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病原菌の攻撃により駆動する植物の表皮葉緑体を中心とした動的免疫システムの全容解明

研究課題

研究課題/領域番号 23K21195
補助金の研究課題番号 21H02194 (2021-2023)
研究種目

基盤研究(B)

配分区分基金 (2024)
補助金 (2021-2023)
応募区分一般
審査区分 小区分39040:植物保護科学関連
研究機関信州大学

研究代表者

入枝 泰樹  信州大学, 学術研究院農学系, 准教授 (00749244)

研究分担者 高野 義孝  京都大学, 農学研究科, 教授 (80293918)
研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2024年度)
配分額 *注記
17,810千円 (直接経費: 13,700千円、間接経費: 4,110千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2022年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2021年度: 10,010千円 (直接経費: 7,700千円、間接経費: 2,310千円)
キーワード植物-微生物間相互作用 / 葉緑体 / 非宿主抵抗性 / 微生物-植物間相互作用 / 表皮葉緑体
研究開始時の研究の概要

本研究では植物における表皮葉緑体を中心とする新しい免疫システムの全容を解明する。一般的な葉緑体は葉肉細胞で大きく発達した光合成器官であるが、表皮細胞にも機能未知の小さな葉緑体が存在することが認識されている。研究代表者は、表皮葉緑体が病原糸状菌に応答して表皮細胞内を移動し、免疫に寄与することを見出した。また、複数の植物免疫因子が表皮葉緑体に特異的に局在することも突き止めた。これらの発見を基盤に、病原菌攻撃時の植物表皮細胞の反応を表皮葉緑体を中心に多面的に解析し、入力(病原菌認識)、処理(オルガネラの動的応答・免疫因子の局在)、そして出力(抵抗性発揮)から構成される新規免疫システムの解明を目指す。

研究実績の概要

炭疽病菌やイネいもち病菌などの病原糸状菌の植物侵入に対する植物の新しい免疫応答として表皮葉緑体応答を独自に発見し、2021年に報告していた。表皮葉緑体応答は病原糸状菌の植物表皮細胞に対する侵入トライアルの程度を解析する新しいツールとして活用できる可能性が考えられた。そこで、2023年度は、表皮葉緑体応答を炭疽病菌の植物表皮細胞に対する侵入トライアルの程度を解析するツールとして実際に活用することを試み、侵入能のわずかな差を表皮葉緑体応答の差異として検出することに成功し、令和6年度日本植物病理学会大会にて報告した。野生型シロイヌナズナの表皮葉緑体応答は、野性型のコスモス炭疽病菌に対して十分に起こるが、付着器がメラニン化せず植物侵入能がわずかに低下したコスモス炭疽病菌のアルビノ変異体に対してはほとんど起きないことが明らかになった。一方で、侵入抵抗性が低下したシロイヌナズナのpen2変異体ではコスモス炭疽病菌のアルビノ変異体に対しても強い表皮葉緑体応答が起こった。これらの結果は、アルビノ変異体における非メラニン化付着器を介した侵入能のわずかな低下を表皮葉緑体応答の明確な違いとして検出できること示唆しており、表葉緑体応答が病原糸状菌の植物侵入トライアルのわずかな差を検出する有用なツールとして活用できることを示している。
また、EMS処理を行った野生型シロイヌナズナに対する、不適応型菌(コスモス炭疽病菌)の壊死斑形成を指標にした変異体スクリーニングを継続し、多数の候補変異体を取得することに成功した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

2023年度は、表皮葉緑体応答を炭疽病菌の植物表皮細胞に対する侵入トライアルの程度を解析するツールとして活用し、侵入能のわずかな差を表皮葉緑体応答の差異として検出することに成功した。炭疽病菌の植物侵入能のわずかな低下を表皮葉緑体応答の明確な違いとして検出できること示した。表皮葉緑体を誘導する病原微生物の認識機構は不明であるが、誘導に必要な病原糸状菌の因子特定に関するデータを徐々に取得し、必要な準備も整えつつある。
EMS処理を行った野生型シロイヌナズナに対する、不適応型菌(コスモス炭疽病菌)の壊死斑形成を指標にした変異体スクリーニングも継続中であり、候補変異体がさらに取得されている。

