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直播と地下点滴潅がいによる水稲-コムギ輪作体系の生産力と環境負荷低減効果の検証

研究課題

研究課題/領域番号 23K21189
補助金の研究課題番号 21H02173 (2021-2023)
研究種目

基盤研究(B)

配分区分基金 (2024)
補助金 (2021-2023)
応募区分一般
審査区分 小区分39020:作物生産科学関連
研究機関香川大学

研究代表者

豊田 正範  香川大学, 農学部, 教授 (30284350)

研究分担者 当真 要  北海道大学, 農学研究院, 教授 (10514359)
諸隈 正裕  香川大学, 農学部, 准教授 (50284352)
水田 圭祐  香川大学, 農学部, 助教 (50910056)
研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2024年度)
配分額 *注記
18,200千円 (直接経費: 14,000千円、間接経費: 4,200千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 14,820千円 (直接経費: 11,400千円、間接経費: 3,420千円)
キーワード水稲 / 直播 / 輪作体系 / 生産性 / 温室効果ガス
研究開始時の研究の概要

本研究は直播と地下点滴潅がい栽培による水稲-コムギの輪作体系における生産性と温室効果ガス排出量削減効果の検証を目的としている.水稲の点滴潅がい区では,点滴チューブを埋設した畑地圃場にシードテープで直播し,湛水栽培区は水田にポット育苗した苗を移植した.水稲の収穫後,畑地圃場と水田の水稲作後にコムギをシードテープで条播した.地上部乾物重,葉面積,積算吸収日射量,葉齢,茎数,SPAD値の定期調査による生育評価と収量および収量構成要素を調査した.水稲,コムギともに生育期間中は毎週1回,圃場から排出される二酸化炭素,亜酸化窒素,メタンをチャンバー法により測定して温室効果ガスの排出量を評価した.

研究実績の概要

2021,2022年度に引き続き,2023年度は香川大学農学部内の畑地と水田の両試験圃場にて,水稲-コムギ輪作の栽培試験を実施した.水稲栽培では,畑地圃場の点滴潅がい区に点滴チューブを地表面からの深さ20cmに埋設した.6月13日に種子間隔3cmのシードテープを条間30cmで1畝につき6条を播種した.水田の湛水栽培区には6月13日に株間15cm,条間30cmで移植した.点滴潅がい区の日々の潅水量は推定蒸発散量と作物係数により決定し,降雨の際は適宜潅水を控えた.湛水栽培区は代かきから成熟期の収穫直前まで常時湛水状態とした.生育期間中には地上部乾物重,葉面積,積算吸収日射量,葉齢,茎数,SPAD値などの調査を定期的に実施した.点滴潅がい区の穂数は湛水栽培区を上回ったが,全乾物重,全籾数,一穂籾数,全玄米粒数は湛水栽培区より低かった.収穫指数,登熟歩合は両区間に有意差はなかった.結果的に点滴潅がい区の収量は湛水栽培区より約25%程度低下したが,香川県の水稲収量の平均より5%程度の減であった.生育期間中は毎週1回,圃場から排出される二酸化炭素(CO2),亜酸化窒素(N2O),メタン(CH4)フラックスをチャンバー法により測定した.水稲の収穫後にコムギ品種さぬきの夢の栽培を実施した.畑地圃場と水田の前作跡に裁断した前作の稲わらを散布して耕運機で浅く耕起し,種子間隔2.5cmのシードテープを条間25cmで播種した.播種日は畑地圃場,水田いずれも11月14日である.畑地圃場では播種作業は順調で,発芽,苗立は良好であった.一方,水田では播種時に土壌が過湿状態で発芽,苗立も不良であった.このため,水田では比較的発芽が揃っている一部区画のみを調査対象としている.成熟と収穫時調査は5月下旬の見込みであり,その後,イネ・コムギ3作期のデータを取りまとめた論文を作成して投稿する予定である.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

