研究課題/領域番号 |
23K21252
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補助金の研究課題番号 |
21H02327 (2021-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2021-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分41050:環境農学関連
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
本林 隆 東京農工大学, 農学部, 教授 (20262230)
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研究分担者 |
日鷹 一雅 愛媛大学, 農学研究科, 准教授 (00222240)
高橋 真 愛媛大学, 農学研究科, 教授 (30370266)
水川 葉月 愛媛大学, 農学研究科, 准教授 (60612661)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,030千円 (直接経費: 13,100千円、間接経費: 3,930千円)
2024年度: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2022年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
2021年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
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キーワード | 種感受性分布 / 生物多様性 / 水田 / 育苗箱処理剤 / 薬剤分析 / 生態影響評価 / 水田環境 / 総合的生物多様性管理 / 農薬濃度分析 / 田面水 / 水生昆虫 / 生態リスク評価 / 種多様性分布 |
研究開始時の研究の概要 |
複数種の生物の農薬感受性(SSD)から得られる種感受性分布を活用して、生物群集に対する生態リスクを確率論的に推測することが可能である。本研究では、既存SSDの対象生物種に実際の水田に生息する種を加えて“拡張版SSD”を構築する。また、全国数地域の水田環境(水圏・土壌)における詳細な農薬の濃度分布を解明する。さらに、現地の水生昆虫群集および使用されている農薬について調査し、農薬の昆虫群集に対する影響を疫学的に解析する。最終的に、SSDから予測される農薬の生態リスクと、実際のフィールドにおける疫学調査の結果を比較・統合し、種感受性を考慮した包括的な新規生態リスク評価法を構築する。
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研究実績の概要 |
・2019年に上市されたトリフルメゾピリム+クロラントラニリプロール製剤(商品名サンエースなど)が主に西南日本で使用が拡大している。トリフルメゾピリムに関しては、水生昆虫に対する急性毒性データがほとんどなく、種感受性分布(SSD)の作成が困難である。そこで、数種の水田に生息する水生昆虫を対象に本薬剤の急性毒性試験を実施し、半数致死濃度(LD50)あるいは半数影響濃度(ED50)を求め、SSDを作成した。得られてSSDをすでに作成されているフィプロニル、イミダクロプリド、クロチアニジン、ジノテフランなどのSSDと比較すると、フィプロニル、イミダクロプリドなどに比べて毒性のレベルは低く、ジノテフランと類似していた。 薬剤の分析に関しては、LC-MS/MSおよびGC-MS/MSを用いて、水中農薬約160成分の一斉分析が可能な手法を確立した。実験圃場等における田面水および河川水のモニタリングを実施したところ、田植え直後では農薬サンエースの成分が高濃度で検出され、夏季の防除期ではジノテフランが比較的高濃度で検出された。また、水溶解度が高く、水中半減期の長い農薬成分が、田面水から周辺河川に拡散しやすいことが示唆された。 以上の結果から、トリフルメゾピリムの水田における水生昆虫に対する生態リスクはさほど大きくないと考えられた。しかし、SSDの作成に供したいくつかの種のトリフルメゾピリムに対する半数致死濃度に関しては、95%信頼区間が著しく大きいものがあったことから、SSDの精度には問題があり、最終的な評価には、さらに、データを蓄積する必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍の影響により、予定していた全国各地域での薬剤の使用状況の調査、水生生物のモニタリング、感受性試験の供試材料の採集などは遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
・水田で使用されている薬剤の相当数の成分を分析する方法が確立された。この方法により、愛媛県内の実験水田を対象に引き続き、分析を継続し、薬剤施用時のみでなく、薬剤の長期残留の状況に関してもデータを蓄積する。 ・これまでに作成したトリフルメゾピリムに関する種感受性分布の精度を高めるため、さらに感受性データの蓄積をはかる。また、新たに、ジアミド系殺虫剤のクロラントラニリプロールに関しても種感受性分布の作成を進める。 ・2024年度が本研究の最終年度のため、これまでの結果を総括し、上記薬剤の生態リスク評価を行う。
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