研究課題/領域番号 |
23K21203
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補助金の研究課題番号 |
21H02210 (2021-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2021-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分39050:昆虫科学関連
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
河野 暢明 慶應義塾大学, 政策・メディア研究科(藤沢), 准教授 (90647356)
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研究分担者 |
西口 茂孝 大学共同利用機関法人自然科学研究機構(新分野創成センター、アストロバイオロジーセンター、生命創成探究, 生命創成探究センター, 特任研究員 (50873121)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,810千円 (直接経費: 13,700千円、間接経費: 4,110千円)
2024年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2023年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2022年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2021年度: 10,790千円 (直接経費: 8,300千円、間接経費: 2,490千円)
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キーワード | ゲノム科学 / バイオマテリアル / クモ / オミクス解析 / クモ糸 / バイオインフォマティクス / 分子生態学 / 高機能構造タンパク素材 |
研究開始時の研究の概要 |
クモ糸が様々なタンパクで造られている事実は明らかにされてきており、数十を超えるクモ糸タンパクとは異なる未知なる低分子タンパクが質量比で数十%以上含まれていることが発見された。そうした傾向がクモの大系統においてどのようなクレードから獲得・派生してきたのかを整理するべく、祖先型と派生型クモのゲノム解析を行う。祖先型としてはキムラグモ、派生型としてはハエトリグモを想定している。次にライフステージに合わせたマルチオミクス解析による遺伝子・タンパクの発現プロファイリングにむけた要素技術の開発を行う。クモの幼体は雌雄判別が難しいため、分子を用いた雌雄判別を可能にするための基盤を整備する。
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研究実績の概要 |
クモ糸はその強さが特に注目を集めやすいが、実は物性の多様性にこそ最大の魅力が詰まっている。その多様な物性を実現するためにはクモ糸タンパクを人工合成することで解決すると考えられていた。ところが最近になってクモ糸はクモ糸タンパクと複数種類のSpiCEと呼ばれる低分子タンパクとの複合材であり、このSpiCEが糸の物性向上を支えている証拠が見出された。そこで本課題ではこれまでに明らかにしてきたクモの全ゲノム・糸タンパク組成情報やマルチオミクス解析手法を基盤に、各関連因子がクモ糸生合成過程にどう関与しているのかを明らかにすることで、クモ糸合成経路の全容解明を目指す。蜘蛛糸の天然物性を支える新規物質であるSpiCEは種ごとに10種類程度あり、平均50kDa程度の機能未知タンパクである。全SpiCEが雌成体の糸から発見されており、タンパク量が多いもので糸全体の5%を占めるものもある。糸腺それぞれでSpiCEの遺伝子発現パターンが異なっていることも確認されている。そこで本課題ではこれまでに明らかにしてきたクモの全ゲノム・糸タンパク組成情報やマルチオミクス解析手法を基盤に、各関連因子がクモ糸生合成過程にどう関与しているのかを明らかにすることで、クモ糸合成経路の全容解明を目指す。その目標に向け、本年度は系統に限定されず、様々なクモでこのSpiCEがどのように保存されているのかを網羅的に解析するゲノム決定手法の確立を行なった。野外からのサンプリング、ゲノム決定、遺伝子配列予測、発現定量、そして比較ゲノム解析にいたる実験およびバイオインフォマティクスのインフラを整え、どのような非モデル生物も対象にできる方法論を整備した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍の影響で本研究課題開始時より、野外でのフィールドサンプリングが予定通り進行できず、また共同研究者との飼育活動も滞ってしまっていた。そのため、クモサンプルの調整に大きく時間が取られてしまい、実験をあまり展開できなかった。一方で、非モデル生物を対象としたゲノム解析を可能にするバイオインフォマティクスのツールインフラ整備には成功でき、本来予定していた計画を前倒しできている。
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今後の研究の推進方策 |
クモ糸が様々なタンパクで造られている事実は2019年頃より、申請者らのオミクス解析によって明らかにされてきており、数十を超えるクモ糸タンパクとは異なる未知なる低分子タンパクが質量比で数十%以上含まれていることが発見された (Kono, et al., 2019, Sci Rep)。SpiCE (Spider silk Constituting Element) と名付けられたこの低分子タンパクは多様な糸を使う造網性クモ (オニグモやジョロウグモなど) に広く保存されており、クモ糸物性と深く関連していることが示唆された。さらに予備試験としてこのSpiCEを人工クモ糸タンパクのフィルムを合成する際に添加したところ、驚くべきことに人工クモ糸の大幅な物性向上が観察された。こうした研究背景を受け、2023年度ではSpiCEがクモの大系統においてどのようなクレードから獲得・派生してきたのかを整理するべく、祖先型と派生型クモのゲノム解析をまず行う。祖先型としてはキムラグモ、派生型としてはハエトリグモを想定しており、それぞれゲノムサイズが3Gbを超えると予想されている。そのため年度前半はゲノムアセンブルを中心に進めていく。次にライフステージに合わせたマルチオミクス解析による遺伝子・タンパクの発現プロファイリングにむけた要素技術の開発を行う。クモの幼体は雌雄判別が難しいため、分子を用いた雌雄判別を可能にするための基盤を整備する。
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