研究課題/領域番号 |
23K21260
|
補助金の研究課題番号 |
21H02342 (2021-2023)
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2021-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分42010:動物生産科学関連
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
松田 二子 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 准教授 (10608855)
|
研究分担者 |
大蔵 聡 名古屋大学, 生命農学研究科, 教授 (20263163)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
|
配分額 *注記 |
17,290千円 (直接経費: 13,300千円、間接経費: 3,990千円)
2024年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2023年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2022年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 5,590千円 (直接経費: 4,300千円、間接経費: 1,290千円)
|
キーワード | 視床下部-下垂体-卵巣軸 / 性腺刺激ホルモン / 視床下部神経細胞株 / 顆粒層細胞 / 反芻家畜 |
研究開始時の研究の概要 |
哺乳類のメスの生殖機能は、視床下部-下垂体-卵巣軸により内分泌的に制御されている。研究代表者は最近、ウシ卵胞の顆粒層細胞で高発現する分泌タンパク質を複数発見した。本研究では、これらの分泌タンパク質が視床下部/下垂体に作用して生殖機能を制御する未知の卵巣由来因子であると仮定し、ウシのモデル動物であるヤギを用いた実験系により作用を解析する。本研究で繁殖機能を制御する新奇の分泌因子を発見できれば、繁殖障害の治療薬開発および生殖工学技術の改良に応用され、畜産物の生産性向上へ寄与すると期待される。
|
研究実績の概要 |
性線刺激ホルモンの分泌を制御する未知の卵巣分泌因子の候補として、新奇卵胞分泌因子Aが視床下部あるいは下垂体に作用する可能性を検証した。 A)視床下部・下垂体に対する新奇卵胞分泌因子Aの作用の検証:卵巣除去した雌ヤギに新奇卵胞分泌因子Aを投与し、視床下部の生殖中枢活動の記録と性腺刺激ホルモン濃度測定を同時に行った。その結果、生殖中枢活動は変化しなかった一方、性腺刺激ホルモン分泌は抑制された。この結果から、反芻動物において、新奇卵胞分泌因子Aは視床下部生殖中枢には作用せず、それより下流の細胞に作用して性腺刺激ホルモン分泌を抑制することが示唆された。 B)新奇卵胞分泌因子Aおよびその受容体の視床下部・下垂体・卵巣における局在解析:新奇卵胞分泌因子Aの作用点を探るため、ラット視床下部を用いた組織学的解析を実施し、新奇卵巣分泌因子Aの受容体を発現する神経細胞を特定した。これらの神経細胞に新奇卵巣分泌因子Aが直接作用することで、性腺刺激ホルモンの抑制効果を示すことが示唆された。 C)新奇卵胞分泌因子Aの血中濃度の解析:ヤギに過排卵誘起処置をした際と無処置時の新規卵胞分泌因子Aの血中濃度を比較した。その結果、過排卵誘起処置の有無で新奇卵胞分泌因子Aの血中濃度は変化しなかった。しかし、当該ヤギで過排卵が誘起されていないことを示唆する状況が見られたことから、過排卵誘起処置を効果的なプロトコルに変えて再度サンプリングと血中濃度測定を実施する必要があると考えられた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
性線刺激ホルモンの分泌を制御する未知の卵巣分泌因子の候補1つ(新奇卵胞分泌因子A)が、ヤギにおいて性腺刺激ホルモン制御作用を持つことを示すことができた。さらに、その受容体の発現解析など、作用機序に迫る実験を実施することができた。
|
今後の研究の推進方策 |
新奇卵胞分泌因子Aについて、視床下部あるいは下垂体に作用して性腺刺激ホルモン分泌を抑制することを明らかにした。今後はAの作用機序を確実に解明するための実験を行っていく。さらに、Aが卵巣内で卵胞発育に関与するかを解明するための実験も行う。 さらに、別の新規卵胞分泌因子B、Cについても、Aで実施したのと同様の投与実験を実施して、性腺刺激ホルモン分泌制御作用を持つか調べ、卵巣内での作用についても解析を進める。 上記の研究には、研究代表者が樹立したヤギ視床下部神経細胞株も利用することで、細胞レベルでの機能解明や関連因子の発見を目指す。
|