研究課題/領域番号 |
23K21279
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補助金の研究課題番号 |
21H02371 (2021-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2021-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分42020:獣医学関連
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
胡 東良 北里大学, 獣医学部, 教授 (10333733)
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研究分担者 |
小野 久弥 北里大学, 獣医学部, 准教授 (80704569)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,030千円 (直接経費: 13,100千円、間接経費: 3,930千円)
2024年度: 4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2022年度: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2021年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
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キーワード | ブドウ球菌 / スーパー抗原 / エンテロトキシン / 感染免疫 / ワクチン / 病原機構 / 黄色ブドウ球菌 |
研究開始時の研究の概要 |
黄色ブドウ球菌感染は牛伝染性乳房炎,豚剥脱性皮膚炎,鶏浮腫性皮膚炎・関節炎及び人の病院感染の重大な問題となり,宿主防御の綻びを縫って宿主に重篤かつ持続的な病態を形成する難治性感染症である.酪農・畜産業に甚大な経済損失をもたらしている.しかし,現在,有効な防御対策と予防ワクチンが欠いている.そこで,本研究では,黄色ブドウ球菌感染におけるブドウ球菌エンテロトキシン(SEs)の新たな病原機構を分子・細胞レベル及び生体レベルで解析し,本菌と宿主の攻防におけるSEsの作用機序を明らかにすると共に,防御ワクチン抗原を探索し,次世代ワクチン開発への応用を探る.
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研究実績の概要 |
本年度の研究は主に人及び動物臨床分離株の多くが産生するSECとSEHを中心に、SEsの新たな病原機構を解析し、ブドウ球菌と宿主の攻防メカニズムを解析した。特に、スーパー抗原活性を欠損させた変異毒素を作製し、これらの毒素が宿主細胞との接着・結合性について分子・細胞レベルで検討した。まずは、SEH及び無毒変異mSEHタンパクの作製・精製 (Large scale) を行い、SEHを産生する菌株からゲノムDNAを抽出・精製し、seh 遺伝子を発現ベクター pGEX-6p-1に組換え、GST-fusion protein system により大腸菌タンパク発現系を構築した。また、site-directed mutation法により、SEH分子上のスーパー抗原活性部位を変異させ、無毒変異mSEHを作製し、large scaleにより大量精製した。続いて、SEs遺伝子ノックアウト菌株の作製とブドウ球菌834臨床由来野生菌株との病原性の比較検討を行った。 SEs遺伝子を保有する菌株を用いて、シャットルカセットベクターを設計・構築し、毒素遺伝子をそれぞれノックアウトした isogenic mutant株(Δse) を作製した。さらに、Balb/cマウスに経静脈感染させ、SEs遺伝子ノックアウト菌株と野生株との生存率を比較する。並行して感染早期(3日目)の各変異株と野生株の脾臓、肝臓、腎臓中の生菌数を測定・比較した。野生株よりビルレンスが低下した変異株を選択できた。一方、マウスに経鼻粘膜感染させ、上皮細胞への付着性、持続時間、局所・全身炎症反応及びサイトカイン産生、マウスの生存率を比較検討し、ブドウ球菌持続感染におけるSEsの役割を解析中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は基本的に計画通り、スーパー抗原活性を欠損させた変異毒素を作製・精製し、毒素遺伝子をノックアウトした isogenic mutant株(Δse) を作製できた。 また、野生株よりビルレンスが低下した変異株を選択できた。マウスに経鼻粘膜感染させ、上皮細胞への付着性、持続時間、局所・全身炎症反応及びサイトカイン産生、マウスの生存率を比較検討し、ブドウ球菌持続感染におけるSEsの役割を解析して、有意義な結果が得られた。
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今後の研究の推進方策 |
今後、さらに、作製した毒素、スーパー抗原活性欠損した毒素、およびスーパー抗原遺伝子欠損菌株を用いて、マウスに経鼻粘膜感染させ、上皮細胞への付着性、持続時間、全身炎症反応とサイトカイン産生を解析し、ブドウ球菌持続感染におけるSEsの役割を精査し、そのメカニズムを究明する。
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