研究課題/領域番号 |
23K21175
|
補助金の研究課題番号 |
21H02123 (2021-2023)
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2021-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分38030:応用生物化学関連
|
研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
亀山 昭彦 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 上級主任研究員 (80415661)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
|
配分額 *注記 |
17,550千円 (直接経費: 13,500千円、間接経費: 4,050千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2022年度: 5,720千円 (直接経費: 4,400千円、間接経費: 1,320千円)
2021年度: 7,020千円 (直接経費: 5,400千円、間接経費: 1,620千円)
|
キーワード | ムチン / グライコミクス / O型糖鎖 / 糖鎖ライブラリー / 分子マトリックス電気泳動 / O型糖鎖ライブラリー / グリコシルスレオニン / 糖転移酵素 / 質量分析 / グライコプロテオミクス |
研究開始時の研究の概要 |
ムチンは疾患糖鎖バイオマーカー探索において広大な未開拓領域であり新知見の宝庫と考えられるが、ムチンに結合するO-結合型糖鎖の分析は困難であり、またムチンのタンパク質同定も容易ではない。本研究課題では、O-結合型糖鎖の迅速な構造解析を実現するためのO-結合型糖鎖ライブラリーの作製とそれを利用した分析データベースの構築、さらに申請者がまさに最近に見出した化学的タンデムリピート断片化現象に基づいて、ムチンコアタンパク質の新たな同定法を開発することにより、ムチンの糖鎖とコアタンパク質の両方を精密に解析できる全く新しいグライコプロテオミクスの技術基盤を創製する。
|
研究実績の概要 |
ムチンは疾患バイオマーカー探索において極めて有望な標的であるにも関わらず、解析が難しいため広大な未開拓領域となっている。この難題に挑むためにはどのムチンタンパク質にどのような糖鎖が付加されているか、すなわちタンパク質と糖鎖の両方を網羅的に解析する手法が必要である。申請者はこれまでにムチンの分離分析法と画期的なO結合型糖鎖遊離法(脱離オキシム化法)を開発した。 令和4年度は、産総研ヒト糖転移酵素ライブラリーを用いて、コア3のO型糖鎖基本構造を有するスレオニンの糖鎖伸長を行い、各糖転移酵素基質特異性を明らかにしながら各種糖鎖スレオニンを合成し、コア3糖鎖スレオニンライブラリーを調製した。ガラクトースをβ1-3結合で糖鎖伸長する良い酵素が見つからず、主としてβ1-4結合で伸長した糖鎖を合成した。他にフコースやシアル酸を伸長し糖鎖のバリエーションを増大させた。 糖鎖構造の同定法については、還元β脱離で得られるアルジトール体を完全メチル化し、逆相HPLCで分離し、溶出液を全て経時的に分画した後、MALDI-QIT-TOF MSで多段階質量分析を行うと、異性体構造も含めた詳細な構造解析が可能であることが判った。混合物ではイオン化が難しい硫酸化糖鎖もこの方法で分析すると強いシグナルを与え構造解析することができた。ライブラリー構築が難しい糖鎖については、このような方法での解析が可能である。 ムチンの同定法の開発については、ムチン糖ペプチドの化学的処理により断片化を検討した。得られるペプチド断片には化学修飾が起きており、プロテアーゼによる分解のような単純な加水分解ではないことが判明した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
糖鎖スレオニンライブラリーの構築は、用いる糖転移酵素の活性に大きく依存する。そのため、活性の強い酵素を用いる糖鎖伸長では種々の糖鎖を調製することができるが、活性の弱い糖転移酵素が必要になる構造は調製が難しい。そのため、糖鎖スレオニンライブラリーに構造の偏りが生じている。
|
今後の研究の推進方策 |
硫酸化糖鎖や合成が難しい糖鎖については、種々の糖鎖を合成して糖鎖スレオニンライブラリーに組み込むのではなく、典型的な糖鎖のみを合成し、それらの多段階質量分析データから演繹的に構造解析するアプローチを検討する。
|