研究課題/領域番号 |
23K21194
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補助金の研究課題番号 |
21H02192 (2021-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2021-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分39040:植物保護科学関連
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研究機関 | 宇都宮大学 |
研究代表者 |
園田 昌司 宇都宮大学, 農学部, 教授 (00325127)
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研究分担者 |
上樂 明也 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 生物機能利用研究部門, 上級研究員 (60542115)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,290千円 (直接経費: 13,300千円、間接経費: 3,990千円)
2025年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2024年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2023年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2022年度: 4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2021年度: 5,330千円 (直接経費: 4,100千円、間接経費: 1,230千円)
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キーワード | 生殖隔離 / ゲノム解析 / 産雄単為生殖 / 産雌単為生殖 / 倍数性 / ネギアザミウマ / 産雌性単為生殖 / 産雄性単為生殖 / 遺伝子交流 / 合成ピレスロイド剤抵抗性 |
研究開始時の研究の概要 |
ネギアザミウマには2つの生殖型(産雄性単為生殖と産雌性単為生殖)が存在する。本研究では、それぞれの生殖型における合成ピレスロイド剤抵抗性に関わるナトリウムチャネルのアミノ酸変異(M918T+L1014F、M918L、T929I+K1774N)の起源について明らかにする。また、両生殖型間の交配前生殖隔離および交尾後生殖隔離の可能性について検討する。
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研究実績の概要 |
ネギアザミウマには有性生殖を行う産雄系統と雌のみによる単為生殖を行う産雌系統が存在する。両生殖型に関しては別種であることを示す現象と同種であることを示す現象の両方が存在する。本研究の目的は、交配実験やゲノム解析等を通じて、両生殖型の遺伝子交流の可能性をその程度も含めて調べ、遺伝子交流の痕跡や産雌系統における抵抗性遺伝子の起源を明らかにすることである。本年度の研究実績の概要は以下の通りである。 1.既知の20のマイクロサテライトマーカーの増幅、フラグメント解析を行い、系統間の遺伝的な関係を調べるのに適した13のマーカーを選抜した。また、解析に必要な倍数性の情報がフローサイトメーターを用いて得れられるようになった。 2.産雌系統の雌成虫と産雄系統の雄成虫を用いた交尾実験を行った。その結果、両系統間に交尾前生殖隔離は成立していないことが明らかとなった。ただし、一部の産雌系統は産雄系統の雄成虫による選好性の低いデータも得られた。 3.生殖型や合成ピレスロイド剤抵抗性に関する遺伝子型の異なる12系統について、ショートリード型次世代シーケンサーによる全ゲノムリシーケンスデータを取得し、ネギアザミウマの参照ゲノム配列へのマッピングおよびSNP/INDEL callingを行い、基本データとなる約200万の高精度なゲノムワイドSNP/INDELデータを選抜した。選抜したSNPデータを用いた予備評価として、主成分分析を実施した。その結果、産雌の合成ピレスロイド抵抗性系統、産雌の合成ピレスロイド感受性系統、産雄系統はそれぞれ異なる3グループに分類された。また、産雌の抵抗性系統はさらに2つのグループに分類された。さらに今後、産雌系統のT929Iの由来推測等に関する遺伝的分化の解析を行うために、前述のSNPデータから各グループ間のFst値を全ゲノムスキャフォルドおよび全遺伝子座について算出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
異なる生殖型と抵抗性遺伝子をもつ系統間の遺伝的な関係を調べる際に必要なマイクロサテライトマーカーの選抜とフローサイトメーターによる倍数性推定法を確立し、産雄系統と産雌系統間に交尾前生殖隔離は生じていないことを明らかにすることができた。また、次世代シーケンサーによる解析の基本データとなる高精度のゲノムワイドSNP/INDELデータを計画通りに生成することができた。さらに、今後の遺伝的分化の解析を行なうための準備として、主成分分析で4つに分類されたグループ間の全ゲノムスキャフォルドおよび全遺伝子座のFst値の算出も完了した。
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今後の研究の推進方策 |
選抜された13のマイクロサテライトマーカーを用いて野外採集系統の遺伝的関係を明らかにする。また、産雄系統と異なるグループに分類された産雌系統との交配実験を行い、両者の間の遺伝子交流の有無を調べる。さらに、ゲノムワイドSNPデータを活用したFst解析、admixture解析等を行ない、産雄および産雌系統間の遺伝子交流の程度について検討すると同時に、生殖型、各薬剤抵抗性等に関わる可能性があるゲノム領域・遺伝子座を探索し、産雌系統の合成ピレスロイド剤抵抗性遺伝子(T929I)の起源等に関する推定を試みる。
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