研究課題/領域番号 |
23K21179
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補助金の研究課題番号 |
21H02134 (2021-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2021-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分38050:食品科学関連
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研究機関 | 茨城大学 |
研究代表者 |
鎗田 孝 茨城大学, 応用生物学野, 教授 (20358295)
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研究分担者 |
大竹 貴光 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 計量標準総合センター, 主任研究員 (60443173)
川口 研 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 計量標準総合センター, 主任研究員 (50455440)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,680千円 (直接経費: 13,600千円、間接経費: 4,080千円)
2024年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2023年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2022年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2021年度: 9,100千円 (直接経費: 7,000千円、間接経費: 2,100千円)
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キーワード | 食品分析 / 残留分析 / 高温高圧水 / 農薬 / ビスフェノールA / 貝毒 |
研究開始時の研究の概要 |
食品中の残留微量化学物質の分析では、抽出、精製、機器分析の操作を順次行う必要がある。しかし、これらの操作には有害な有機溶媒が必要であり、また長時間を要している。そこで、本研究では、有機溶媒の代わりに加圧して100℃以上に加熱した水(超高温水)を活用することにより、抽出、精製、機器分析を有機溶媒なしで行う分析法を開発している。具体的には、抽出は超高温水抽出法によって行い、得られた抽出液を超高温水クロマトグラフィーによって精製と機器分析する方法と、バイアル抽出法によって精製してからガスクロマトグラフィーによって機器分析する方法の開発に取り組んでいる。
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研究実績の概要 |
食品残留分析は有機溶媒を常用するために、環境負荷等の問題がある。そこで、有機溶媒の代替に100℃以上に加熱した超高温水を活用し、食品残留分析をグリーン化および迅速化することを目指している。具体的には、超高温水抽出法(SWE)を基にして、超高温水クロマトグラフィー(SWC)をオンラインで行うオンラインSWE-SWC法(サブテーマ1)と、SWE抽出物中の分析種をバイアル抽出等で抽出しさらにGCで分析する複合分析法(サブテーマ2)を検討している。 サブテーマ1では、昨年度に引き続きビスフェノールA(BPA)をモデル化合物に使用して、SWEとSWCをオンライン化するためのインターフェースを検討した。トラップカラムとしてC2-シリカゲル、CN-シリカゲル、ポリスチレンジビニルベンゼンを用いて、BPAのトラップ及び脱着性能を評価した。その結果、CN-シリカゲルを用いた場合に、SWE抽出液中のBPAを室温で10分以上トラップでき、さらにカラム温度を60℃に上昇することによりBPAを脱着させ、SWCに導入することができた。また、SWCに導入したBPAを良好に分離するために、SWCの分析中に分離カラム温度を60℃から200℃に変化させることで、ピークの広がりを抑えることもできた。 サブテーマ2では、バイアル抽出法に関して、使用する内標準を最適化して分析の正確さを向上させた。一方、昨年度新たに検討した固相ミクロ抽出(SPME)がSWE抽出物中の残留農薬を良好に抽出・精製できたことから、この方法の定量性を評価した。その結果、カーボキセン/ポリジビニルベンゼン相を用いたSPMEにおいて、検討した濃度範囲(0.001 µg/mL~0.1 µg/mL)での決定係数は0.96以上であり、また、基準値相当のカーバメート系農薬を測定するために十分な感度を有することが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
サブテーマ1では、昨年度の検討でモデル化合物としたBPAを用いて、SWE装置とSWC装置をオンライン化した。この装置によって、BPAの抽出と、抽出物のクロマトグラフィーを有機溶媒を用いずに行うことが可能となった。この進捗は、当初計画からモデル化合物は変更したものの、概ね実施計画通りと言える。さらに、SWCに導入したBPAをピークの広がりを抑えながら分離するために、温度プログラム法を適用したSWC分析条件を確立することもできた。研究最終年度の令和6年度にこの分析法の定量性を評価し、必要に応じて装置を改良すれば、研究目標を十分達成できる見込みである。 一方、サブテーマ2では、SWE抽出物の抽出・精製法として、当初計画にあるバイアル抽出法に加え、昨年度からSPMEの適用も検討している。今年度前半までの検討結果から、SPMEの方がより高い感度を有していると考えられた。そのため、本年度後半は、SPMEにおける定量性を重点的に検討した。その結果、基準値相当のカーバメート系農薬を定量することができる精確さと感度を有することが明らかになった。今後様々な実試料を用いて妥当性を検証することにより、残留農薬のモニタリング分析への適用も可能になると考えられる。 以上の実施内容を総合的に評価した結果、本研究はおおむね順調に進捗しているものと評価する。
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今後の研究の推進方策 |
サブテーマ1では、今年度試作したSWEとSWCの複合装置について、直線性などの分析性能を評価する。さらに、本法の適用範囲をBPA以外にも拡張するために、SWCによるアルコール類や農薬類の分析法も検討する。 サブテーマ2については、研究計画では分析法そのものに関する検討は行わずに、昨年度までに確立した方法の妥当性確認を行うことになっている。実際に、昨年度までに野菜中のカーバメート系農薬をSWEによって抽出し、その抽出物をSPMEで抽出・濃縮したのちGC/MSで分析する方法を確立できたことから、この方法を実野菜中の残留農薬のスクリーニング分析に適用する予定である。
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