研究課題/領域番号 |
23K21293
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補助金の研究課題番号 |
21H02432 (2021-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2021-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分43030:機能生物化学関連
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研究機関 | 東京薬科大学 |
研究代表者 |
井上 弘樹 東京薬科大学, 生命科学部, 講師 (10294448)
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研究分担者 |
多賀谷 光男 東京歯科大学, 歯学部, 客員教授 (30179569)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,160千円 (直接経費: 13,200千円、間接経費: 3,960千円)
2024年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
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キーワード | がん / 細胞骨格 / 小胞輸送 / 浸潤突起 / 浸潤転移 / がん転移 / アクチン / 微小管 / 浸潤 / 転移 / 増殖 |
研究開始時の研究の概要 |
Triple-negative type 乳がん細胞 (TNBC) は、他のサブタイプの乳がん細胞と比べ、増殖が早く、高い浸潤転移能を有することから予後が不良であるが、それらの背景にある分子メカニズムについては、未解明の点が多く、学術的にも普遍的に重要である。研究代表者がこれまでに得た予備的なデータは、新規のTNBC特異的な「小胞輸送 - 細胞骨格ネットワーク」の存在を強く示唆しており、本研究では、そのネットワークの同定と機能、それに関わる分子機構の解析を分子細胞生物学・生化学レベルから動物がん転移モデル、乳がん患者病理組織レベルで進めることでTNBCの診断・治療のための基盤構築を目指す。
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研究実績の概要 |
浸潤転移能を持つがん細胞は浸潤突起と呼ばれるアクチン繊維に富む細胞膜の突起状構造を形成する。浸潤突起は細胞外基質を分解する活性をもつ。浸潤突起の形成と機能には微小管とアクチン繊維の2種の細胞骨格の相互作用が不可欠であるが,その分子メカニズムはこれまでのところ十分明らかになっていない。 研究代表者は,浸潤突起の形成・成熟に関わる新規分子の同定およびそれらの機能の解明を目指して,解析を行ってきた。本研究により,転移性乳がん細胞でのみ高い発現をもつタンパク質としてMAP1Bを新たに同定し,本タンパク質が浸潤突起を構成するアクチン重合促進タンパク質cortactin およびP(I3,4)P2結合性リンカータンパク質Tks5と相互作用することを見出した。本年度は,これらの結合様式を中心に解析した。すなわち,それらの結合の相互に競合的であることをin vitroおよびin vivoで明らかにした。さにら、MAP1Bの発現抑制は浸潤性乳がん細胞に対して多様な表現型を与えるため、MAP1Bに結合するcortactin, Tks5以外の因子についての探索も行い、多数の候補分子を得た。このうち,細胞運動や浸潤転移と密接な関係がある接着斑の構成因子との関係についても解析を行なった。この接着斑構成タンパク質は,MAP1B同様,転移性乳がん細胞で高発現しており,発現抑制により浸潤突起の形成が有意に抑制された。これらのことから,MAP1Bタンパク質,浸潤突起構成タンパク質,接着斑構成タンパク質は複合体として微小管,浸潤突起,接着斑の形成を相互依存的に機能し,乳がんの転移浸潤を制御していることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
一部は予定とは異なる展開を示しているが,概ね期待通りの結果が得られており,一部の成果については既に細胞生物学の有力ジャーナルに論文発表することができため。
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今後の研究の推進方策 |
今年度得られた成果を元に,それらを発展する形で,解析を進める。特に,MAPタンパク質と接着斑構成タンパク質の関係や,転移性乳がん細胞の増殖,浸潤転移能における接着斑構成タンパク質の機能を明らかにする。MAPタンパク質の結合因子についてはその候補として,接着斑構成タンパク質に加え,GTP結合タンパク質のGEFやGAPも同定されており,これらについても解析を進める。また,MAPタンパク質や浸潤突起構成タンパク質の発現および分解を制御する既承認薬のスクリーニングを行い,臨床応用への接点を模索する。
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