香川大学農学部内の畑地と水田の両試験圃場にて,水稲-コムギ輪作の栽培試験を実施した.2023年度は3年目であるが,予定の本試験の初年度にあたる2021年度および2022年度と同様に,予定していた調査はおおむね実施することができた.水稲栽培では,畑地圃場の点滴潅がい区の点滴チューブは令和3年度に埋設済みであり,2021年度同様,予定日に播種できた.令和3年度に確認された直播区の土壌病虫害による発芽,苗立ちの不良に関して,播種前にクロルピクリンによる土壌消毒を実施し,2022年度同様に均一な苗立ちが確保できた.施肥と潅がいは特に問題なく計画どおりに実施できた.生育期間中における地上部乾物重,葉面積,積算吸収日射量,葉齢,茎数,SPAD値などの調査,および収量調査は計画どおり実施できた.生育期間中は毎週1回,圃場から排出される二酸化炭素(CO2),亜酸化窒素(N2O),メタン(CH4)フラックスをチャンバー法により測定した.湛水栽培区のCH4の経時変化は比較的高い直線性を有しているのに対して,点滴潅がい区のCH4 と両区のN2Oは変動が認められた.この変動に対する処理方法を検討し,適切にフラックス計算ができるフローチャートを確立した.秋のコムギ播種に関しては,2021年度と同様に畑地圃場の播種作業は順調で,発芽,苗立は良好であったが,水田では播種時の排水が十分ではなく,土壌が過湿状態で播種作業も困難であり,発芽,苗立は2022年度よりさらに不良であった.このため,水田では比較的発芽が揃っている一部区画のみを調査対象としている.成長と生育の調査や温室効果ガスの採取・分析は予定どおり進めており,成熟と収穫時調査は5月下旬の見込みである.

今後の研究の推進方策

予備試験としての位置づけであった2021年度の栽培試験および本試験の初年度である2022年度がおおむね順調であり,2023年度も特に計画の変更や修正を要することなく3年目の本試験を実施することができた.3年間を通じて,水稲は畑地圃場の点滴潅がい区と水田の湛水栽培区で6月上旬~10月にかけて栽培試験を行い,点滴潅がい区ではさらに硝化抑制剤の処理区を設け,調査項目は地上部乾物重,葉面積,積算吸収日射量,葉齢,茎数,SPAD値などを定期的に調査し,光合成関連の生理学的調査も実施した.収量および収量構成要素,玄米(玄麦)の食味・品質・成分分析,栽培環境(気象,蒸発散量,土壌水分・酸素,酸化還元電位,土壌アンモニア態窒素・硝酸態窒素含有量,土壌の全窒素・炭素含有量),温室効果ガス(毎週1回,温室効果ガスの採取・分析)を計画どおり実施できた.コムギは畑地圃場と水田の水稲栽培跡に11月上旬~5月下旬にかけて栽培試験を行い,調査項目は水稲の栽培試験とほぼ同様に実施したが,2023年産,および特に2024年産の試験では湿害による発芽不良と生育不良の影響が大きく,生産性の面では畑地圃場のコムギよりも大幅に劣る結果となった.2024年5月末のコムギの収穫で栽培試験は終了するので,イネ・コムギ3作期分のデータを取りまとめた論文を作成し,投稿する予定である.

報告書

(3件)
  • 2023 実績報告書
  • 2022 実績報告書
  • 2021 実績報告書
  • 研究成果

    (5件)

すべて 2023 2022

すべて 学会発表 (5件) (うち招待講演 1件)

  • [学会発表] ヒノヒカリにおける水田での湛水栽培と畑地での地下点滴灌がい栽培の収量の比較2023

    • 著者名/発表者名
      三橋奈美江;水田啓貴;中村天;長尾佳奈;道廣保乃華;山本歩香;劉延超;水田圭祐;諸隈正裕;豊田正範
    • 学会等名
      日本作物学会四国談話会第60回講演会
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [学会発表] 水稲の畑地での点滴潅がい栽培と水田での湛水栽培における温室効果ガス排出量の相違2023

    • 著者名/発表者名
      中村天;水田啓貴;長尾佳奈;道廣保乃華;三橋奈美江;山本歩香;劉延超;当真要;水田圭祐;諸隈正裕;豊田正範
    • 学会等名
      日本作物学会四国談話会第60回講演会
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [学会発表] Greenhouse gas reduction by drip irrigation of rice2023

    • 著者名/発表者名
      Masanori Toyota
    • 学会等名
      Second Trilateral Symposium on SDGs
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] 水稲の畑地での点滴潅がい栽培と水田での湛水栽培における温室効果ガス排出量の相違2022

    • 著者名/発表者名
      中村天・新在家早紀・中西智哉・水田啓貴・横田清悟・当真要・水田圭祐・諸隈正裕・豊田正範
    • 学会等名
      日本作物学会四国支部第59回講演会
    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
  • [学会発表] ヒノヒカリにおける水田での移植・湛水栽培と畑地での直播・地下点滴灌漑栽培の収量の比較2022

    • 著者名/発表者名
      中西智哉・新在家早紀・中村天・水田啓貴・横田清悟・水田圭祐・諸隈正裕・豊田正範
    • 学会等名
      日本作物学会四国支部第59回講演会
    • 関連する報告書
      2022 実績報告書

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公開日: 2021-04-28   更新日: 2024-12-25  

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