研究課題/領域番号 |
23K21211
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補助金の研究課題番号 |
21H02224 (2021-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2021-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分39070:ランドスケープ科学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
柴田 昌三 京都大学, 地球環境学堂, 教授 (50211959)
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研究分担者 |
貫名 涼 (東口) 京都大学, 地球環境学堂, 助教 (30832688)
小宅 由似 香川大学, 創造工学部, 助教 (30846176)
福井 亘 京都府立大学, 生命環境科学研究科, 教授 (60399128)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,290千円 (直接経費: 13,300千円、間接経費: 3,990千円)
2024年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2023年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2022年度: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2021年度: 7,280千円 (直接経費: 5,600千円、間接経費: 1,680千円)
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キーワード | 都市林 / 生物多様性 / 環境緩和機能 / 連結性 / グリーンインフラ |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、都市域に存在するあらゆる緑地とその周辺の二次的自然の分布及び現状に注目し、それらを都市林として、あるいはグリーンインフラ機能を強化する存在として規定し、これらの空間が持つ環境緩和機能や生物多様性維持機能を評価すると同時に、その機能を向上させるために必要な観点を、連結性への注目から検討することを目的とする。その実現のために、構成植物種、動物相、連結性創出のための空間解析、失われた空間の再生方法、伝統的知識の再評価、グリーンインフラ構築手法の検討を行い、これらの研究を通して、得られた成果に基づいて、都市林が持つ機能の向上に必要な方策を連結性向上の観点から提案する。
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研究実績の概要 |
京都市とその周辺に多様に存在する都市林要素が持つ機能について、その分布やつながりの創出や再生を目的とした調査研究を継続して行った。研究は、①都市林の構成植物が持つ機能、②都市林に依存する動物相、③都市林の連結性を高めるための空間解析、④失われたもしくは隠された連結性を高める可能性を持つ空間の再生方法の検討、⑤伝統的知識の再評価によるグリーンインフラ機能の向上方法の検討、⑥都市計画レベルでの連結性を持つグリーンインフラ構築手法の検討、⑦都市林が持つ機能向上に必要な方策の提案、という7つのテーマを設定して行った。 このうち、令和5年度の主な研究実績は①~⑥に関するものであり、以下のとおりである。また、⑦に関しても広域から限られた地域を対象としたシミュレーションによって成果をあげた。①では、京都市内の街路樹の地下部に注目し、十分な土壌環境が維持されていることを示した。②では、都市域に侵入する野生シカに対する市民の考え方をアンケート結果に基づいて解析し、国際誌に発表した。③では、前年度に続いて都市林要素の分布に関する情報収集と解析を衛星画像によって行った。④では、過去のデータを探索し、京都市内にかつて存在した小水系のデータ収集とその解析を行った。⑤では、京都市内の伝統的庭園と都市公園における温熱環境の解析を継続し、伝統的な枯山水庭園における夏季の温熱環境に関する研究成果を国際誌に公表した。⑥では、都市計画レベルでの都市林要素の分布をマクロからミクロに至るレベルで解析し、シミュレーションによる研究成果を国際誌に公表した。⑦では、これらの成果を統合的に解析し、本研究が目指す方向性を示すための方策の検討を進めた。 これらの成果は、国際誌や国内誌で公表するほか、国際学会で発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前項で述べた通り、各テーマに掲げた研究はそれぞれが順調に進捗できていると考えている。また、それらの成果はいずれも順次国際誌や国内誌で公表するほか、国内外の学会で発表した。 令和5年度には、これまでに得られた研究成果の多くが公表できたが、①から⑥の研究テーマのそれぞれについてはさらに研究の進捗が認められた。①については、街路樹に関する様々な研究が京都市以外の都市においても行われ、多様な成果が挙げられた。また、近郊林の社寺林が持つ機能に関する解析も行った。②については、京都市内に侵入してくる野生シカの行動に関する調査を行い、都市近郊におけるシカの動態に関するデータを得た。また、京都市以外での知見を得るために、インドネシア・ジャワ島における猛禽類に関する研究も行った。③については、京都市だけではなくより広域の地域を対象にしたシミュレーションを行い、将来の土地利用の変遷に関する予測結果に基づいた生物多様性の向上に向けた考察を行った。④については、京都市における小規模の緑地の抽出や失われた小河川の分布に関する情報を収集したほか、京都市中心部の小河川の微気象に関する調査を行い、都市域における水体の重要性に関する考察を行った。⑤については、主に夏季における京都市内の伝統的日本庭園における先人の環境緩和のための工夫と現在の都市公園における環境の比較を行い、酷暑をしのぐための手法に関する考察を行った。⑥については、京都市内における都市公園の分布と私有の住宅庭園の分布に関する情報収集と解析を行い、公共空間のみならず私的空間も含めた緑地の分布の統合の必要性を考えるための解析を行った。⑦については、本研究から得られた成果の統合的解析を目指すものであるが、翌年度の最終的な総括を前提として、予備的な解析を開始した。 以上から、本研究は順調に成果をあげることができていると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
来年度は本研究の最終年度であることから、①~⑥の研究を継続するほか、⑦に関する総括を行う。 具体的には、①に関しては都市林と位置付けられるあらゆる緑地のうち現存する植生について総合的に評価する。②に関してはこれまでに得られた哺乳類等の野生動物や都市に定着しつつある鳥類、従来から生存している爬虫類のデータ等を統合し、都市域における動物相の在り方に関する考察を行う。③に関しては都市域における緑地の分布に注目し、その連結性を高めるための考察を行う。ここでは、前回の科研研究で連結性が欠けていると評価された屋上緑化や壁面緑化、雨庭の空間の分布に注目し、その連結の可能性を考察する。④に関しては過去の水系の分布や現在の私有空間における小面積の緑地の分布に注目し、その再生や保全によって可能になると考えられる都市域の環境緩和機能や生物多様性保全機能の向上に関する考察を行う。⑤に関しては伝統的な日本庭園の環境緩和を目的とした先達の工夫から得られる知恵に基づいた都市公園のデザインへの応用に関する考察を行う。⑥に関してはこれまでに得られたさまざまな成果に基づいて、都市域における環境緩和機能の向上と生物多様性保全のために重視されるべき視点を都市計画のレベルで整理する。 これらの知見に基づいて、⑦のテーマである都市林が持つ機能の向上に必要な方策の提案のための総合的な評価を行う。
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