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シカ食害が招く森林衰退:植物土壌フィードバックに着目して

研究課題

研究課題/領域番号 23K21214
補助金の研究課題番号 21H02233 (2021-2023)
研究種目

基盤研究(B)

配分区分基金 (2024)
補助金 (2021-2023)
応募区分一般
審査区分 小区分40010:森林科学関連
研究機関京都大学

研究代表者

門脇 浩明  京都大学, 白眉センター, 特定准教授 (30643548)

研究分担者 本庄 三恵  京都大学, 生態学研究センター, 准教授 (30450208)
立木 佑弥  東京都立大学, 理学研究科, 助教 (40741799)
松岡 俊将  京都大学, フィールド科学教育研究センター, 講師 (70792828)
西岡 正恵 (石原正恵)  京都大学, フィールド科学教育研究センター, 准教授 (90594367)
研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2026-03-31
研究課題ステータス 交付 (2024年度)
配分額 *注記
17,290千円 (直接経費: 13,300千円、間接経費: 3,990千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2023年度: 4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2021年度: 4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
キーワード多種共存 / 土壌細菌 / 真菌 / 植物土壌フィードバック / 土壌微生物 / メタバーコーディング / 細菌 / DNAメタバーコーディング / 実生 / 樹木群集
研究開始時の研究の概要

現在、日本の森林では、多くの地域において、シカの食害による植生の荒廃が深刻化している。シカの食害が森林に与える影響を理解するためには、土壌を含む生態系全体への波及効果の分析が必要となる。植物が減ると土壌の性質や土壌微生物に影響を与え、その影響が植物自体に跳ね返ってくるため、土壌微生物の多様性が低下し、さらなる生態系の変化の引き金となる可能性がある。本研究では、野外実験と環境DNAを用いて植物と土壌微生物のフィードバックを解明し、森林動態の基本原理から森林再生のための具体的な手立てを探るための研究を展開している。

研究実績の概要

本年は、メインの実験である植物土壌フィードバック実験の結果はまだ得られていないが、科研費研究の柱となっている群集生態学的な研究に関連して、書籍2件(邦訳1件、英語百科事典1件)を出版した。邦訳としては、丸善出版より、世界標準の群集生態学の教科書である「ミッテルバッハ・マギル群集生態学」を出版した。また、英語百科事典Oxford Bibliographiesの記事Stochastic Processes in Ecologyを3年ぶりに大幅改訂を行い、出版した。「植物土壌フィードバック」に関連して、種生物学会 和文誌編集委員会企画シンポジウム「多種共存の生態学:植物の多様な共存機構を探る」にて招待講演を行ったほか、その他の学会でも招待講演を2件担当した(個体群世帯学会・生態学会)。生態学会では「シカによる過採食が土壌微生物群集に与える影響:広域シカ柵設置サイトにおける解析例」というタイトルでポスター発表を行い、参加者と有益な議論を行った。そのほか、共著でのポスター発表も1件あった。一般向けアウトリーチ活動として、NHK文化センター京都教室にて「植物の多様性のひみつに迫る:知られざる土壌微生物の役割」というタイトルで講演を行い、好評を博した。京都大学が主催する、高校生のための体験型科学講座「ELCAS」でも「群集生態学への招待」というタイトルで高校生5名を対象とし、研究成果を理解してもらうための実習形式の講義を行った。これらの報告や講演会を通じ、シカによる食害や研究サイトである芦生研究林における樹木群集の共存安定性に影響する要因について、研究の途中経過を報告することができたと考えている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の実験計画に従い、ガラス温室で育成した実生のうち、十分な数をえることができた7樹種を対象として植物土壌フィードバック実験を実行した。はじめに温室で育成した実生について、各樹種5個体を繰り返しとし、無菌の鉢底石と赤玉土を入れたポット苗を約270個を準備した。次に、芦生研究林にてスギ・サワグルミ・外生菌根樹種(ブナ・ミズナラ・ミズメ)・カエデ類(イタヤカエデ、テツカエデなど)の土壌を各樹種土壌袋1袋分を採取し、ふるいがけ作業のあと、半数をそのままポット実生に接種する用、残りの半数をγ線滅菌を行ってから接種する用の接種源土壌とした。ポット苗に自種土壌・スギ土壌・サワグルミ土壌・外生菌根性樹種土壌、カエデ類土壌の接種(半数のポット苗にはγ線滅菌した土壌を接種)し、初期の実生の高さ・葉の枚数やなどの初期成長状況のデータを取得した。定期的に水やりやサイトのメンテナンスを行い、一部のサンプルでカラス被害があったが、おおむね順調に栽培実験は推移しているといえる。また、秋には前年度に採取できなかった樹種の種子を採集する為10回を超える種子採集調査を実施し、それらをについてガラス温室で表面殺菌後、播種実験を行い、次年度の栽培実験に備えていくつかの樹種を新たに実験に加えることができることとなった(樹木には凶作・豊作の年があり、一年ですべての樹種の実験を実施することはできない)。また、一部の樹種については前年度に播種した種子が休眠の打破によって一年後に発芽するという現象も確認することができ、これらも実験対象として用いることができ、さらに実験のスケールは大きくなっていくと考えられる。
前年度にシカ柵の内部と外部で採取した土壌微生物群集のメタバーコーディング解析の結果を解析し、生態学会にてポスター発表を行った。当該研究は学術論文としてまとめており、次年度には投稿する予定である。

