• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 前のページに戻る

核磁気共鳴法を用いたGタンパク質共役型受容体によるシグナル制御機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 23K21289
補助金の研究課題番号 21H02410 (2021-2023)
研究種目

基盤研究(B)

配分区分基金 (2024)
補助金 (2021-2023)
応募区分一般
審査区分 小区分43020:構造生物化学関連
研究機関東京大学

研究代表者

幸福 裕  東京大学, 大学院薬学系研究科(薬学部), 助教 (80737940)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2024年度)
配分額 *注記
17,160千円 (直接経費: 13,200千円、間接経費: 3,960千円)
2024年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
キーワード核磁気共鳴法 / 安定同位体標識 / 膜タンパク質 / シグナル伝達 / Gタンパク質共役型受容体 / 薬学 / 生物物理 / 蛋白質
研究開始時の研究の概要

Gタンパク質共役型受容体 (GPCR) は、感覚受容・神経伝達・免疫応答など多様な生理機能に関わっており、重要な創薬標的分子である。GPCRを標的とした創薬においては、例えば、特定のシグナル伝達経路を選択的に活性化するバイアスリガンドが、副作用の少ない医薬品候補として注目されている。しかしながら、バイアスリガンドの活性は、従来考えられていた、GPCRが単純なシグナルのオン・オフの2状態をとることでは説明できない。本研究では、このような複雑なシグナル伝達機構を有するGPCRについて、その動的な性質を原子レベルで解析可能な核磁気共鳴(NMR)法を用いて解析する。

研究実績の概要

1.哺乳細胞における安定同位体標識法の確立
これまでは、昆虫細胞発現系を用いて、安定同位体標識を導入したGタンパク質共役型受容体(GPCR)の試料を調製してきた。GPCRを含む膜タンパク質には、昆虫細胞発現系では十分な発現量が得られないものがある一方で、哺乳細胞発現系では多くの膜タンパク質の発現が可能であることが報告されている。しかしながら、核磁気共鳴(NMR)法を用いた解析を適用する上では、哺乳細胞発現系で、高度な重水素標識を含む安定同位体標識が確立されていないことが課題である。そこで、哺乳細胞発現系を用いた安定同位体標識条件を確立することとした。モデルタンパク質としてチオレドキシンを用い、哺乳細胞発現系における安定同位体標識率を算出した結果、昆虫細胞発現系と同程度に高い標識率が達成できる条件を見出した。GPCRの一種であるβ2アドレナリン受容体について、哺乳細胞発現系を用いて安定同位体標識試料を調製し、NMR解析をおこなったところ、高い測定感度でNMRシグナルを検出することができた。以上のことから、哺乳細胞発現系における安定同位体標識法の確立ができたと判断した。
2.様々なβ2AR変異体のNMR解析
前年度までの解析において、β2アドレナリン受容体(β2AR)の構造変化を検出する様々なNMRプローブを確立してきた。β2ARについては、活性に変調を与える様々な変異体が報告されている。そこで、これらの変異体の構造がどのように変化しているかを、確立したNMRプローブにより解析した。その結果、シグナル伝達活性が低下する変異体では、β2AR膜貫通領域の運動性が低下する傾向が観測されるなど、運動性とシグナル伝達活性が関係していることが示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度は、当初の予定通り、哺乳細胞発現系での安定同位体標識法の確立、およびβ2ARのNMR解析を進めた。このことから、おおむね順調に進展していると判断した。

今後の研究の推進方策

次年度は、GPCRの一種であるケモカイン受容体について、シグナル伝達活性の異なる様々なリガンドが結合した状態のNMR解析をおこなう。ケモカイン受容体は昆虫細胞発現系における発現量が低いことが課題となっているが、本年度に確立した哺乳細胞発現系を活用することで、効率的に研究を推進する。また、GPCRにはヒト由来のものでも800種類もあり、創薬上重要な標的も数多く存在することから、これら創薬上重要なGPCRについてNMR解析を進めることで、薬効発現メカニズムの解明につなげる。

