研究課題/領域番号 |
23K21197
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補助金の研究課題番号 |
21H02203 (2021-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2021-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分39050:昆虫科学関連
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
土田 努 富山大学, 学術研究部理学系, 准教授 (60513398)
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研究分担者 |
鈴木 義人 茨城大学, 農学部, 教授 (90222067)
別所 奏子 (別所・上原奏子) 東北大学, 生命科学研究科, 助教 (90876624)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,160千円 (直接経費: 13,200千円、間接経費: 3,960千円)
2024年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2023年度: 4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2022年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
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キーワード | 虫こぶ形成機構 / 共生 / 共生細菌 / 虫こぶ / 虫えい / ゴール / 虫瘤 / 延長された表現系 / 光合成 |
研究開始時の研究の概要 |
虫こぶ形成機構の解明は 生物学の様々な分野から注目されているが、実験室内での操作が困難なことから、機構の多くは未解明である。我々は、「植物に寄生する植物」アメリカネナシカズラに、さらに寄生して虫瘤を形成する、という極めて興味深い生態をもつマダラケシツブゾウムシを実験室で 安定して維持する系を確立し、虫瘤形成機構を明らかにすべく研究を進めている。さらに本種ゾウムシの全ての個体には、Sodalis属の共生細菌が感染し 重要な役割を担っていることが 示唆されている。本課題では、宿主植物―寄生植物―昆虫―共生細菌から成る“超入れ子型 共生系”を対象に、虫瘤形成機構を 多面的に理解することを目的とする。
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研究実績の概要 |
本年度、中課題1では、実験室内に構築した飼育系を用いて、マニキュアによる産卵管封鎖実験を行い、虫瘤誘導には雌成虫の卵、もしくは卵とともに送り込まれる物質が必要であることを明らかにした。また、虫瘤内の卵の除去実験により、幼虫の存在が虫瘤の肥大化に関与していることを明らかにした。さらに、本種体内の共生細菌を除去すると、成虫時のクチクラ硬化が遅延し、虫瘤形成が著しく遅延することも示した。このことから、本種共生細菌は宿主の重要な生態的性質にも大きく影響していることが示唆された。 中課題2では、雌が産卵とともに送り込む、虫瘤誘導に関与するタンパク性因子を明らかにするために、雌の卵巣を摘出してRNA-seqによる発現プロファイルを解析した。卵巣内で発現上昇し、細胞外に分泌され、植物のタンパク質に類似の構造を持つ遺伝子を、虫瘤形成に関与する遺伝子候補として選抜した。 中課題3では、虫瘤形成への関与が示唆される植物ホルモン(IAAおよびサイトカイニン)をLC-MSにより定量した。その結果、IAAやサイトカイニンは、形成部位である節とくらべて虫瘤内で大きく増加していた。さらに、マダラケシツブゾウムシでは、虫瘤内を遥かに超える濃度のIAAやサイトカイニンが検出された。トレーサー実験を行ったところ、これらの植物ホルモンは本種ゾウムシが自ら合成していることが確認された。虫瘤内での遺伝子発現をRNA-seqで解析すると、植物ホルモンの合成や受容に関わる遺伝子や花や果実形成に関与する遺伝子が発現亢進していた。一般的な葉に作られる虫瘤では、光合成関連遺伝子が減少するというソースからシンクへの変化が観察されている。しかし、完全寄生植物であるアメリカネナシカズラは通常は寄主植物に光合成産物をも依存しているが、虫瘤内では光合成関連遺伝子発現や活性が上昇するという、シンクからソースへの変換が確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新型コロナウイルス感染症による実験装置構成品の納期遅延により、スケジュールの遅れがあったものの、おおむね順調に研究は進捗した。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、中課題2および3について注力する。また、昆虫側の虫瘤形成メカニズムとその進化を理解するために、ケシツブゾウムシ属の系統関係についても明らかにすることを試みる。
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