研究課題/領域番号 |
23K21253
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補助金の研究課題番号 |
21H02330 (2021-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2021-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分41050:環境農学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
縄田 栄治 京都大学, 国際戦略本部, 特任教授 (30144348)
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研究分担者 |
秋津 元輝 京都大学, 農学研究科, 教授 (00202531)
梅津 千恵子 東北公益文科大学, 公私立大学の部局等, 教授 (40294251)
谷田貝 亜紀代 弘前大学, 理工学研究科, 教授 (60353447)
白岩 立彦 京都大学, 農学研究科, 教授 (30154363)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,290千円 (直接経費: 13,300千円、間接経費: 3,990千円)
2024年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2023年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2022年度: 4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 5,850千円 (直接経費: 4,500千円、間接経費: 1,350千円)
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キーワード | 作物生産 / 地球温暖化 / 作物モデル / 環境問題 / 気象モデル |
研究開始時の研究の概要 |
現在、地球温暖化が進行し悪影響が現れつつあるが、作物生産では局所的な被害が頻発しているにもかかわらず、地球全体の作物生産は安定的に高く悪影響は現れていない。温暖化は、作物生産にとって悪影響だけでなく好影響もあり、今の所、温暖化の好影響が悪影響を上回っている可能性が高い。地球温暖化の好影響には、作物生産性向上、栽培期間長期化、栽培可能地域拡大などが挙げられるが、地球温暖化の作物生産への影響についての研究は、主に温帯地域での悪影響について行われ、地球温暖化の好影響が適正に評価されていない。本研究では、地球温暖化の好影響を適正に評価し、その上で悪影響が現れる時期を予測して、効果的な方策を開発する。
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研究実績の概要 |
本研究では、4つの小課題、「1. 地球レベルと地域レベルの作物生産動向解析」、「2. 気象データ・土地資源データを基にした地球温暖化の正負の影響の適正評価」、「3. シミュレーションモデルによる、作物生産に負の影響が顕在化する時期の推定、及びその対策の提示」、「4.地球温暖化の作物生産に対する正の影響が生み出す問題点の抽出と解決策の提示」を実施する。本年度は、昨年度と同様、主として1と2を実施し、3に着手した。 1.地球レベルと地域レベルの作物生産動向解析: 昨年度同様、対象として選択した4国の農地面積と作物(イネ・ダイズ・トウモロコシ・サトウキビ・キャッサバ)ごとの栽培面積・生産量・単位面積当たりの収量等のデータを収集し、気象データ(気温、日射、降雨の日単位データ)の収集を進めた。収集の遅れていた近年の降雨データについては、データベース化し、Aphrodite により広域に展開して解析を進めた。その結果、近年の温暖化の進行により洪水・旱魃が頻発し、各地で作物生産に被害が出ているにもかかわらず、また、ウクライナ戦争により肥料価格等の高騰があったにもかかわらず、地球全体としては、安定した作物生産がなされていることが明らかとなった。 2.気象データ・土地資源データを基にした地球温暖化の正負の影響の適正評価: データ取得が先行しているタイについて、今年度分のデータにより各作物の潜在収量(生産制限要因は気温と日射量のみ)及び達成可能収量(生産制限要因は気温と日射量と水ストレス)を推定した結果、ともに、大きな変動は見られないことを確認した。 3.シミュレーションモデルによる、作物生産に負の影響が顕在化する時期の推定、及びその対策の提示: それぞれの作物モデルにサブモデルとして地球温暖化の正の影響を組み込んだ形で、作物ごとのモデルのパラメータの検証を行い、モデル改良を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度予定してた3つの小課題のうち、主として2つに注力した結果、小課題により、あるいは対象国により、多少の遅滞はあるものの、概ね順調に進んでいる。特に、現地調査は、コロナ禍の影響が一段落下とはいえ、現地機関によるデータの報告が遅れ気味であり、データの入手が予定より遅れたが、研究協力者と連絡をとり、データの取得を進めた結果、気象データや農業統計の収集については、ほぼ順調に進みつつある。また、一部の対象国では、資源データベース・気象データベースもほぼ完成しつつあるため、長期の作物生産力変動の解析が可能となった。
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今後の研究の推進方策 |
4つの小課題のうち、昨年度繰り越した計画を実施後、1・2・3を実施し、4の実施準備を行う。 1.地球レベルと地域レベルの作物生産動向解析: 対象として選択した4国(日本、台湾、タイ、ザンビア)の農地面積と作物(イネ・ダイズ・トウモロコシ・サトウキビ・キャッサバ)ごとの栽培面積・生産量・単位面積当たりの収量等のデータの収集・データベース化を継続する。特に、台湾・日本で近年のデータの収集を強化する。同時に、気象データ(気温、日射、降雨の日単位のデータ)の収集・データベース化を進める。収集したデータを用いて、地球レベル・地域レベルでの作物生産動向を分析し、気象イベント、土地資源との関係を解析する。 2.気象データ・土地資源データを基にした地球温暖化の正負の影響の適正評価: 土地資源データと気象データ及び、シミュレーションモデルを用いた、各作物の潜在収量(生産制限要因は気温と日射量のみ)及び達成可能収量(生産制限要因は気温と日射量と水ストレス)の推定及び気候変動の影響の推定を進める。また、栽培可能地域の拡大については、熱帯・亜熱帯原産作物であるイネ・トウモロコシ・サトウキビ・キャッサバについて、タイ・台湾・ザンビアで、近年の高標高地域への栽培拡大を検証し、台湾・日本について、高緯度地域への栽培拡大を検証する。 3.シミュレーションモデルによる、作物生産に負の影響が顕在化する時期の推定、及びその対策の提示: それぞれの作物ごとに、小課題2の評価・検証結果の数量化・モデル化を進め、地球温暖化の正の影響を組み込んだ形で、作物モデルを改良する。改良した作物モデルを MAPNET 型土地生産力モデルに組み込み、地域レベル(国、地方、州・県)の将来の作物生産量を予測することにより、温暖化の負の影響が顕在化し生産量の低下傾向が顕著になる時期を推定して地域ごとに傾向を比較分析する。
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