研究課題/領域番号 |
23K21283
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補助金の研究課題番号 |
21H02384 (2021-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2021-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分42030:動物生命科学関連
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研究機関 | 麻布大学 |
研究代表者 |
伊藤 潤哉 麻布大学, 獣医学部, 教授 (30454143)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,290千円 (直接経費: 13,300千円、間接経費: 3,990千円)
2024年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2022年度: 4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2021年度: 4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
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キーワード | 受精 |
研究開始時の研究の概要 |
申請者はこれまで栄養素の一つである亜鉛イオンの生殖機能における役割について研究を行ってきた.その中で亜鉛イオンの輸送を制御する亜鉛トランスポーターが,雌雄生殖細胞(精子・卵)の機能維持に必須な役割を持つことを明らかにしつつある.本研究では亜鉛トランスポーター遺伝子改変マウスを用いることで,生殖ライフスパンを通じた生殖細胞の維持における亜鉛イオン依存シグナルの寄与を分子レベルで明らかにする.本研究から得られる知見は,マウスのみならず畜産分野で低受胎率が起こっているウシや不妊症が加速しているヒトなど多くの哺乳類の生殖QOL向上に寄与すると考えられる.
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研究実績の概要 |
体外受精に代表される生殖技術の開発により,実験動物や家畜の受精卵(胚)を効率的に体外で作製することが可能となった.それらの技術の一部はヒトの生殖医療においても用いられている.しかし,体外で生産された胚の発生能は,体内由来のものに比べて低い.その理由として卵の体外成熟および受精技術が,体内での現象を再現できていないことが考えられる.本研究では,卵の成熟や受精に重要な役割をもつと考えられる亜鉛シグナルに着目し,亜鉛イオンの輸送を制御する亜鉛トランスポーター遺伝子改変マウスを用いることで『亜鉛イオン依存的な哺乳類卵成熟・受精メカニズムを分子レベルで明らかにする』ことである.またその知見を応用し,『個体への高い発生能をもつ哺乳類卵・胚の体外生産法に応用する』ことである. 前年度の研究で作製した卵子特異的な遺伝子欠損(cKO)マウスを解析したところ,妊孕性は著しく低下し,またcKOから得られた卵子は受精は可能なものの胚盤胞への発生が著しく低下した.またcKO卵では亜鉛蛍光色素であるFluozin-3での蛍光が著しく低下していた.以上のことから,亜鉛トランスポーターはマウス卵の亜鉛イオンの取り込みに関与していること,また亜鉛トランスポーターを介した亜鉛シグナルは哺乳類の初期胚発生に重要であることが示された.またcKO卵の受精時には本来受精時に認められる亜鉛スパークが抑制されていたことから亜鉛トランスポーターは亜鉛スパークを制御していることも初めて明らかにされた.今後さらに詳細な解析を行うことで哺乳類受精・胚発生時の亜鉛シグナルの役割を明らかにしていく予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
予定していた遺伝子改変動物の作製はすでに出来ており,当初想定していた以上の解析結果も得られているためこのような評価とした.
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今後の研究の推進方策 |
今後さらにcKOマウスについて詳細な解析を行うことで哺乳類受精・胚発生時の亜鉛シグナルの役割を明らかにしていく予定である.特に原始卵胞を用いた体外培養および遺伝子発現の網羅的解析(RNAseq)を行う予定である.
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