研究課題/領域番号 |
23K21265
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補助金の研究課題番号 |
21H02352 (2021-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2021-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分42020:獣医学関連
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研究機関 | 熊本大学 (2022-2024) 北海道大学 (2021) |
研究代表者 |
戸田 知得 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 准教授 (70571199)
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研究分担者 |
榎木 亮介 大学共同利用機関法人自然科学研究機構(機構直轄研究施設), 生命創成探究センター, 准教授 (00528341)
近藤 邦生 鳥取大学, 医学部, 准教授 (90784950)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,290千円 (直接経費: 13,300千円、間接経費: 3,990千円)
2024年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
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キーワード | 視床下部 / シナプス / 糖代謝 / グルコースセンシング神経 / 糖尿病 / 神経回路 / グルコースセンシング / 骨格筋 |
研究開始時の研究の概要 |
血糖値の変化は脳の神経細胞によってモニターされています。この神経細胞はグルコースセンシング神経と呼ばれ、血糖値が増加したときには筋肉でのグルコースの取り込みを増加させるなどして、血糖値を低下させる働きがあります。しかし、肥満するとグルコースセンシング機能が低下して、血糖値が高いままになります。我々は肥満によって起こるグルコースセンシング神経の機能低下を改善させ、糖尿病の治療薬となり得る分子を発見しました。しかし、この分子がどのようなメカニズムで抗糖尿病作用を示すかはよく分かっていません。本研究ではウイルストレーサーや2光子レーザー顕微鏡を用いてそのメカニズムを明らかにします。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は脳による血糖値感知に重要なグルコースセンシング神経の機能が肥満によって低下するメカニズムを解明することである。我々はグルコースセンシング神経のsingle cell RNA sequenceによって、肥満にともなうグルコースセンシング神経機能低下の原因となる分子Aを発見した。分子Aを肥満マウスの脳内に投与すると骨格筋のインスリン感受性が増加し全身の糖代謝が改善した。2022年度は分子Aの糖尿病改善メカニズムに焦点を当て研究を進め、以下の研究成果を得た。 ①グルコースセンシング神経特異的な分子Aの欠損マウスを作成するために、先端モデル動物支援プラットフォームのモデル動物作成支援を利用し、分子Aのfloxマウスを作成した。このマウスとFLPマウスおよびArc-creマウスを交配し、トリプルトランスジェニックマウスを作成した。実験に必要なflox (Homo)のトリプルトランスジェニックマウスを作成するために時間がかかった。 ②研究分担者との共同研究によりin vivoカルシウムイメージングを行った。細胞内カルシウム濃度センサーであるGCaMP8を発現させるアデノ随伴ウイルスを視床下部に投与してGCaMP8を発現させたが、GRINレンズの高さや挿入方法などに問題があった。共同研究者の先生に助言をいただき、アデノ随伴ウイルスを数nL/minの流速で投与、投与後のシリンジを抜く時の速さ、GRINレンズを挿入するときの速度などを変更した。視床下部のin vivoカルシウムイメージングの撮影ができるようになってきたが、成功率が低いため改善が必要である。 ③肥満だけでなく精神的ストレスや老化も糖尿病発症リスクを増加する。そこで、うつ病モデルマウスである社会敗北ストレスモデルで糖代謝が変化するかを測定したところ、ストレス負荷マウスで耐糖能が悪化した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2022年12月に熊本大学に異動したため、マウスの繁殖をやり直す必要があった。また、研究室のセットアップに時間がかかり、実験ができない期間があったため計画よりも少し遅れている。ただし、熊本大学は代謝や神経の研究が盛んであり、共通利用機器やサポート体制などで優れた研究環境である。また、現在までにセットアップは終了し、独立した研究室をスタートさせることができたため、今後は今まで以上に研究に専念することができる。研究に集中して遅れた分の研究を取り戻すと同時に、様々な代謝測定機器を使って研究を発展させたい。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、分子Aによる糖尿病改善作用メカニズムを解明するために以下の①~③を行う。 ①グルコースセンシング神経特異的な分子A欠損マウスとして、A-flox;FLP;Arc-creのトリプルトランスジェニックマウスを作成する。同時に、分子Aのfloxマウスの視床下部にCre recombinaseを発現するアデノ随伴ウイルスを投与して、視床下部選択的な分子A欠損マウスを作成する。この分子A欠損マウスの体重、摂食量、糖代謝の変化、グルコースセンシング神経のシナプス形態の変化などを測定する。 ②In vivoカルシウムイメージングを行い、高脂肪食で飼育し徐々に肥満になっていくどの段階で視床下部のグルコースセンシング神経の活動低下が起こるかを調べる。また、脳全体で神経活動の変化を測定するために定量的活動依存性マンガン造影 MRI (manganese enhances MRI)および脳透明化による全脳cfos染色を試みる。 ③肥満だけでなく精神的ストレスや老化も糖尿病発症リスクを増加する。そこで、うつ病モデルマウスや老化マウスのグルコースセンシング神経の活動を測定する。
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