今後の研究の推進方策

前年度採取・播種して得た実生を用いて、同様の植物土壌フィードバック実験を行う予定である。実験のプロトコルは前年度と同じで、対象樹種が異なるのみである。また、栽培が二年目となる実生については、収穫を予定している。収穫では、ポットから実生を取り出し、地上部と地下部は洗浄後、葉・茎・根の3部分に切り分けて、画像としてスキャンを行い、さまざまな形質を測定するためのデータとする。また、根の先端(細根)を採取し、ポット土壌の一部も採取し、それらは土壌微生物のメタバーコーディング解析を実施する。DNA抽出の段階は技術補佐員を雇用して進め、それ以降のPCRについては共同研究者と進め、MiSeqでのシーケンスは外注を予定している。このように収穫作業に伴い、フィールドワークとラボワークを短期間の間に効果的に進めるための体制を整える予定である。また、これまで得られている成果についても学術論文としてまとめる準備を進め、プロジェクトの完了へ向けて、プロジェクトを推し進める予定である。

報告書

(2件)
  • 2022 実績報告書
  • 2021 実績報告書
  • 研究成果

    (17件)

すべて 2023 2022 2021 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (13件) (うち国際学会 1件、 招待講演 7件) 図書 (1件) 備考 (2件)

  • [雑誌論文] Stochastic Processes in Ecology and Evolution2023

    • 著者名/発表者名
      Kohmei Kadowaki
    • 雑誌名

      Oxford Bibliographies in Ecology. Ed. David Gibson. New York: Oxford University Press

      巻: NA

    • DOI

      10.1093/obo/9780199830060-0224

    • ISBN
      9780199830060
    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
    • 査読あり
  • [学会発表] 変化する環境下での種の存在量と分布の予測:確率過程・生物間相互作用・気候変動の役割について考える2022

    • 著者名/発表者名
      門脇浩明
    • 学会等名
      個体群生態学会第38回大会 公募セッション「保全・管理における将来予測の活用法と将来展望」企画
    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] 温帯林の樹木群集における多種共存研究:植物土壌フィードバック実験から長期生態系観測まで2022

    • 著者名/発表者名
      門脇浩明
    • 学会等名
      種生物学会 和文誌編集委員会企画シンポジウム「多種共存の生態学:植物の多様な共存機構を探る 」
    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] 進化、群集から生態系までをつなぐ間接効果:新たなる戦略的アジェンダへ向けて2022

    • 著者名/発表者名
      門脇浩明
    • 学会等名
      日本生態学会第70回全国大会 自由集会:間接効果を通して見る世界(5)間接効果はどこまでも
    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] 日本の主要な森林構成樹木33種における地上部形質と地下部形質の比較2022

