研究課題/領域番号 |
23K21296
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補助金の研究課題番号 |
21H02445 (2021-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2021-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分43040:生物物理学関連
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
塚本 寿夫 神戸大学, 理学研究科, 准教授 (90579814)
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研究分担者 |
森田 光洋 神戸大学, 理学研究科, 准教授 (50297602)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,290千円 (直接経費: 13,300千円、間接経費: 3,990千円)
2024年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2023年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2022年度: 5,200千円 (直接経費: 4,000千円、間接経費: 1,200千円)
2021年度: 5,330千円 (直接経費: 4,100千円、間接経費: 1,230千円)
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キーワード | 光受容 / オプシン / 光遺伝学 / GPCR / シグナル伝達 / イオンチャネル |
研究開始時の研究の概要 |
現在、光刺激によって細胞応答をコントロールする光遺伝学が爆発的に進展している。既存の光遺伝学解析の多くは、光感受性イオンチャネルであるチャネルロドプシンやその類縁体を光操作ツールとして用いている。次世代光操作ツールとして光感受性Gタンパク質共役受容体(GPCR)の動物オプシンがあるが、動物オプシンは同時に複数のシグナル経路を駆動するため、光依存的に複雑な応答が生じてしまい解析が困難になる難点がある。本研究では、特定のシグナル経路のみを選択的に駆動する光操作ツールを作製することで、動物オプシンを用いた「GPCR光遺伝学」の発展をめざす。
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研究実績の概要 |
これまでの光遺伝学解析の多くでは、光駆動型イオンチャネルのチャネルロドプシンおよびその類縁体が光操作ツールとして利用されてきた。最近、チャネルロドプシンに加えて光感受性Gタンパク質共役受容体(GPCR)としてはたらく動物由来の光受容タンパク質オプシンも有力な光操作ツールとして活用されている。動物オプシンは、光シグナルを三量体Gタンパク質および下流の細胞内シグナル伝達経路を介して増幅するため、チャネルロドプシンと比べて2桁程度弱い光でも細胞応答を誘起できる利点がある。その一方、動物オプシンは下流のシグナルタンパク質を介して複数のシグナル伝達経路を同時に駆動するために複雑な細胞応答を引き起こす。そのため、動物オプシンが光操作ツールとしてどの細胞応答を光操作しているのか不明確になる難点があった。本年度は、環形動物ゴカイから見いだされたオプシンが、光受容後すみやかに不活性化する特性を示すことを利用し、GPCRが関わる細胞応答のうち最速であるGタンパク質βγサブユニットによるGIRKチャネルの開閉制御を「狙いうち」して制御できるように機能改変(強化)することに取り組んだ。 研究を遂行した結果、ゴカイオプシンのC末端領域にGタンパク質の活性化・不活性化を加速するRGS8タンパク質をオプシンに人為的に融合させることで、この選択性を強化することに成功し、成果をまとめた論文を米国科学アカデミー紀要にて発表した。また、様々なオプシン類に各種シグナル伝達調節タンパク質を融合することでも、光操作ツールとしての機能強化が可能であることを示唆する結果を得た。今後はGPCR下流の主なシグナル経路であるGα経路、Gβγ経路、アレスチン経路についてそれぞれ高感度かつ簡便に応答を検知する手法を開発し、種々のオプシンや融合タンパク質を用いて特定の経路を選択的に駆動できるツールの開発に取り組む予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究申請時に、GPCRが駆動するシグナル伝達経路のうち特定の経路のみを光で操作できるツールを開発することを研究目標としてあげていた。本年度までに、GPCRが駆動するシグナル経路の中で、Gタンパク質βγサブユニットが駆動する速いイオンチャネル応答を選択的に駆動できるツールを開発し、学術論文として発表することができたため、おおむね順調に進展していると自己評価している。
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今後の研究の推進方策 |
今後はGPCR下流の主なシグナル経路であるGα経路、Gβγ経路、アレスチン経路についてそれぞれ高感度かつ簡便に応答を検知する細胞アッセイ法を開発・確立し、それらのアッセイ法を駆使して、種々のオプシンやオプシンとシグナル伝達調節タンパク質の融合体を用いて特定の経路を選択的に駆動できるツールの開発に取り組む予定である。また作製した光操作ツールをゼブラフィッシュなどの動物個体に導入して、個体の中でシグナル伝達経路を光操作することにも取り組む。
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