今後の研究の推進方策

2024年度は、2021年に表皮葉緑体応答を初めて報告した論文以降に追加同定した表皮葉緑体応答の多数の制御因子に関する報告論文を執筆する。
また、表皮葉緑体応答を誘導する病原糸状菌の因子を特定するため、細胞壁分解酵素の発現制御に関与すると推定される遺伝子およびエフェクター遺伝子に変異をもつウリ類炭疽病菌株について、シロイヌナズナのpen2変異体に対する表皮葉緑体応答の誘導能を解析する。
表皮葉緑体の分裂制御因子に変異をもつシロイヌナズナを用いて、表皮葉緑体応答と不適応型炭疽病菌の侵入率の解析を比較しながら実施し、表皮葉緑体の分裂と免疫応答の関係を明らかにする。
不適応型のコスモス炭疽病菌の壊死斑形成を指標にしたEMS処理シロイヌナズナの変異体スクリーニングを継続する。また、2021から2023年度に取得したシロイヌナズナの候補変異体について、ゲノム配列情報をもとにMutMAP法で原因遺伝子の特定を試みる。

報告書

(3件)
  • 2023 実績報告書
  • 2022 実績報告書
  • 2021 実績報告書
  • 研究成果

    (7件)

すべて 2024 2023 2022 2021

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] Preinvasive nonhost resistance of <i>Arabidopsis</i> against melanized appressorium-mediated entry of multiple nonadapted <i>Colletotrichum</i> fungi2022

    • 著者名/発表者名
      Irieda Hiroki
    • 雑誌名

      Plant Signaling &amp; Behavior

      巻: - 号: 1 ページ: 1-6

    • DOI

      10.1080/15592324.2021.2018218

    • 関連する報告書
      2021 実績報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Emerging Roles of Motile Epidermal Chloroplasts in Plant Immunity2022

    • 著者名/発表者名
      Irieda Hiroki
    • 雑誌名

      International Journal of Molecular Sciences

      巻: 23 号: 7 ページ: 4043-4043

    • DOI

      10.3390/ijms23074043

    • 関連する報告書
      2021 実績報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Epidermal chloroplasts are defense-related motile organelles equipped with plant immune components2021

    • 著者名/発表者名
      Irieda Hiroki、Takano Yoshitaka
    • 雑誌名

      Nature Communications

      巻: 12 号: 1 ページ: 2739-2739

    • DOI

      10.1038/s41467-021-22977-5

    • NAID

      120007038810

    • 関連する報告書
      2021 実績報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 病原糸状菌に対する新たな植物免疫機構~表皮葉緑体応答~2021

    • 著者名/発表者名
      入枝泰樹
    • 雑誌名

      バイオサイエンスとインダストリー

      巻: 79 ページ: 462-466

    • NAID

      40022750271

    • 関連する報告書
      2021 実績報告書
  • [学会発表] 炭疽病菌の付着器におけるメラニン化の機能的役割を再考する2024

    • 著者名/発表者名
      大澤武留、武末和穂、工藤健央、入枝泰樹
    • 学会等名
      令和6年度日本植物病理学会大会
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [学会発表] 病原糸状菌に対するシロイヌナズナ表皮葉緑体応答の制御因子と侵入抵抗性への関与2023

    • 著者名/発表者名
      入枝 泰樹
    • 学会等名
      令和5年度日本植物病理学会大会
    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
  • [学会発表] 不適応型炭疽病菌のシロイヌナズナに対する非親和性の差異に着目した重層的植物免疫の解析2021

    • 著者名/発表者名
      入枝泰樹、高野義孝
    • 学会等名
      第20回糸状菌分子生物学コンファレンス
    • 関連する報告書
      2021 実績報告書

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公開日: 2021-04-28   更新日: 2024-12-25  

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