    • 著者名/発表者名
      鈴木桂実, 廣川周作, 梶野浩史, 門脇浩明, 彦坂幸毅
    • 学会等名
      日本生態学会第70回全国大会
    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
  • [学会発表] シカによる過採食が土壌微生物群集に与える影響:広域シカ柵設置サイトにおける解析例2022

    • 著者名/発表者名
      門脇浩明, 本庄三恵, 中村直人, 北川陽一郎, 石原正恵, 松岡俊将, 立木佑弥, 福島慶太郎, 阪口翔太, 井上みずき, 藤木大介, 境優, 高柳敦, 山崎理正, 徳地直子, 高橋大樹, 長澤耕樹, 増田和俊
    • 学会等名
      日本生態学会第70回全国大会
    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
  • [学会発表] Mycorrhizal types as a crucial driver of seedling survival: evidence from a cool temperate native forest2022

    • 著者名/発表者名
      門脇浩明(京都大学白眉センター), 北川陽一郎(京都大学フィールド研), 石原正恵(京都大学フィールド研)
    • 学会等名
      第69回日本生態学会大会
    • 関連する報告書
      2021 実績報告書
  • [学会発表] 菌根共生下において鹿害により引き起こされる森林衰退の不可逆的変化2022

    • 著者名/発表者名
      鈴木薫(東京都立大学), 門脇浩明(京都大学), 立木佑弥(東京都立大学)
    • 学会等名
      第69回日本生態学会大会
    • 関連する報告書
      2021 実績報告書
  • [学会発表] Deer overbrowsing and its impact on tree communities: insights from long-term forest dynamics and deer exclusion experiment in the Ashiu Research Forest2021

    • 著者名/発表者名
      Kohmei Kadowaki, Masae Ishihara
    • 学会等名
      3rd GLP Asia Conference
    • 関連する報告書
      2021 実績報告書
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] 趣旨説明:シカの脅威と次世代型森林再生のロードマップ研究集会2021

    • 著者名/発表者名
      門脇浩明
    • 学会等名
      生態研センター公募集会:シカの脅威と次世代型森林再生のロードマップ研究集会
    • 関連する報告書
      2021 実績報告書
  • [学会発表] 遺伝子発現解析から見る植物とウイルスの相互作用2021

    • 著者名/発表者名
      本庄三恵
    • 学会等名
      生態研センター公募集会:シカの脅威と次世代型森林再生のロードマップ研究集会
    • 関連する報告書
      2021 実績報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] シカの過採食を長期間うけた森林生態系の回復にむけて2021

    • 著者名/発表者名
      石原正恵
    • 学会等名
      生態研センター公募集会:シカの脅威と次世代型森林再生のロードマップ研究集会
    • 関連する報告書
      2021 実績報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] 次世代森林再生に向けた数理生態学の役割と可能性2021

    • 著者名/発表者名
      立木佑弥
    • 学会等名
      生態研センター公募集会:シカの脅威と次世代型森林再生のロードマップ研究集会
    • 関連する報告書
      2021 実績報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] 森林の樹木群集における生物多様性のパラドックスを紐解く2021

    • 著者名/発表者名
      門脇浩明
    • 学会等名
      白眉セミナー
    • 関連する報告書
      2021 実績報告書
  • [図書] ミッテルバッハ・マギル群集生態学2023

    • 著者名/発表者名
      門脇浩明・山道真人・内海俊介
    • 総ページ数
      400
    • 出版者
      丸善出版
    • ISBN
      4621307975
    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
  • [備考] 京都大学白眉センター研究者紹介(門脇浩明)

    • URL

      https://www.youtube.com/watch?v=Ou3uBmtrAZA

    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
  • [備考] シカの脅威と次世代型森林再生のロードマップ研究集会

    • URL

      https://fserc.kyoto-u.ac.jp/wp/blog/archives/32355

    • 関連する報告書
      2021 実績報告書

URL: 

公開日: 2021-04-28   更新日: 2024-08-08  

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