなぐ長距離輸送経路としての役割を持つ.同化産物輸送の効率化は作物の収量性を改良する上で重要と考えられるが,茎部における同化産物輸送の制御メカニズムは不明である.本研究はトマトのデンプン生合成能欠損系統 [ADP-glucose pyrophosphorylase 小サフユニット遺伝子 35S プロモータードライブRNAi形質転換体 (AgpS1-67) ]と非形質転換体(WT)を比較解析することにより,同化産物の長距離輸送や分配における茎、果柄の機能を解明することを目的としている.2023年度は,1)2022年度に実施したポジトロンイメージング (PETIS) を用いた茎部における同化産物輸送動態のデータ解析,2)茎部、果柄におけるRNA/miRNA-seq,3)14C標識CO2を用いた茎部における同化産物の代謝動態解析を実施した.その結果,1)では主茎-果房の同化産物分配制御部位は果房基部主茎節であるという結論を得た.また、果房に分配されない同化産物は地下部に流入していることが明らかとなった.2)では主茎節において非形質転換体とAgpS1-67系統間で発現プロファイルが大きく変化していることを明らかにし,発現変動を示す糖トランスポーターやそれらを標的とするmiRNAの絞り込みを行った.3)では2022年度に引き続きWT,AgpS1-67に14C標識CO2を用いたトレーサー解析を行い,そのサンプルを用いて薄層クロマトグラフィー(TLC)による14C標識代謝産物の検出を試みた.2022年度は14C標識代謝産物を検出できなかったが,2023年度は施用,検出条件の最適化を行い,14C-スクロースの検出に成功した.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

(1)PETIS解析で得られたデータを基に茎部における同化産物輸送動態の解析を行った.主茎節上部,主茎節,主茎節下部,果柄,果実に関心領域 (ROI) を設定し,各ROIにおける11C-同化産物量の経時的変化を算出した.11C の動態を解析した結果,主茎における同化産物の平均移動速度はWT において 5.6 mm/分,AgpS1-67 系統において 7.1 mm/分 となり,AgpS1-67系統ではWTと比較して同化産物の植物体基部への移動速度が速くなる傾向が見られた.また,ROI 内の放射能量をグラフ化し 11C の動態を経時的に解析した結果,主茎節における同化産物転流の配向は,WT では果房方向に多く流れるのに対し,AgpS1-67 系統では果房よりも植物体基部方向に多く流れる傾向があることが明らかとなった.これらの分配の差は果房基部主茎節において生じていたことから,同組織に同化産物転流の配向を制御する何らかの機構が存在すると結論した.
(2)WT,AgpS1-67 系統の果房基部主茎節,果柄を用いて RNA-seq/miRNA-seq を行った.PCA 解析の結果,遺伝子発現プロファイルは,果柄においてWTとAgpS1-67系統間で遺伝子発現プロファイルに顕著な差は見られなかったのに対し,果房基部主茎節では両系統間で大きく変化していることが明らかになった.果房基部主茎節において顕著な発現変動を示す遺伝子(DEG)の絞り込みを行い,複数のスクロース輸送担体およびジカルボン酸輸送担体を同定した.また,それらのDEGを標的とするmiRNA候補についても複数因子を絞り込むことに成功した.
(3)14C標識CO2を施用したサンプルを用い,TLCによる14C標識同化産物の分離・検出を試みた.今年度はCO2施用やシグナル検出条件を再検討し,14C-スクロースの検出に成功した.

今後の研究の推進方策

(1)トマトデンプン生合成能欠損系統AgpS1-36 (ADP-glucose pyrophosphorylase 小サフユニット遺伝子 PEPC2プロモーター駆動型RNAi形質転換体) と非形質転換体 (WT) を用いてPETIS解析および13C標識CO2を用いたトレーサー解析を行う.PEPC2プロモーターは果実特異的な発現を付与するため,35Sプロモーター駆動型のデンプン欠損系統,非形質転換体から得られた結果と比較解析することにより,ソース-シンクバランスが異なる個体の主茎節における同化産物分配の動態変化を総体的に明らかにできると考えられる.
(2)2023年度にRNA-seqおよびmiRNA-seqによって絞り込んだDEGについて,植物体レベルで発現特性を解析する.また,主茎節間を用いてRNA-seq/mRNA-seqの追加解析を実施し、節間-果柄-果房基部主茎節で比較解析を行う.これらの解析により,主茎節基部で特異的に機能する作動因子を同定できると考えられる.
(3)RNA-seq解析において、デンプン欠損系統でスクロース輸送担体に加えてジカルボン酸輸送担体遺伝子の発現が大きく変動していることが明らかとなった.ジカルボン酸にはリンゴ酸、2-オキサロ酢酸、グルタミン酸などの重要代謝産物が含まれることから非常に興味深い結果と考えている.そのため、2024年度は,2023年度に条件検討を行った植物サンプルを用い,TLCでジカルボン酸代謝産物が検出できるか検討を行うと共に,デンプン生合成能欠損系統における蓄積動態を解析する.

報告書

(3件)
  • 2023 実績報告書
  • 2022 実績報告書
  • 2021 実績報告書
  • 研究成果

    (2件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] ADP-glucose pyrophosphorylase genes are differentially regulated in sugar-dependent or -independent manners in tomato (<i>Solanum lycopersicum</i> L.) fruit2023

    • 著者名/発表者名
      Yin Y-G, Sanuki A, Goto Y, Suzui N, Kawachi N, Matsukura C
    • 雑誌名

      Plant Biotechnology

      巻: 40 号: 4 ページ: 345-351

    • DOI

      10.5511/plantbiotechnology.23.1004a

    • ISSN
      1342-4580, 1347-6114
    • 年月日
      2023-12-25
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] トマトデンプン欠損系統における器官間炭素動態解析2022

    • 著者名/発表者名
      松倉千昭,尹永根,余暁然,鈴井伸郎,三好悠太,野田祐作,河地有木
    • 学会等名
      第59回アイソトープ・放射線研究発表会
    • 関連する報告書
      2022 実績報告書

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公開日: 2021-04-28   更新日: 2024-12-25  

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