研究課題/領域番号 |
23K21218
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補助金の研究課題番号 |
21H02244 (2021-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2021-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分40010:森林科学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人森林研究・整備機構 |
研究代表者 |
丸山 毅 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 研究専門員 (20353865)
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研究分担者 |
上野 真義 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (40414479)
伊津野 彩子 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 研究員 (80816249)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,290千円 (直接経費: 13,300千円、間接経費: 3,990千円)
2025年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2024年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2023年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2022年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
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キーワード | 液体培養 / 無花粉スギ / 不定胚形成 / クローン増殖 / 培養苗 / 培養細胞増殖 / バイオリアクター / 組織培養 / 遺伝子解析 / 遺伝マーカー / 無花粉スキ / 遺伝解析 |
研究開始時の研究の概要 |
スギは日本の最重要林業樹種である一方、スギ花粉症患者は3000万人を超え、深刻な社会問題となっている。その対策として、無花粉スギの普及・拡大が急務となっている。針葉樹のクローン増殖技術においては、不定胚形成による個体再生系が最も効率の良い手法として知られているが、苗の生産性を飛躍的に向上させることができる不定胚の液体培養に成功した事例は殆ど少ない。そこで、液体培養技術を用いて、胚性万能細胞に由来する無花粉スギ苗の迅速効率的な生産法を開発することを本研究の目的である。得られる成果は、無花粉スギ苗だけではなく、他の品種・系統などに適用できることから、スギ培養苗の実用化に向けた生産技術の確立にも繋がる。
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研究実績の概要 |
当年度の研究実績は、以下のとおり。 ①初年度に得られた不定胚形成培養細胞を用いて、維持・増殖における液体培養条件を検討した。複数の培養細胞系統を対象に、塩類、糖類や成長調節物質(オーキシン、サイトカイニン、ペプチド)の変化による液体培地の培養細胞増殖に及ぼす影響を調べた。その結果、液体培地の組成の変化は細胞増殖に影響を与えるが、培地に対する反応は不定胚形成細胞系統によって著しく異なることが明らかとなった。 ②得られた培養細胞からの不定胚誘導を行い、胚分化能力の高い細胞を数系統選抜した。分化能力の高い細胞を用いて、不定胚成熟化における液体培養条件の検索を開始した。その結果、液体培養では、成熟に向かう細胞の発達が観察されたが、最終的に正常な子葉胚の形成までに至らなかった。引続き次年度は、不定胚の成熟化を改善させるための培養条件を再検討する。 ③不定胚への分化能力の高い不定胚形成細胞において特異的に発現する遺伝子を明らかにすることを目的に、発現遺伝子の網羅的解析(トランスクリプトーム)を行なった。4つの由来の異なる培養系統において、これまでに不定胚への分化能力が高いことが明らかとなった細胞系統および分化能力の低い細胞系統それぞれ3系統、合計で24系統の不定胚形成細胞よりRNAを抽出した。RNA-seqを行い、各サンプル4 Gb以上の発現遺伝子の配列データを得た。得られた配列データをスギの参照配列(SUGI ver. 1)にマッピングしたところ、それぞれ99.7%以上の配列をゲノム上にマッピングすることができた。また、RNA-Seqデータを活用してレトロトランスポゾンの解析を行い、合計26本のレトロトランスポゾンの配列が得られた。差次発現の解析では不定胚の誘導効率の高い細胞と低い細胞との間でレトロトランスポゾンの発現量を比較したところ、14本のレトロトランスポゾンの配列が有意な差次発現を示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和4年度に設定した【課題1】液体培養技術による無花粉スギ苗生産法の効率化では、誘導した複数の不定胚形成細胞系統を用いて、培養細胞の維持・増殖における液体培養条件を検討し、培地に対する反応は不定胚形成細胞系統によって著しく異なることが明らかとなった。また、【課題2】分化能力の高い細胞系統の選抜法の開発では、遺伝解析や遺伝マーカーを開発するため、発現遺伝子の網羅的解析(トランスクリプトーム)やRNA-Seqデータを活用したレトロトランスポゾンの解析を進めた。これらにより、当年度に設定した研究目標をおおむねに達成した。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、以下の研究を実施する。 ①バイオリアクターによる細胞の増殖における培養条件を探索する。 ②液体培養による不定胚の成熟化を改善させるための培養条件を再検討し、得られた不定胚の発芽・植物体再生と苗化を進める。 ③細胞系統の解析や遺伝子の特定・遺伝マーカーの開発を進める。
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