研究課題/領域番号 |
23K21244
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補助金の研究課題番号 |
21H02299 (2021-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2021-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分41020:農業社会構造関連
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研究機関 | 就実大学 (2024) 京都大学 (2021-2023) |
研究代表者 |
伊庭 治彦 就実大学, 経営学部, 教授 (70303873)
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研究分担者 |
山下 良平 石川県立大学, 生物資源環境学部, 准教授 (40515871)
野中 章久 三重大学, 地域イノベーション学研究科, 教授 (60355253)
片岡 美喜 高崎経済大学, 地域政策学部, 教授 (60433158)
上西 良廣 九州大学, 農学研究院, 助教 (60783248)
白岩 立彦 京都大学, 農学研究科, 教授 (30154363)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,160千円 (直接経費: 13,200千円、間接経費: 3,960千円)
2024年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
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キーワード | 気候変動 / スマートクライメイト農業 / 適応行動 / 農業経営管理 / 農業者の適応行動 / スマート農業 / SDGs / SDGs / 農業経営管理者 / 農業経営 / 経営管理 / 農業経営体 / 持続的農業 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、第一に、国内の同問題の実態把握を行い、様々な主体による取り組みの論理を探る。第二に、その成果を基に地域・国間の比較を分析視角として本研究の課題に接近する。なぜなら,気候変動が及ぼす影響は年々変化しており,今後いずれの国・地域がどのような影響を受けるかは不透明だからである。多様な気候変動の影響への適応策を探るためには,実際の取り組みを幅広く把握し,かつ,それらの効果を検証することが必要となる。この点で,国際比較研究をとおして有効な知見を得ることができる。
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研究実績の概要 |
研究組織メンバーにより、次の研究が進められた。 [伊庭]タイ国の小規模ドリアン生産者の気候変動に対する適応行動の形成要因に関して,アンケート調査に基づきリスク認知の視点から検証を行った。分析結果として,気候変動に関わる過去の経験が現在のリスク認知と関係しつつ、政府による支援を媒介として気候変動への適応行動を選択・形成していることを明らかにした。[山下]近年の気温上昇が野生動物の行動に与える影響を確認し,その変化が地域社会に与える影響を考察した。その結果から,地域住民の健康への影響が顕在化した場合,農村コミュニティが弱体化するという社会的な悪影響が出る可能性を指摘した。[野中]エディブルフラワーハウスの害虫防除のためのIoTデータ活用試験において,2023年夏の高温によりカイガラムシの発生が抑制された可能性が示した。そこで示唆された経営管理技術としての気候変動下の害虫・病気に関する診断システムの必要性は,四日市市のトマトハウスにおける同様の実験における「生成AIを利用した病気・害虫診断システム」の開発に展開することとなった。[片岡]気候変動下における果樹生産に関する政策的対応として、群馬県における農業行政および試験機関への調査を実施した。その結果,品種や施設など農業技術面での対応、高温化における収穫時期の見極めアプリの開発など、同県における対応が確認できた。[上西]JA糸島を対象とし、水稲高温耐性品種「にこまる」の普及方策に関してヒアリング調査を実施した。[白岩]ダイズの高温環境への適応性は熱帯産ダイズ品種が優れるかもしれない。温帯産品種と熱帯産品種の熱帯環境における生産性を、生育期間の違いを取り除いて比較したところ(圃場日長処理実験)、熱帯産品種は、日本産品種群よりも高い収量とバイオマス生産性、および顕著な外観品質安定性を示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年9月に開催された日本農業経営学会大会において、研究組織メンバーおよび海外3ケ国から共同研究者を招聘し分科会を開催した。分科会では、座長解題として,日本における気候変動の実態を気象データから示し,次いで農業経営における危機管理体制の構築について論点を整理した。座長解題に続いて米国,フランス,タイ国,日本(2報告)から各国での取り組みと効果,今後の課題等に関する研究成果が報告された。 総合討論では,2名のコメンテーターから各報告に対してなされた質疑を中心として議論を行った。コメント1では,海外研究者からの報告に対して,各事例の地域・産品が有する制度的・市場的な条件を視点として,気候変動が与える影響の事実確認がなされた。例えば,仏国の報告に対しては,ワイン市場の特性を考慮することの重要性が示された。その上で,各事例に特有の新たな問題の発生を指摘し,そのことへの適応策の在り方について議論を行った。コメント2では,日本の事例に関わる報告に対して,各事例に関わる詳細な点の確認を行い,各報告の理解の深化を図った。加えて,全報告に関わって「気候変動と適応策の変化速度の差がもたらす問題」および「適応行動を具体化する要因」に関する質疑が出された。この問題に対して,会場とともに議論を行った。 本分科会において報告された研究は、2024年度に発刊を計画している書籍として公表する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
研究の最終年度である2024年度は、これまでの研究成果を精査し,書籍としてまとめ公表する計画である。そのために,必要となる国内外での補完調査および分析を進める。国内研究については,岡山県,石川県,三重県,福岡県での調査・分析を予定している。海外研究としては,タイ,フランス,米国の共同研究者との連携を行う。これらの研究に関して国内の研究者および海外の共同研究者による合同の研究会を開催し,書籍の内容を議論する。
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