研究課題/領域番号 |
23K21217
|
補助金の研究課題番号 |
21H02243 (2021-2023)
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2021-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分40010:森林科学関連
|
研究機関 | 国立研究開発法人森林研究・整備機構 |
研究代表者 |
才木 真太朗 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 研究員 (30824114)
|
研究分担者 |
佐橋 憲生 日本大学, 生物資源科学部, 研究員 (10202102)
安藤 裕萌 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 研究員 (20824410)
福本 桂子 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 研究員 (30822712)
南光 一樹 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (40588951)
原山 尚徳 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (60353819)
森 英樹 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 研究員 (80827551)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
|
配分額 *注記 |
17,160千円 (直接経費: 13,200千円、間接経費: 3,960千円)
2025年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2024年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2023年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2022年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2021年度: 4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
|
キーワード | FWU / 撥水性 / 葉面菌 / 年輪年代学 / 樹木生理学 / 土壌乾燥 / 菌類 / 霧 / 葉面吸水 / 樹幹流 / 亜熱帯林 / 常緑樹 / 小笠原諸島 / クチクラ蒸散 / 温帯落葉樹 / 小川試験地 |
研究開始時の研究の概要 |
微量な雨や霧及び露から葉が水を獲得すること(FWU; Foliar water uptake)が、樹木の水欠乏ストレスの緩和や葉と木部の形成に大きく寄与することが分かってきた。この事実は、従来の樹木の水移動モデルでは見落とされている、葉からの吸水経路を新たに加えて樹木の生存や成長を考慮しなければならないことを意味する。そこで本課題では、物理学や生理学、形態学、統計学的手法によってFWUが樹木の成長や生存へ与える影響を包括的に解明する。それにより、葉の表面構造と生理機能に基づいたFWUの役割を明らかにし、FWUを組み込んだ樹木の成長や生存のプロセスモデルを構築する。
|
研究実績の概要 |
微量な雨や霧及び露から葉が水を獲得すること(FWU; Foliar water uptake)が、樹木の水欠乏ストレスの緩和や葉と木部の形成に大きく寄与することが分かってきた。この事実は、従来の樹木の水移動モデルでは見落とされている、葉からの吸水経路を新たに加えて樹木の生存や成長を考慮しなければならないことを意味する。特に、霧や露が多発する島国や盆地、土壌が乾燥傾向の地域では、従来の樹木の生存や成長の予測を覆す可能性がある。そこで当年度は、夏に無降雨期間があることで土壌が極端に乾燥する小笠原諸島に生育する在来種(シマモクセイ)と外来種(リュウキュウマツ)のFWUを評価するため、霧や雨の発生時の樹幹流の測定を行った。その結果、シマモクセイは霧が発生した時には葉の表面の濡れは確認されたが樹幹流は観測されなかった。一方で、リュウキュウマツは樹幹流が観測された。また、スコールの際の樹幹流もシマモクセイよりもリュウキュウマツの方が多かった。この結果は、リュウキュウマツは空気中の霧や雨を葉で効率よくトラップし樹幹流として利用できることを意味している。リュウキュウマツは在来種よりも樹高が高いため、霧や雨を集める特性によって土壌水分が高く保たれることが関係しているかもしれない。 また、小笠原諸島に生育する植物表面に付着する菌類の収集を行った。特にスス病菌について解析を行い、その系統関係についてまとめ学会発表を行った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当年度の計画通り、霧を利用したFWUに樹種間差があることが明らかになった。特に、同所的に生育する広葉樹と針葉樹で比較すると、針葉樹の方が樹幹流量が多くなったことは大変興味深い。また、植物表面構造に影響を与えると考えられる植物表面菌の採取も十分に行えた。特にスス病菌について解析を行い、その系統関係についてまとめ学会発表を行うことができた。これらのことから、研究はおおむね順調に進展していると判断した。
|
今後の研究の推進方策 |
これまでの研究から、葉の表面の撥水性や霧や雨の時の樹幹流量には樹種間差があることが明らかになってきた。一方で、葉の表面や幹に付着した水が細胞内へ吸収されるときに、どのような経路を通っているのかはまだ明らかになっていない。そこで、蛍光染色液を用いて葉表面からの吸水経路の観察方法や葉の吸水量の定量方法の確立を目指す。これにより、水吸収経路や吸水量に樹種間差があるかを明らかにする。
|