研究課題
基盤研究(B)
これまでの研究により、腹部大動脈瘤と食生活が関係する可能性があることが示されているが、どのような化合物がどのような影響を与えるのかなどといった詳細については不明な点が多い。本研究は腹部大動脈瘤の進展・破裂機序の解明を基礎研究の軸としながら、」食品と腹部大動脈瘤の関係を紐解き、腹部大動脈瘤の予防・治療法につながる知見の獲得を目指すものである。
本研究は腹部大動脈瘤の進展や破裂に至る病理学的機序の理解と、病態の進展や破裂を予防するための方法を確立することを目的としたものである。病理学的機序の解析:これまでの本研究の成果により、腹部大動脈瘤発症、初期に変動する因子が段階的に変化する可能性を見出した(Biology 2021)。この解析は病理学的解析に基づくものであり、本年度は力学的変性が観察される時期の探索を中心に行った。この結果、大動脈の脆弱化が観察される時期が明らかになった。現在は、大動脈脆弱化を誘導する因子を探索している(未発表)。進展・破裂予防法:これまでの本研究で腹部大動脈瘤の進展を抑制される可能性が報告されているエイコサペンタエン酸(EPA)とM2マクロファージの関係について報告した(Food & Funct. 2021、J. Lipid Res. 2022)。本年度は、EPAの効果の有無を決定する機序を推測するため、前年度とは異なる条件下におけるEPAの体内分布を解析した(論文準備中)。また、腹部大動脈瘤進展を抑制しうる機能性成分としてβカリオフィレン(Biomedicine & Pharmacotherapy 2022)やトリカプリン(Biomedicine & Pharmacotherapy 2023)を見出した。その他、女性に発症した腹部大動脈瘤を予防しうる成分としてのイソフラボンの研究を行った(J. Oleo Sci. 2022)。また、日本人腹部大動脈瘤患者の食事調査を行い、患者で観察される食事傾向を報告した(J. Oleo Sci. 2023)。
1: 当初の計画以上に進展している
基礎研究の成果として論文を4報、学会発表7件(うち招待講演2,国際学会2)発表したことに加え、発見した成果の社会実装化の可能性を見出した。さらに、昨年度報告した研究成果を受け、新たな国際共同研究チームを発足させることになったため、当初の計画以上に進展していると考えられる。
当初予定していた計画を遂行するほか、本研究で見いだされた腹部大動脈瘤予防・治療剤効果の作用機序を明らかにする研究を発展させていきたい。
すべて 2023 2022 2021 その他
すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (9件) (うち国際共著 3件、 査読あり 9件、 オープンアクセス 8件) 学会発表 (16件) (うち国際学会 2件、 招待講演 6件) 備考 (3件)
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