報告書

(3件)
  • 2023 実績報告書
  • 2022 実績報告書
  • 2021 実績報告書
  • 研究成果

    (11件)

すべて 2023 2022 2021 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (6件) (うち招待講演 1件) 備考 (1件)

  • [国際共同研究] インド工科大学(インド)

    • 関連する報告書
      2021 実績報告書
  • [雑誌論文] Activation mechanism of the μ-opioid receptor by an allosteric modulator.2022

    • 著者名/発表者名
      Kaneko S, Imai S, Asao N, Kofuku Y, Ueda T, Shimada I.
    • 雑誌名

      Proc. Natl. Acad. Sci. U. S. A.

      巻: 119 号: 16

    • DOI

      10.1073/pnas.2121918119

    • 関連する報告書
      2021 実績報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Function-Related Dynamics in Multi-Spanning Helical Membrane Proteins Revealed by Solution NMR2021

    • 著者名/発表者名
      Takeuchi Koh、Kofuku Yutaka、Imai Shunsuke、Ueda Takumi、Tokunaga Yuji、Toyama Yuki、Shiraishi Yutaro、Shimada Ichio
    • 雑誌名

      Membranes

      巻: 11 号: 8 ページ: 604-604

    • DOI

      10.3390/membranes11080604

    • 関連する報告書
      2021 実績報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Biphasic activation of β-arrestin 1 upon interaction with a GPCR revealed by methyl-TROSY NMR2021

    • 著者名/発表者名
      Shiraishi Yutaro、Kofuku Yutaka、Ueda Takumi、Pandey Shubhi、Dwivedi-Agnihotri Hemlata、Shukla Arun K.、Shimada Ichio
    • 雑誌名

      Nature Communications

      巻: 12 号: 1 ページ: 7158-7158

    • DOI

      10.1038/s41467-021-27482-3

    • 関連する報告書
      2021 実績報告書
    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [学会発表] 膜タンパク質の機能解明に向けた哺乳細胞発現系における安定同位体標識法の確立2023

    • 著者名/発表者名
      山本泰雅,幸福裕,魚返祐太朗,徳永裕二,上田卓見,嶋田一夫,竹内恒
    • 学会等名
      第62回NMR討論会
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [学会発表] 真核細胞発現系における安定同位体標識法の開発2023

    • 著者名/発表者名
      幸福裕,山本泰雅,魚返祐太朗,徳永裕二,上田卓見,嶋田一夫,竹内恒
    • 学会等名
      第62回NMR討論会
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [学会発表] Function-related conformational dynamics of eukaryotic membrane proteins in lipid bilayers revealed by solution NMR with novel stable isotope labeling methods2023

    • 著者名/発表者名
      Yutaka Kofuku
    • 学会等名
      第62回NMR討論会
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] 昆虫細胞発現系におけるアラニン選択標識法の開発2022

    • 著者名/発表者名
      幸福裕,横溝智貴,今井駿輔,白石勇太郎,五十嵐俊介,山口秀幸,水越利巳,鈴木榮一郎,嶋田一夫
    • 学会等名
      第61回NMR討論会
    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
  • [学会発表] ミューオピオイド受容体のアロステリックモジュレーターによる活性化機構の解明2022

    • 著者名/発表者名
      金子舜,今井駿輔,浅尾信央,幸福裕,上田卓見,嶋田一夫
    • 学会等名
      第61回NMR討論会
    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
  • [学会発表] アデノシンA2A受容体とリガンドの滞在時間を規定する構造基盤の解明2022

    • 著者名/発表者名
      上田卓見,土田知輝,栗田政稔,水村拓也,今井駿輔,白石勇太郎,幸福裕,竹内恒,嶋田一夫
    • 学会等名
      第61回NMR討論会
    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
  • [備考] 東京大学大学院薬学系研究科生命物理化学教室ホームページ

    • URL

      https://biophys.f.u-tokyo.ac.jp/

    • 関連する報告書
      2023 実績報告書 2022 実績報告書 2021 実績報告書

URL: 

公開日: 2021-04-28   更新日: 2024-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi