研究課題/領域番号 |
23K21237
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補助金の研究課題番号 |
21H02286 (2021-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2021-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分40040:水圏生命科学関連
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
深田 陽久 高知大学, 教育研究部自然科学系農学部門, 教授 (10380304)
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研究分担者 |
村下 幸司 国立研究開発法人水産研究・教育機構, 水産技術研究所(南勢), 主任研究員 (60597649)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,160千円 (直接経費: 13,200千円、間接経費: 3,960千円)
2024年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2023年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2021年度: 4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
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キーワード | 養殖魚 / ブリ / 味覚 / 嗅覚 / 食欲 / 摂餌刺激物質 / 飼料 / 食欲関連ホルモン / アミノ酸 / 嗅覚・味覚 / 摂餌 / 養殖 / 摂餌量 / 嗅覚・嗅覚 / 内分泌 / 養魚飼料 |
研究開始時の研究の概要 |
養殖魚の飼料には,魚粉が多く配合されている。この魚粉は資源が枯渇しつつある天然魚を原料としている。そのため,安定的に持続性の高い養殖魚生産を行うには,植物性タンパ ク質等で魚粉の代替を進める必要がある。しかしながら,ブリなどの魚食性の強い魚種では, 飼料中の魚粉含量を減らすと摂餌量が減り,養魚の成長が劣ってしまう。そこで,ブリの摂餌を解き明かし, 持続的な魚類養殖での課題となっている摂餌性の低い飼料の摂餌量改善を達成する。
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研究実績の概要 |
本年度は実験魚の匂い・味に対する応答が乏しく、行動解析の実施が困難であった。そのため、2種の魚粉(ペルー産アンチョビ・チリ産アジ)の水溶性画分を用いた摂餌・成長試験、脳視床下部の食欲関連ホルモン(agrp, npy)、幽門垂の消化促進ホルモン(cck1, cck2)・消化酵素の遺伝子発現量の測定を行った。魚粉・魚油を主体とした飼料(FM)、カゼインと藻類ミールを主体とした無魚粉・無魚油飼料(C)(摂餌刺激物質としてAla、Pro、IMPを含む)、このC飼料の摂餌刺激物質の代わりに魚粉(チリ産アジ、ペルー産アンチョビ)水溶性画分を添加した2飼料(C+HM、C+A)を準備した。遊離アミノ酸では、C飼料に対して他の3飼料のアラニンとプロリンの含量が少なかった。飼料の構成アミノ酸では、FM飼料を除く3飼料ではほとんど差が無かった。これらの飼料を給餌して開始時体重約9.5 gのブリを6週間飼育した結果、最終魚体重・飼料効率は、C+A区>C+HM区>FM区>C区であった。摂餌量はFM区で最も多く、他の試験区ではほぼ差が無かった。視床下部agrp1:摂餌後にC区を除いて減少する傾向が見られた。視床下部npy:摂餌後にFM区とC区で減少し、その他の試験区では増加した。消化管cck1とcck2: 摂餌後にC区を除いて増加した。消化酵素:トリプシンでは、摂餌後にC区を除いて増加した。リパーゼでは、全ての試験区で摂餌後に増加した。以上のことから、摂餌にはAgRP1とNPYが異なる経路で関与していると考えられた。また、摂餌刺激に関わるアラニンとプロリンにおいては適正量があると考えられること、魚粉の種類によっても成長が影響を受けることも分かった。さらに魚粉水溶性画分には魚粉と同様の消化促進作用があることが示唆された。摂餌量の増加については、嗜好性だけでなく飼料の消化も関わっていると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年度の実験魚は嗅覚・味覚を介した応答が弱く、行動解析や食欲関連ホルモンの応答を観察することが困難であった。春種苗だけでなく、秋種苗においても同様であった。試験的に導入した別系統のブリ種苗を用いた際、良好な応答を確認できた。本年度は、これまで使用してきた種苗と新たな系統のブリ種苗の両方を十分に確保し、昨年度に実施予定であった内容を遂行する。 一方で、無魚粉・無魚油飼料の開発は魚粉の水溶性画分を用いる事で進んでいる。この飼料におけるアミノ酸・核酸関連物質等の含量も把握していることから、本年度のアミノ酸・核酸関連物質等を用いた行動解析と食欲関連ホルモンの応答を照らし合わせることで、最終年度のより良い飼料の開発に繋げることができると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
実験パートに進行のズレが生じてしまっている。本年度はそのズレを修正することで、申請書の計画を達成できるようにする。
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